77 / 155
お互いの気持ち
2. おおっと、とにかくなにか着ようかな。
しおりを挟む
今、何時?
この部屋によく似合う、ごてごてした調度品のような置時計に目をやった。
時間は7時40分過ぎ。
たぶん2時間は寝ていたかなぁ。
ハヤの睡眠時間が気になった。
おおっと、とにかくなにか着ようかな。
ハヤには薄い掛け布団をきせたが、長く裸が身についてしまっていて、自分は何も着ていないのに違和感がなかった。
バスルームのタオルかけの横にバスローブがあったのを思い出した。
それを着て、そぉっと廊下に繋がる扉を開けた。
人影はなかった。
扉の前にカートとキャスター付きのハンガーラックが置いてあり、カートの上には二人分の食事の皿やスープの器などが3段にわたって乗せられていて、ハンガーラックには、高級ブランドのロゴの入ったカバーのかかったスーツが二着掛けられいた。
オレは、静かにその二つを部屋へと押し入れた。
よく見るとハンガーラックの下の台にはオレがここに来るとき着ていた制服とカバンもあった。
スマホのメールや着信は喧しいほど入っていて、オレは静かに画面を消した。
あんなに大切だったチャットのやり取りも、バイトのシフトも、合コンの手配も、流行ってるファッションも、ゲームのセーブデータも、今のオレには必要ないもののように思えた。
コイツのことだけ……。
本当に大切にしたいものが出来たとき、人は初めて真っ直ぐに進めるものだと感じた。
スープが冷めないうちにとハヤの枕元に腰を下ろすと、少しカールしたハヤの髪をかき上げ声をかけた。
「ハヤ…… ハヤ……」
ゆっくり大きな手がオレの頭を引き寄せ、抱きしめる。
「ごめん……俺、寝ちゃってた……」
静かに耳元で呟くその声にもオレはドキドキする。
「い……いいよ。寝てねぇーんだろ。
本当はもっと寝かしてやりたかったんだけど、手島さんから、差し入れ」
オレは照れくさくて、ガバッと身体を起こすと、カートのほうへ目をやった。
オレ達は冷めないうちに食事を終え、二人で風呂に入った。
オレはシャワーを浴びたからいいって言ったけど、ハヤがどうしてもって……。
いや、ホント、どうしてもって言うから、一緒に入った。
へへっ、膝に座って、湯船に浸かったりしたんだけど……。
ハヤは下着姿に、軽くバスローブを肩に引っ掛け部屋の中央に置かれたテーブルセットに腰をおろした。
たくましい胸板がバスローブからチラチラ見えて、さっき風呂場で散々見たのに、なんだかドキドキした。
「手島さんが俺に連絡をくれたんだ」
「………うん」
とうとう来た。本題だ。ハヤはどこまで知っていたんだろう?
