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剣の章
1-5 食事の席
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準備というものがあるのか。
私は今、反省しながら、身を任せている。日が傾きかけ、夕食の時間というのが分かったけど湯あみをして、支度をしてもらっている。貴族様とご一緒したことがないので、知りませんでした。でもよくよく考えれば、招待されたのだからドレスコードもアリなのかな。
「アイ様。この青色のドレスでよろしいでしょうか?」
選択権があるか疑問だけど、その“湖で見たような水中の青”が素敵だと思った。飾りの白いレースが水泡のように煌く。「お願いします」了承して着せてもらうとサイズがしっくりくる。ここまで設えがぴったりなのはオーダーメイドなのか?この数時間で??驚きが顔に出ていたのか、
「妖精の作ったドレスですから。アイ様にぴったりですね!」の言葉に胸が踊る。“妖精さんの作ったドレス”!?ーパワーワードだわ。お世辞なしに素敵だ。
「作ってくれた妖精さんに、是非お礼を言いたい!」嬉しさの限界値を突破して興奮状態の私を宥めてもらい、プロのメイドの手で着飾られていく。コルセットは添うようで窮屈さははく、編み上げの紐でドレスが着付けられていて呼吸が楽だ。食事がしっかり食べられる!光沢というより刺繍などの手の込んだ技術の雰囲気のあるドレスだった。
髪を結い上げてもらい「準備完了です。」とオッケーをいただきました。「お似合いですよ」との言葉に調子に乗りそうです。令嬢の一丁上がり!と茶化せない出来栄えだ。うん。化粧と技術が素晴らしい!
(御伽話にでてきそうな可憐な感じだろうか。)うさぎを追いかけて穴に落ちる感じか、ガラスの靴を履くのの中間かな。スカートが長い。これは足を出していたらはしたないっていう文化だろうか?メイド服の裾は長く他に女性の格好を見ていないから判断ができない。
後で、町に来ていける服を聞いてみよう。
メイド2人に前後を挟まれ、食堂に向かった。内うちの食事会という体らしく、メイドさん2人にコックさんが3人の少人数で、食事のサーブをしてくれ、料理長の説明でコース料理が進むと聞いた。
ガチャンと大きく開かれた両の扉。その先に待っていたのは、煌びやかな王子様たち!
長男様は武王と崇められそうな筋肉がシンプルなシャツで覆われ、髪を撫でつけ筋肉質な体を無骨さから大人の落ち着きさに装っている。
次男様は、着ているものに派手さはなく落ち着いているのだけど存在感がゴージャス!眩しい髪色と柔らかな生地のシャツに刺繍のローブ。食事会用の豪華なものと伺わせる。
末っ子君は、タキシードに近い印象だ。あどけなさもありつつ、凛々しいさを添えている。
「イーグル家として長子、アークライトが歓迎する。座ってくれ。」形式的な挨拶の長男様。この食事会に招かれお言葉をいただくことで正式に迎えられたとされるらしい。そこはこの国のお貴族様ルールなんだろうか。
「精霊の招き人は、過干渉せず精霊との交流を楽しんでもらうよう言い伝えらています。泉の精の予言とともに現れた例は、記録にありませんが…。建国記に名のある精霊が招いた人物が王家に入ったと言い伝えられています!是非お話しを伺いたい。」
言っている事は知識欲求ばっかりだけど素かもしれない、次男様。私は研究対象ですね?逃げる方法を用意しておこうと決めました。絶対話が長くなるタイプだ。
「今日の晩餐は。領地で作られている料理です。お口に合うと良いんですが」
癒される。人見知りの甥っ子を思い出させる初々しさが胸にキュンときます末っ子君!ここは大人の挨拶を見せてあげましょう!
「お招きいただきありがとうございます。異世界から来たので食事のマナーや常識知らずなのは、お目溢し願います。」と笑顔で言った。
「「異世界?」」
うん。…言った!?私、スルッと言ってしまったけど、異世界からって怪しい!誤魔化すか?
「界渡りか。その辺のことも聞く機会を設けよう。」
さらっと受け入れられたんだけど!?長男様?
