心を求めて

hakurei

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周りの変化。

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男達との揉め事も終わり、私達は帰路を辿っていた。
その間私達に会話はなく、ただ気まずい感じが続いていた。
その気まずさが耐えられなかった私は何か話をしようとしたが何も話題が浮かばず、ただただ沈黙が続いた。
んんん…気まずい…。
「…ねぇ、私の家こっから近いからさ、ちょっと来てよ、その怪我の手当するから。」
時雨が突然話し出す。
「いや、いらねぇよ、こんな怪我、ほっときゃ治る。」
「つべこべ言わずに来るの!わかった!」
怒気の混じった声で言ってくる時雨。
「お、怒んなよ、わかったから。」
そうして私は時雨の家に向かうことにした。
そして向かっている間も特に会話はなく、お互い無言で時雨の家へと向かうのだった。
「ここよ、私の家。」
「案外家と近いのな。」
ほんとにそこそこ近かった。
多分歩いて5分もかからないだろう。
「あらそうなの?」
「あぁ。」
「ま、そんな事より入って、上の階が私の部屋だから。」
時雨の家や一軒家の二階建ての家でそこそこでかい家だった。
「お、お邪魔します…。」
「まだ親帰ってないしそんな固くならなくてもいいわよ。」
「いいのか許可なしに入って…。」
「全然平気よ、多分…。」
「確証ないんかい。」
相変わらず適当なやつだな…そう思わずにはいられなかった。
「とりあえず上に行きましょ。」
そう言われて私と時雨は階段を上がり、1つの部屋に入る。
「へぇ。」
「そんなに人の部屋を見回すもんじゃないわよ。」
「いや、ちゃんと女の子の部屋だなと思ってさ。」
「ちょっとそれどうゆう意味!」
「お前の性格的に散らかってそうだなと…。」
「うっわ!君今すごく失礼なこと言った事に気づいてる!」
「いや全然?」
「自覚なしなのね…。」
呆れたかのようにため息をつく時雨。
「まぁいいや…ほら、そこのベットでいいから座って。」
「ん。でもそもそもとしてそんな怪我してねぇよ?」
「嘘つけ!腕と足倒れた時に擦りむいてるくせに!」
「…。」
事実、殴られた時に倒れて腕や足を擦りむいていた。
そこそこ衝撃も強かったため腕は少々打撲を負っている。
正直、普通に痛かった。
「ほら!早く怪我したとこ見せて!」
「…はいよ。」
諦めて腕と足を捲る。
そうして時雨に怪我の手当をしてもらった。
手当している間は会話はなく、お互い無言だった。
「ねぇ…。」
無音だった部屋に時雨の声が微かに響く。
「どした?」
「き、今日は…あ、ありがとう…/////」
小声で言う時雨。
「…?」
上手く聞き取れなかった私小首を傾げた。
「だから!今日はありがとうって言ったの!2回も言わせないでよ!バカ!」
「…別に俺は何もしてないよ、最終的にお前の事を考えられずに行動してしまったし。」
「それでも、私があの男に叩かれた時、君はそれに対して怒ってたでしょ?それがちょっと…嬉しくてさ…。」
「…。」
「だから、ありがとう。」
「そうかよ…。」
あまり感謝される事に慣れてなかった私はそっぽを向いて答えた。
「ふふふ、可愛いとこあるのね♪」
「うるせ…。」
この後は、手当をしてもらいながら時雨にニヤニヤとされ続け、私は顔を背け続けるのだった。
そうして、時雨の手当が終わり、私は帰宅した。
自室に入り、布団に横たわる。
横になった瞬間、疲れていたせいか、かなりの睡魔が襲ってきた。
気づいたら私はかなり深い眠りに入っていたのだった。
次の日、学校に着くと…。
「んだこいつら…。」
やたらと私は注目されていた。
元々私は学校の人間からは畏怖や、軽蔑の目で見られていたが。
この時に関しては敬意と好意こような視線が多い気がした。
それは教室に入っても変わらず、周りからチラチラと見られ、コソコソと話されているのがわかった。
その空間にいるのがだるくなった私は、着いたばかりの教室を出ていき、あの場所へと向かうのだった。
「一躍有名人ね。」
先にその場所にいた時雨がそう言う。
「…なんでこうなってんだ?」
「なんか昨日の事見てた子がいるらしくてそれが広まったらしいわよ。」
「マジかよ…。」
「広まるのって一瞬なのね、それのせいで昨日の男は先生にお叱りを受けてるらしいわよ。」
「災難だなあの男も。」
「あの男、あれだけで収まるといいけどね。」
「…さぁ、だがあれだけで終わらせるような性格はしてなさそうだよな。」
「ちょっと怖いわね…。」
「まぁ何かあればその時考えるだけだ。」
「大丈夫なのそれ?」
「まぁなんとかなればいいかなとしか思ってないからな。」
「少しは心配しなさいよ…。」
「まぁ俺はなんとかなればいいとしか思ってないんでな、もしもなんて基本考えてない。」
「なんか、そんな感じがするわ…。」
呆れ混じりにため息をつく時雨。
その後は適当に雑談し、私は教室戻った。
戻ってからは席に座り授業を聞き流しながらボーッとしていた。
私が外を眺めていた時。
「あの、白銀さん…。」
前の席の女が私の方へ向き呼んでくる。
「…なんだ?」
一人の時間を邪魔された気分だった私はぶっきらぼうに返事した。
「あ、あの…今噂されているあなたの事って本当なんですか?」
なんだその事か…っと思った。
この女は普段の私のイメージから噂になってる私の行動が少し想像つかないのだろう。
半信半疑の状態だから私に直接聞いてきたって事だろう。
実際は本当だが、正直に言うのも癪に障るため、私は濁して…。
「さぁ、どうだろうな。」
と行ったのだが…。
「本当よ!だって私が見たんだから!」
と隣にいた女が会話に割り込んで叫んだ。
「そ、そうなんですか!ありがとうございます!」
「お、おい待て!勘違いをす…」
「なぁにが勘違いなの?私が見たって言ってるんだからあなたが何を言っても無駄よ。」
私が否定しようとしたところに被せてくる女。
多少苛立ちを感じた。
「…チッ。」
反論できなくなった私は周りの事をスルーする事にした。
この日から私の評価が謎に上がっていた。
時折話したことのない女とかが私に興味を持ち話しかけて来たりもした。
元々私は孤立していた身だったため、いきなり話した事もないやつと気安く話す気もなかったため、毎回シカトしていたら。
そんな日が続き、教室どころか学校に居づらくなった私はこの日は学校自体をサボる事にしたのだった…。
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