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おしまいの話

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「かつて栄えた国は、跡形もなく消えて。人々は散り散りに旅立って行きました。おしまい」

母親の優しい声が途切れ、絵本は閉じられた。

教会が貸し出してくれる本は、代々この辺の子供たちに寝物語として語られる。
子供向けであるため、何故かも何処かも分からない。

結末は幸せになった人の話か。国が亡くなってしまった話。

かつてあった事でも、子供には退屈だ。
しかし、英雄に話でもした夜には眠るどころではなく、高揚感で寝てくれなくなる。

少し退屈な程度で良いのだ。

しかし女の子の目はまだ眠りの精が訪れていなかった。

「その国はどうやって跡形もなく消えたのかしら?」

まだ冴えている様子の娘は、まだ寝てくれないようだ。

「寝なさいな。」

明日も早起きな母は、明かりを持って行ってしまった。
目を開けたまま、天井を見つめるように起きている娘は考え続けていた。
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