「あの、信じるんですか?異世界なんて。」慌てて丁寧語が崩れながらも問いただす。
「精霊自体、異なる世界にいるとされている。人にだって、あり得るだろう。」
当然のように言ってくれましたけど、筋肉!武闘派!なのにあっさり反発無し??
「嘘を言っている可能性だって…」つい私から言ってしまう。
「幼精が反応していないんですよ」微笑む、えっと次男のヒース様。そう言われましても。嘘発見器なのかな?
「どれだけ遠いかは無意味だ。妖精の悪戯程度じゃない。名のある精霊が呼んだ存在だ。」堂々と告げるアークライト様。
「それほど、稀で存在自体が人かも疑えます。」さらっと人間じゃなと疑ってるって言った?ヒース様!
私は人ですけど!?と叫ぶ前に、言語も違う筈だと思い至る。なのに話が通じる。それだけで変。
「…え、そんなに珍獣な存在なの?」
「ぷっ珍獣」くくくっと豪快に笑う横で、
「この世界にはない、無二の存在と言えるんですよ…ふふっ」耐えていても分かりますよ?
2人とも雰囲気は違っても笑い顔は印象が被る。そんな長男・次男の似た雰囲気を発見し、静かだった末っ子君が喋った。
「『アクアクォーツ』が招いた方。彼女の意図はわからないけど、怯えないで。精霊は貴女を守護している。何人たりとも傷つけさせない。」
カッコイイ。可愛いい男の子からの告白めいた言葉に照れそうだけど、真に受けちゃダメよ。領主の一族として言ってくれてるんだから。
「ありがとうございます。是非この地を見て歩きたいのです!皆様の守護があると心強いですわ。」守ってねと言い含み、今後の観光を宣言した。
笑いが収まった長男様、「いただこう。」食事をスタートさせた。
私は果実水を頼んだ。お酒は好きだけど初対面に招かれた席で油断したくはない。おいしい水が自慢らしく飲み物で喉を潤す。今回、私の歓迎食事会だと思い出した。マナーもそこそこ様になっているでしょう?
少しかじったことのある知識をフル活用、あとは美味しく頂く!これに尽きるマナーはないね!洋食のコーススタイルで出されたものを食べていく。
洋風で、見た目はフツー。変なものがないという意味でフツーと使ったけど、お洒落で歓待されているのが分かる。私の好みに盛り付けられているんだろうなあ。鮮やかなお皿の芸術品は、味も素晴らしい。
食事中の話題は、危険事項について。
「精霊の招き人に命令はしない。行動の制限もしないが、勝手に出ていくのは勧めない。どの方角にも森が広がって、魔物が住んでいる。」
「妖精の悪戯で命を落とす者も少なからずいます。街でそのような事はさせませんが、森は彼女たちの領域です。そこへ踏み入れた者を助け出せないこともあります。」
妖精にも怖い子がいるんだなあ。ホイホイついていくのはやめようと思う。ここは平和な地元ではないんだ。異世界だし。
「街へはかなり歩きますので言っていただけば馬車を出します。そういえば、昼は迷路に入ったそうですね。良く出てこれましたね?」
「単純な迷路でしたので」と広さ以外はそう迷わなかった。
「あそこは妖精や精霊の格好の的だ。悪戯のな。」と告げたマナーがきっちりしている長男様。ちゃんと領主様なんだなあ。と変なところで感心した。
「妖精がいたから強い精霊が守護したのでしょう。その場合、妖精の幻惑を打ち消せるでしょう。」
「タリスマンと同じ効果か?」
「理論的には。」専門家ヒース様の意見が入った。
(タリスマン、護符?)
