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3歳

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大人達は困り顔だ。セリを部屋に移した後。
商談の続きになったが、証拠のように植物図鑑まで置いていかれてはな。

利益を求め、3人はそれぞれ扱う品が違う共同で旅をしているらしい。辺境とはいえ貴族との大きな商売だ。逃す手はないのだろう。

“ヴェーネン家には子供がいるが、当主の子ではない”

そう言う噂もある。商人達はそう聞いていたが大事にされている様子に、強く出られない。
実際、ガイサス宛てに後継を勧めてくる。

貴族社会だな。辺境に来ても、そういったものから逃れられないか。
(王都よりマシだがな。)


王都で消息を最後に、あやふやだ。誰かの邪魔がはいっているのだろう。あそこの陰謀や足を引っ張る関係は変わらない。

そんな考えが巡っていたが結局、長期の契約とはならず食糧を一定数買うだけにした。領地から直接買う事にした。種類はかわり映えはしないが、安定で品質の一定したものが手に入る。
冒険者を雇う際、食事を用意しなきゃいけないため量も必要だ。


商人相手に子供の魔力とはいえ、威圧してしまったらしく魔力操作を習う事になった。
私を部屋に返す理由にもなる。サディス付きで自室に戻った。

(決定は覆るだろうか?)
補償の話しはしっかり契約して!と叫んだけど。


(私の暴走を心配するほどだろうか?)

「3歳での魔力量としては多いです。」
「そうだ、3歳だった。」

執事に残念なモノを見る目をされる。表情より目のが物を言っているには、この頃から変わらないらしい。
無口で無愛想だけど有能。その通りですね。

「さです!」
「サディスです。」

まだ、正確に発音できないんだよ!つまり、詠唱も覚えられても言えないなら練習する必要性はないと思う。
属性は水が得意で、風と火起こし程度に使える。

「今のまりょくの量はわかる?」

通常は魔導具で調べる。教会や冒険者ギルドにある高価な魔導具。魔力が感知できる者のは何となくわかるようだけど。

「感覚で比較して何となくは、セリ様は私の半分ほどかと。」
「それって多いの?」

「さあ。」

比較対象の子供がいないと、わからないね。魔力操作の練習と言えば、瞑想。

(飽きる。本でも読んでいたい。)

「庭でする。」
「部屋の中でしてください。」

軟禁かな?

この時、まだ商人達がいたから、顔を合わせないように支持されていたのだろう。
だからといって、サディスと2人きりは、間が持たない。

「じゃ、書庫に行く。」
「部屋にいて下さい。」

「本が欲しい。」
「出てはいけません。」

軟禁だわ。
落ち着け私、大人になるんだ。ぐっと堪え、少し会話をしてみようかな。

「商人に会わせたくないなら、書庫にいる方が大人しくしてられる。」

鍵の登録を変えた。執事2人の魔力が登録されている。つまりサディスと私は執事に声をかけないと入室できない。割れ物もあるため、そういう処置となった。

記憶より若く、溜まった疲れは顔色が良い。眉間の皺は相変わらずこの時もあった。
そして今、苦手意識がある。

子供に好かれるタイプには全く見えないけど、仕事はそつなくこなす。頼りになる執事だった。
グラウルの教育も良かったと思うけど、本人の性格もある。

そう、性格。

融通がきかないとか?

「貴方はヴェーネン家をお継ぎになるのです。」

私がこの家の跡継ぎに据えられているからだ。それを非難する気はないが、完全に味方だと思えないのは
家の有利のために、私の不利益を負わせる事があるから。

“私の死を止めない、とか。”

「他の子にすれば良いじゃん。」

後継者が私じゃなくても、サディスは執事として家に仕える。

「そうですか」
そう零して、出て行った。

私は胸に溜まっているような気持ちを、ため息で出す。読み終わった本を開く。
この穏やか時期が過ぎれば、魔物の氾濫の規模が大きくなる兆候が出てくるだろうと思い出しながら。
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