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女装したらメイドに!?

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「ねぇこれ着てみてよ!」
といきなり服を私に渡す女の子
おっと自己紹介をしないとな。
自己紹介と言っても名前はないんだが。
だからこの女の子が私に名前をくれた。
今服を渡してきた子が高並 雀(たかなみ すずめ)
雀とは2年前から関係を続けている。
私は元は捨て子である、物心ついた時には既に捨てられていた。
だから私は親の顔を一切知らない。
そんな私に雀が名前をくれた。
秀(しゅう)という名前を。
私は元々スラムのような場所で過ごしていた。
スラムでの生活はかなり困難で、飯の奪い合いだった。
私もそれなりの行動をした。
まぁ今はこんな話より現状の話だな。
「急になにこれ、しかもこれ…」
その服は…
「私のおさがりだけど、秀君なら着れるでしょ?」
なんと雀は女の子物の服を持ってきて私に着ろと言ってきたのだ。
「着ねぇからな、絶対に。」
「なんでよぉ!あんた小柄だし絶対に似合うって!」
「てか学校はいかないのかお前は、」
「ふっ、学校の授業なんて把握済みよ、だからたまにサボるくらいどうってことないのよ!」
胸を張りながらそういう雀。
「は、はぁ…そうかい、それじゃ次は行けよ、そんじゃな。」
さりげなく去ろうとしたが。
「ちょ、待ちなさいよ!何終わらせようとしてんよ!」
普通に引き止められた。
「なんでそんなにその服を着させたがるんだよ、面白くもないぞ…」
「あんたはそうでも私は面白いの!楽しいの!だから付き合いなさい!」
「知ったこっちゃないな。」
「なんでなのぉ!」
声を荒らげながら叫ぶ雀、耳が痛くなるから勘弁してほしい。
「だぁ!もうわかった!1回だけだぞ!」
めんどくさいので1度だけ着ることにした。
「ふふ、それでいいのよ、ほらあそこのトイレで着てきなさい!」
「んだよ、偉そうに言いやがって…」
諦めて女の子用の服を着ることにした…
「これ…本気で女の子用のじゃねぇかよ…」
慣れない服を嫌々着てトイレを出る前に鏡で確認してみた。
「これ…本当に私か?」
鏡にはなんというか、美少女が立ってた。
自分で言うのもおかしいが普通に美少女だと思う。
「…なんだこれ。」
落ち着かないし出ようと思った時におっさんが入ってきて…
「ニヤ…」
「…!?」
気持ち悪い視線を向けられてさっさとその場を去った。
見た目が女ってだけでそんなにニヤつくかあのおっさん…
気持ちが悪くなり急いで雀のいるベンチに行った。
「あら、戻ったの?」
「はぁ、はぁ、もう脱いでいいか…?」
「ちょっと待ちなさい、ちゃんと見せて!」
「は、はぁ…」
「…」
じっくりと私を見てくる雀。
「な、なんか言えよ…」
「可愛いじゃん、その辺の子より全然可愛いよ、もうそれで生活すれば?」
小馬鹿にするように言ってくる雀。
「冗談じゃない、もういいな、脱いでくる。」
「あ、ちょっと待って!これ付けて終わりでいいから!これ付けて!」
そう言ってなにか渡してくる。
「なんだこれ?チョーカー?」
「そうそう、しかもそれ声変換器にもなってるから。」
「どこでこんなもん手に入れたんだよ…」
素直に疑問に思った。
「私の家と繋がってる企業が発明したらしくてね、まだ試作段階らしいからまだ販売とかは無しらしいけどね。」
「すげぇとこと繋がってるんだな…」
そういやこいつ一応お偉いさんの娘だったな。
お嬢様ってやつか?
