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影の戦い

準備

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「パーティの出席は、メイドなの?」

「え…。」
同僚からの言葉に、思考が止まる。


そうだ、婚約者なんだからローランド様のパートナーなんだ。
公爵家の婚約者として出席しなければならない。


メイドの仕事と、自分の準備の時間を入れないと。必要だとは思ったけど同時に思った。
(この忙しい時期に?)

パーティまでのメイドの仕事は繰り返しの作業が多いのです。

チェック、御令嬢方の御用聞きに走り
掃除、お手入れ、チェックが終わったら他の場所へのヘルプ。

(え、いつ準備するのっ?)

まず、協力を得ないと無理だわ。メイド長に相談して、仕事の調整をしましょう。
それからローランド様とお話しして。お義母様にお時間いただいて、当日は一緒に登城する事になるのかしら?

寮からパーティに出席するわけには行かないから、公爵家で準備させていただくのと。
ドレスとアクセサリー!

以前、公爵家へお邪魔した時にパーティの話、ドレスの事も出たけど。
詳しい打ち合わせはしていない!

私は未だ城内の寮で暮らしているから、お義母様の方から連絡も取れないだろうし。
首を長くされてお待ちかも。

怒られるだろうか
嫁の自覚が足りないとか、支度に時間が足りないとか

そんなことでは息子を任せられないとか?


「マライヤ。いいですか?」
「はい!?」


考え中にローランド様に呼び止められた。
仕事の話だろうと思ったのですが…

「パーティの件で話がしたいので、時間をいただけますか?」

夕食の時間に、部屋をお借りして
食事を用意してもらった。2人分に2席の準備された場所。

椅子をひいて座らせてもらい
仕事着のままだけど、外食みたいな気分になる。久しぶりの2人っきりの時間を作ってくれたそうです。

「貴女のパーティの準備のことですが、忘れてました?」

「いいえそんなことは!」食い気味で返してしまう。
「貴女ならあるかも、と。」

視線を横にずらす。

「貴女は昔からおっちょこちょいだ。」
「む、昔はそうでも今は!」

「ええ。仕事のことはそうでもないかもしれないですが。プライベートとなると、とたん
抜ける事がありますよね。」

合ってる。
仕事量なのか。気が抜けるのかやってしまう。


「新しい事に慣れるのは大変ですよ」


「貴女の強みは馴染みがある物、縁までも良い関係を築ける事ですよ。」

この認めてくれる言葉が嬉しい。

「ローランド様に助けてもらってばかりね」
「私も貴女を必要としてますから」



久しぶりのゆっくりな食事、正面のローランド様。
会話は、パーティの事になりました。


“公爵家に嫁入りする令嬢に戻る必要がある”

「母が張り切ってますが、ドレスは私から贈らせてください。
助言も聞きましたが、貴女に似合うものを贈れると思う。」


採寸してもらった記憶があった。


「宝石も贈るし、着付けをするメイドも母と手ぐすね引いて待ってる。」

わかる!ドレスや髪型のセットの話をして待つ、メイドの気持ち。

今、される方の気持ちがわかったわ。なんかちょっと勇気がいるわ。
マッサージをしてから、ドレスを着付けてメイクとヘアセット。

その流れるような作業と技術はメイドの腕の見せ所!
待ち受けられているのは少々及び腰になる勢いだった。

(まあ、避けて通れないし。)

協力してもらわないと乗り切れないのでとても助かる。
感謝の品を心ばかり何か贈れないかな。

メイドの仕事がすぐ辞められないとはいえ、婚約者としての自覚がない?
いいえ、協力してくれる人へ感謝しながら頑張りましょう。

そう決心しているとローランド様から告げられる。

「ちょっと計画があるのでメイド長に確認中ですので、楽しみにしていてください。」

ニッコリ笑う顔は、幼い頃の面影が濃くなる。
年月の過ぎ去ったのだと思う。

それは、これからの時間より短い過去。
今に集中しよう。ローランド様が居る時間。



最近の話は仕事になってしまうので、話題に困って結局今後の予定の事になってしまったけど
食事を美味しくいただき、夜の仕事へと移ります。

互いにまだ、仕事が山積みなのですよ。お疲れ様です。




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