この世界独自のものができているんだろう。魔法がある世界なら、御守りも特別な効果があるとか?ファンタジー要素を感じてウキウキするのがバレないよう、咀嚼する。
デザートには、果物が出された。飾り切りとか教えたらどうかと考えながら、甘く瑞々しい食感を味わう。
(幸せ。)黄桃のような果物をいただいて、お食事会の終了だ。
とても楽しい食事だった!とくに胃袋にね。異世界の料理、好みも問題なさそう。
末っ子君は社交上手、「お口にあったでしょうか?」と聞いてくれる。
「はい、とっても」と幸せな気分で答えた。
「良かった」と花が綻んだような笑顔。この守りたくなる笑顔に、私は守られる存在らしい。
この異世界の土地で。
私は今、反省しながら、身を任せている。日が傾きかけ、夕食の時間というのが分かったけど湯あみをして、支度をしてもらっている。貴族様とご一緒したことがないので、知りませんでした。でもよくよく考えれば、招待されたのだからドレスコードもアリなのかな。
「アイ様。この青色のドレスでよろしいでしょうか?」
選択権があるか疑問だけど、その“湖で見たような水中の青”が素敵だと思った。飾りの白いレースが水泡のように煌く。「お願いします」了承して着せてもらうとサイズがしっくりくる。ここまで設えがぴったりなのはオーダーメイドなのか?この数時間で??驚きが顔に出ていたのか、
「妖精の作ったドレスですから。アイ様にぴったりですね!」の言葉に胸が踊る。“妖精さんの作ったドレス”!?ーパワーワードだわ。お世辞なしに素敵だ。
「作ってくれた妖精さんに、是非お礼を言いたい!」嬉しさの限界値を突破して興奮状態の私を宥めてもらい、プロのメイドの手で着飾られていく。コルセットは添うようで窮屈さははく、編み上げの紐でドレスが着付けられていて呼吸が楽だ。食事がしっかり食べられる!光沢というより刺繍などの手の込んだ技術の雰囲気のあるドレスだった。
髪を結い上げてもらい「準備完了です。」とオッケーをいただきました。「お似合いですよ」との言葉に調子に乗りそうです。令嬢の一丁上がり!と茶化せない出来栄えだ。うん。化粧と技術が素晴らしい!
(御伽話にでてきそうな可憐な感じだろうか。)うさぎを追いかけて穴に落ちる感じか、ガラスの靴を履くのの中間かな。スカートが長い。これは足を出していたらはしたないっていう文化だろうか?メイド服の裾は長く他に女性の格好を見ていないから判断ができない。
後で、町に来ていける服を聞いてみよう。
メイド2人に前後を挟まれ、食堂に向かった。内うちの食事会という体らしく、メイドさん2人にコックさんが3人の少人数で、食事のサーブをしてくれ、料理長の説明でコース料理が進むと聞いた。
ガチャンと大きく開かれた両の扉。その先に待っていたのは、煌びやかな王子様たち!
長男様は武王と崇められそうな筋肉がシンプルなシャツで覆われ、髪を撫でつけ筋肉質な体を無骨さから大人の落ち着きさに装っている。
次男様は、着ているものに派手さはなく落ち着いているのだけど存在感がゴージャス!眩しい髪色と柔らかな生地のシャツに刺繍のローブ。食事会用の豪華なものと伺わせる。
末っ子君は、タキシードに近い印象だ。あどけなさもありつつ、凛々しいさを添えている。
「イーグル家として長子、アークライトが歓迎する。座ってくれ。」形式的な挨拶の長男様。この食事会に招かれお言葉をいただくことで正式に迎えられたとされるらしい。そこはこの国のお貴族様ルールなんだろうか。
「精霊の招き人は、過干渉せず精霊との交流を楽しんでもらうよう言い伝えらています。泉の精の予言とともに現れた例は、記録にありませんが…。建国記に名のある精霊が招いた人物が王家に入ったと言い伝えられています!是非お話しを伺いたい。」
言っている事は知識欲求ばっかりだけど素かもしれない、次男様。私は研究対象ですね?逃げる方法を用意しておこうと決めました。絶対話が長くなるタイプだ。
「今日の晩餐は。領地で作られている料理です。お口に合うと良いんですが」
癒される。人見知りの甥っ子を思い出させる初々しさが胸にキュンときます末っ子君!ここは大人の挨拶を見せてあげましょう!
「お招きいただきありがとうございます。異世界から来たので食事のマナーや常識知らずなのは、お目溢し願います。」と笑顔で言った。
「「異世界?」」
うん。…言った!?私、スルッと言ってしまったけど、異世界からって怪しい!誤魔化すか?
「界渡りか。その辺のことも聞く機会を設けよう。」
さらっと受け入れられたんだけど!?長男様?
「あの、信じるんですか?異世界なんて。」慌てて丁寧語が崩れながらも問いただす。
「精霊自体、異なる世界にいるとされている。人にだって、あり得るだろう。」
当然のように言ってくれましたけど、筋肉!武闘派!なのにあっさり反発無し??
