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未来の王妃

お茶会

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本日は、王妃様の温室でのお茶会。

最初のお茶会には珍しい場所だけど、身内の方との語らいにも使う特別な場所で、自慢の花が咲く。

“将来の娘”の招待なら相応しいのかもしれない。いや、ここに招く意図を示したいのかも?

王妃の立場は目立つことはなく、王を常に側で支えている。
それは、『陰ながら王をしっかり支えている』という意思表示だ。

王妃、マリーアンヌ様がホストになり3人の御令嬢をお招きした。

第一次テストと言った様相だろうか?
部屋付きの3人のメイドと目線で挨拶し、私は陰で立つ。

専任としてつくことはないが、見聞きした事を伝えるのが仕事だです。

イザベラ様はお茶会に慣れているようで。卒がない所作。
あまりおしゃべりには加わらず、様子見と言ったところだろうか。

アイナ様は正反対に、元気さが出せずソワついている。王国風のドレスが落ち着かないのかもしれない。
相槌や会話に入ろうと伺い、尻込みしという顔つき。
3人の中で一番年下だった筈、経験の差が出ているのか吹っ切れな強い気がする。
自分の分野ではないと途端弱くなってしまって焦っていそう。


堂々と会話をしているのはナナミ様。相手を立てるのもうまく、話題も豊富で、問題意識やその解決法
まで提示できる令嬢は少ないでしょう。

(お嬢様達のお茶会には、固い内容だけど)
王妃とに会話の内容が豊富で、自分の意見を持っている。将来の王妃をどう決めるのか。

メイドに過ぎない私にはわからないけど、まだ3人ともよそ行きの態度しか見ていない。
もう少し踏み込んだ人となりがみれるといいけど。


「お菓子を準備しましたの。皆さんに食べていただきたいわ。」
アイナ様が機を見て切り込んだ。配られたのは、帝国のお菓子ね。

今回はホストの王妃様の許可も得てます。
たまにお菓子の差し入れをして話題を提供する貴族女性もいらっしゃるようで
対応も慣れていらっしゃる。


(良いアピールだわ。)

これによって少々、お茶会の雰囲気が変わった模様。

「王妃候補と聞いて驚いて。」

アイナ様には、最後にお話がいったから突然だっただろう。
商人をされている貴族、派閥のこと周囲の調べに時間をかけ、決定したのだ。

中央のイザベラ様は年齢もお立場も申し分なく。小さな頃から候補に上がってらした。
王太子様、王妃様とも面識がおありです。ナナミ様は王太子様より歳上で海の民を率いているお家柄。

この2つの地域だけでは、森側の民に不満が出ると
年齢の合う御令嬢を探し選んだ。


幼い頃から婚約者として決定とならないのは、公爵家令嬢ミカエラ様のお輿入れを考えたからか。
隣国である帝国との関係は、慎重に強固にしたい思惑。

帝国から姫を迎える話も出ていたがそうはならなかった。
その辺の詳しい話は知りません。

メイドが知らなくて良い情報だ。

言い方は悪いが、イザベラ様とナナミ様は婚約を逃すことになっている。
待たされていると言っても良いかも。

その中に入ることになったアイナ様は、この状態にどう揺さぶりをかけるのか?


なんて、前情報に流れているけど。
今後王国の舵取りに加わる方。私の仕える主だ。


お話しの主導を握った甘え上手と言う印象の話が続き、年下とアピールを駆使しているけど
(王妃様に通用するかなあ。)

歴戦。濃い貴族達を笑顔で捌く女の世界で一目置かれるていらしゃる。


アイナ様は帝国風に慣れた生活で王国の文化は少々、疎いかな?とメイドとして思う。
沈黙で間をとるタイミング、ゆったり構え楽しむ余裕を見せる場所。

この様子では、喋り過ぎと取れる。

緊張されている?
何か言を取りたい印象を持ちました。

こうして次期王妃様となる
第一関門は、終わりの時間とあいなったのです。



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