上 下
105 / 155
心境の変化

6. 2年ぶりのハヤの感触

しおりを挟む
「ナツ……泣かないで……」

オレは顔を布団に埋め、つっ伏し震えていた。
耳側で、懐かしい声がこだまする。

バサッとコートを脱ぎ捨て、ベッドが軋むと、オレが抱きかかえた布団もろとも、大きな身体がオレを包みこんだ。

柔らかな少しカールした髪が、後ろからオレの頬にかかる。
そのまま頬にキスをされた。その唇は熱く、そして震えていた。

オレは思わず抱きかかえていた布団を放しがばっと振り返り、後ろの大きな身体にしがみつく。
すると潰れるんじゃないかと思うほどの力で抱きしめ返された。

「何も無くて、よかったー……」

「…ハヤ…ごめん……」

オレは一言だけそう言うと、また涙があふれて言葉にならない。
ハヤはそんなオレの顎を持ち、顔を上げさせる。

目が合う。
久しぶりに見る恋人の顔は、心配の色で染まり、切なげにオレを見つめていた。

オレの涙を舐めとると、そのまま唇を重ねる。
大きな手がオレの耳や首筋を摩り、鎖骨を指でなぞると、オレも唇だけが重なるキスがもどかしく舌を突き出していた。

一度放れ、また重なるとき、オレの突き出した舌を吸い上げるように今度は深く角度をつけてハヤの舌も絡まりあう。
ハヤの両手はオレのはだけた浴衣の中へと滑り込んでいた。
鎖骨から肩へ、そして肩からわき腹へと這う大きな手の温もりで、オレは身体をよじる。

「冷たっ!!」

突然、何かに触れてオレの身体が跳ねた。

「あぁ…ごめん。時計だ……」

びしっとスーツ姿だったハヤは、がばっと身を起こし、カチャカチャと時計を外す。
ハヤのかっこいい大人なその仕草に、下から見上げていたオレは、眩暈しそうだった。

ハヤは取った腕時計を、サイドテーブルに置き、上着をゆっくり脱いだかと思うと、先ほどコートを掛けた鏡台の椅子にそれも掛け、ネクタイを弛めた。

その一連の動きもスマートで、オレの目は釘付けとなった。


ドクン、ドクン、ドクン………
鼓動が早くなる。


そして思い出した。

……オレ、昨日から風呂も入ってないや。

おぼつかない足取りでベッドから起き上がり、ユニットバスへ向かった。

「ナツ!トイレ?!
オレもついていくよ。」

そう言うハヤに、シッシッと手を振り、追いやった。



ガチャンと扉の鍵を閉め、すぐ横の手すりに摑まる。薬のせいではない興奮と震えがオレを包む。

2年ぶりのハヤの感触。
この前肌を合わせたのは、たしか便所だったよな。

ははっと乾いた笑いがこみ上げてきた。


浴衣を脱ぎ捨て、シャワーを捻る。

男女なら当然の営み。
しかし、男同士のオレたちは会うことも憚られ、ましてや肌を合わせるのに準備や心構えが必要で……。

だが、自分が…ハヤが…女の子であってほしかったと思ったことはなかった。
オレたちは、オレたちだから惹かれあったんだ。


一段と男になっていたハヤの姿を思い浮かべ、気持ちがどんどん高揚してくるのがわかる。

今回のことで多分オレは無職になり、振り出しに戻るだろう。
次またいつ会えるかわからない。

手島さんの粋な計らいで会えたハヤを、今日はたっぷり味わいつくそうと、高まりは押さえきれずにオレはシャワ浣をしながらちんこを扱いていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

蜘蛛の糸の雫

ha-na-ko
BL
◆R-18 ショタエロです。注意必要。SM表現、鬼畜表現有り。 苦手な方は逃げてください。   「なぜか俺は親友に監禁されている~夏休み最後の3日間~」スピンオフ作品 上記作品の中の登場人物、谷垣隼人の父、谷垣弘和とその秘書手島友哉の過去のお話しになります。 ----------------------------------- 時代は1987年 バブルの真っ只中。 僕は手島友哉(てしまともや)。 10歳。 大金持ちの家の使用人の息子だ。 住み込みで働く父さんと義母さん。 ある日、お屋敷でのパーティーで皆から注目されている青年を見た。 スラッと足が長く、端正な顔立ちは絵本に出てくる王子様のようだった。 沢山の女性に囲まれて、とても楽しそう。 僕は思わず使用人用の宅舎から抜け出し、中庭の植え込みの茂みに隠れた。 姿が見えなくなった王子様。 植え込みから顔をだした僕は、誰かに羽交い締めにされた。 これが運命の出会いとも知らずに……。 ※このお話の中ではハッピーエンドとはなりません。 (あくまでもスピンオフなので「なぜか俺は親友に監禁されている~夏休み最後の3日間~」の作品の中でとなります。) ※青少年に対する性的虐待表現などが含まれます。その行為を推奨するものでは一切ございません。 ※こちらの作品、わたくしのただの妄想のはけ口です。 ……ので稚拙な文章で表現も上手くありません。 話も辻褄が合わなかったり誤字脱字もあるかもしれません。 苦情などは一切お受けいたしませんのでご了承ください。 表紙絵は南ひろむさんに描いていただきました♪

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

僕はオモチャ

ha-na-ko
BL
◆R-18 エロしかありません。 苦手な方、お逃げください。 18歳未満の方は絶対に読まないでください。 僕には二人兄がいる。 一番上は雅春(まさはる)。 賢くて、聡明で、堅実家。  僕の憧れ。 二番目の兄は昴(すばる)。 スポーツマンで、曲がったことが大嫌い。正義感も強くて 僕の大好きな人。 そんな二人に囲まれて育った僕は、 結局平凡なただの人。 だったはずなのに……。 ※青少年に対する性的虐待表現などが含まれます。 その行為を推奨するものでは一切ございません。 ※こちらの作品、わたくしのただの妄想のはけ口です。 ……ので稚拙な文章で表現も上手くありません。 話も辻褄が合わなかったり誤字脱字もあるかもしれません。 苦情などは一切お受けいたしませんのでご了承ください。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。 ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…

[R18] 20歳の俺、男達のペットになる

ねねこ
BL
20歳の男がご主人様に飼われペットとなり、体を開発されまくって、複数の男達に調教される話です。 複数表現あり

処理中です...