「嘘を言っている可能性だって…」つい私から言ってしまう。
「幼精が反応していないんですよ」微笑む、えっと次男のヒース様。そう言われましても。嘘発見器なのかな?
「どれだけ遠いかは無意味だ。妖精の悪戯程度じゃない。名のある精霊が呼んだ存在だ。」堂々と告げるアークライト様。
「それほど、稀で存在自体が人かも疑えます。」さらっと人間じゃなと疑ってるって言った?ヒース様!
私は人ですけど!?と叫ぶ前に、言語も違う筈だと思い至る。なのに話が通じる。それだけで変。
「…え、そんなに珍獣な存在なの?」
「ぷっ珍獣」くくくっと豪快に笑う横で、
「この世界にはない、無二の存在と言えるんですよ…ふふっ」耐えていても分かりますよ?
2人とも雰囲気は違っても笑い顔は印象が被る。そんな長男・次男の似た雰囲気を発見し、静かだった末っ子君が喋った。
「『アクアクォーツ』が招いた方。彼女の意図はわからないけど、怯えないで。精霊は貴女を守護している。何人たりとも傷つけさせない。」
カッコイイ。可愛いい男の子からの告白めいた言葉に照れそうだけど、真に受けちゃダメよ。領主の一族として言ってくれてるんだから。
「ありがとうございます。是非この地を見て歩きたいのです!皆様の守護があると心強いですわ。」守ってねと言い含み、今後の観光を宣言した。
笑いが収まった長男様、「いただこう。」食事をスタートさせた。
私は果実水を頼んだ。お酒は好きだけど初対面に招かれた席で油断したくはない。おいしい水が自慢らしく飲み物で喉を潤す。今回、私の歓迎食事会だと思い出した。マナーもそこそこ様になっているでしょう?
少しかじったことのある知識をフル活用、あとは美味しく頂く!これに尽きるマナーはないね!洋食のコーススタイルで出されたものを食べていく。
洋風で、見た目はフツー。変なものがないという意味でフツーと使ったけど、お洒落で歓待されているのが分かる。私の好みに盛り付けられているんだろうなあ。鮮やかなお皿の芸術品は、味も素晴らしい。
食事中の話題は、危険事項について。
「精霊の招き人に命令はしない。行動の制限もしないが、勝手に出ていくのは勧めない。どの方角にも森が広がって、魔物が住んでいる。」
「妖精の悪戯で命を落とす者も少なからずいます。街でそのような事はさせませんが、森は彼女たちの領域です。そこへ踏み入れた者を助け出せないこともあります。」
妖精にも怖い子がいるんだなあ。ホイホイついていくのはやめようと思う。ここは平和な地元ではないんだ。異世界だし。
「街へはかなり歩きますので言っていただけば馬車を出します。そういえば、昼は迷路に入ったそうですね。良く出てこれましたね?」
「単純な迷路でしたので」と広さ以外はそう迷わなかった。
「あそこは妖精や精霊の格好の的だ。悪戯のな。」と告げたマナーがきっちりしている長男様。ちゃんと領主様なんだなあ。と変なところで感心した。
「妖精がいたから強い精霊が守護したのでしょう。その場合、妖精の幻惑を打ち消せるでしょう。」
「タリスマンと同じ効果か?」
「理論的には。」専門家ヒース様の意見が入った。
(タリスマン、護符?)
この世界独自のものができているんだろう。魔法がある世界なら、御守りも特別な効果があるとか?ファンタジー要素を感じてウキウキするのがバレないよう、咀嚼する。
デザートには、果物が出された。飾り切りとか教えたらどうかと考えながら、甘く瑞々しい食感を味わう。
(幸せ。)黄桃のような果物をいただいて、お食事会の終了だ。
とても楽しい食事だった!とくに胃袋にね。異世界の料理、好みも問題なさそう。
末っ子君は社交上手、「お口にあったでしょうか?」と聞いてくれる。
「はい、とっても」と幸せな気分で答えた。
「良かった」と花が綻んだような笑顔。この守りたくなる笑顔に、私は守られる存在らしい。
この異世界の土地で。
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