だから世間との繋がりも多いのか…余計面倒くさそうだ…
「これでいいか?」
「うん、それでちょっとこっち来て」
つけたチョーカーをいじってくる雀。
こいつって地味にいい香りするよなぁ、流石は女の子。
「はいおっけー、喋ってみて」
「あ、あー、え?」
私の低い声がだいぶ高くなり女の子の声になっていた。
「まじかこれ…違和感やばいぞ…」
「完全に女の子ねこれ。誰が男って思うのかしら…やば可愛い…」
「はぁ…もう外していいか?」
「もうこのままでいようよ…」
「ふざけんな、絶対にやだ」
そう言ってさっさとチョーカーを外そうとするが…
「あれ?これ…どうやって外すんだ…」
「え?とれないの?ちょっとこっち来て」
またチョーカーをいじる雀。
「これ…どう外すの?」
「おい…」
「ごめん!お父さんに言って企業さん側に伝えておく!それと外す方法は…多分壊すしかないわね…」
「こ、壊すって…結構ピッタシなサイズだし大丈夫なやかこれ…首傷つかないか?」
怖いから素直にやめてほしい、だが取ってほしいのも事実、どうすりゃいいんだこれ…
「ごめんね!今日は帰って聞いてくる!」
「あ、おい!」
さっさとその場を去ってしまう雀。
私はこのままなのか…
「この声で男の格好してもなぁ…しかたない…」
雀が解決法を見つけてくれるまではとりあえずこのままでいよう…
最悪だ…

時間が過ぎ、完全に夕方。
私に行くあてもないので公園の草むらの中で適当に野宿生活である。
そんな時に。
「ちょっとそこの貴方。」
「ん?」
「そこの草むらにいる貴方よ、あなた家は?」
突然女の子が喋りかけてきた、そしてその女の子の後ろには黒スーツの奴が2人いた。
この女の子は何者なんだ…
「家なんてねぇよ…私は既に捨てられている。」
「そう、なら私のとこで働かない?」
「は?何言ってんだお前…」
そう言った瞬間に後ろの黒スーツが。
「貴様!夕花様になんて口の聞き方を!」
そう言われても元々スラム育ちの人間に常識なんて求められても困る。
常識なんて一切学んでないんだから。
「だまりなさいあなた達。」
片腕を横に広げ黒スーツの奴らを止める女の子。
黒スーツの奴らは口を開かず動かないでいた。
本当に何者だこいつ…
「口の利き方なんてどうでもいいわ、それであなたどうするの?働いてくれるならそれなりの報酬を与えるつもりなのだけど。」
「報酬?」
「えぇ、それなりには与えるつもりよ。どう?」
「は、はぁ、もし働くとして私は何すればいいんだ?」
「そうね、あなたはメイドとして働いてもらおうかしら。」
「は?」
「だって見た目は可愛らしいし似合うと思うわよ、メイド服。興味はないかしら?」
そうか、今は女の子の見た目だったか。
忘れていた。
「いや、私女じゃないんだが…」
「…?何言ってるの?完全に美少女ってやつよあなた。ねぇあなた達もそう思うでしょ?」
黒スーツの奴らにも問いただして黒スーツの奴らはしずかに頷いた。
くっそ、このチョーカーさえ外せれば…
「それで、どうするの?くる?来てもらえるのならあなた個人の自室も用意をするわよ。」
「自室が…?」
自室が出来るのはかなりありがたい、外で寝たりするのはかなりきついものがあるから。
「えぇ、生活は出来る程度にはしてあげるわ。それに仕事もそこまで辛いことはないはずよ。メイドとして私の横にいるだけでいいわ。」
「本当なのかそれ…」
「えぇ、多少言ったことはやってもらうけどね。けど辛いことはさせないわ、絶対に。」
「はぁ、わかったよ…ついていく。だけど私のこの態度はなおらんがいいのか?」
「えぇ、構わないわ、皆に伝えておくわ。それじゃあの車に乗ってくれる?」
「はいよ。」
そう言ってでかい車に乗る。
そうして私はこの女の子のメイドになる事になった。
だが1つ不安がある。
それは私が男であるということ。
男でメイドって…なんだよそれ…
とりあえずはまぁ、メイドとしてやることにしよう。
この先どうなるんだろうな…
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