オレはどこまで話したらいいんだろう。
「手島さんを知ってるんだね」
「………うん。
オレがここに来るってのは、自分で決めたんだ。
谷垣さんや手島さんに無理矢理連れて来られたわけじゃなくて……。
部屋に鍵もかけられてないし、だから……オレ……」
「自分から俺の性奴隷になろう……と……」
「…………」
俺は俯いた。
今はその考えは間違っていたと思っていたからだ。
この部屋によく似合う、ごてごてした調度品のような置時計に目をやった。
時間は7時40分過ぎ。
たぶん2時間は寝ていたかなぁ。
ハヤの睡眠時間が気になった。
おおっと、とにかくなにか着ようかな。
ハヤには薄い掛け布団をきせたが、長く裸が身についてしまっていて、自分は何も着ていないのに違和感がなかった。
バスルームのタオルかけの横にバスローブがあったのを思い出した。
それを着て、そぉっと廊下に繋がる扉を開けた。
人影はなかった。
扉の前にカートとキャスター付きのハンガーラックが置いてあり、カートの上には二人分の食事の皿やスープの器などが3段にわたって乗せられていて、ハンガーラックには、高級ブランドのロゴの入ったカバーのかかったスーツが二着掛けられいた。
オレは、静かにその二つを部屋へと押し入れた。
よく見るとハンガーラックの下の台にはオレがここに来るとき着ていた制服とカバンもあった。
スマホのメールや着信は喧しいほど入っていて、オレは静かに画面を消した。
あんなに大切だったチャットのやり取りも、バイトのシフトも、合コンの手配も、流行ってるファッションも、ゲームのセーブデータも、今のオレには必要ないもののように思えた。
コイツのことだけ……。
本当に大切にしたいものが出来たとき、人は初めて真っ直ぐに進めるものだと感じた。
スープが冷めないうちにとハヤの枕元に腰を下ろすと、少しカールしたハヤの髪をかき上げ声をかけた。
「ハヤ…… ハヤ……」
ゆっくり大きな手がオレの頭を引き寄せ、抱きしめる。
「ごめん……俺、寝ちゃってた……」
静かに耳元で呟くその声にもオレはドキドキする。
「い……いいよ。寝てねぇーんだろ。
本当はもっと寝かしてやりたかったんだけど、手島さんから、差し入れ」
オレは照れくさくて、ガバッと身体を起こすと、カートのほうへ目をやった。
オレ達は冷めないうちに食事を終え、二人で風呂に入った。
オレはシャワーを浴びたからいいって言ったけど、ハヤがどうしてもって……。
いや、ホント、どうしてもって言うから、一緒に入った。
へへっ、膝に座って、湯船に浸かったりしたんだけど……。
ハヤは下着姿に、軽くバスローブを肩に引っ掛け部屋の中央に置かれたテーブルセットに腰をおろした。
たくましい胸板がバスローブからチラチラ見えて、さっき風呂場で散々見たのに、なんだかドキドキした。
「手島さんが俺に連絡をくれたんだ」
「………うん」
とうとう来た。本題だ。ハヤはどこまで知っていたんだろう?
オレはどこまで話したらいいんだろう。
「手島さんを知ってるんだね」
「………うん。
オレがここに来るってのは、自分で決めたんだ。
谷垣さんや手島さんに無理矢理連れて来られたわけじゃなくて……。
部屋に鍵もかけられてないし、だから……オレ……」
「自分から俺の性奴隷になろう……と……」
「…………」
俺は俯いた。
今はその考えは間違っていたと思っていたからだ。
0
お気に入りに追加
3,671
あなたにおすすめの小説
【完結済】やり直した嫌われ者は、帝様に囲われる
紫鶴
BL
七宝、という都を囲う結界を作る役割を担う役職がある。
俺は前の人生で優秀な弟を差し置いて帝に選ばれた。異議を唱えるのが怖くてそのままその役割をこなしていたが、そのせいで最悪の事態を引き起こした。
だから、今度は間違えない。
必ず、貴方を都を守る。
ーーーー
主人公好きすぎて何でもするし勘違いする帝×確実にチート級なのに環境のせいで評価されなかった自己肯定低い主人公
和風ファンタジーです!
男性妊娠可能。
ムーンにも連載中
2021/04/29 前の話加筆修正しました!お暇な時読んでください……。
開発されに通院中
浅上秀
BL
医者×サラリーマン
体の不調を訴えて病院を訪れたサラリーマンの近藤猛。
そこで医者の真壁健太に患部を触られ感じてしまう。
さらなる快楽を求めて通院する近藤は日に日に真壁に調教されていく…。
開発し開発される二人の変化する関係の行く末はいかに?
本編完結
番外編あり
…
連載 BL
なお作者には専門知識等はございません。全てフィクションです。
※入院編に関して。
大腸検査は消化器科ですがフィクション上のご都合主義ということで大目に見ながらご覧ください。
…………
自称不感症の援交少年の陥落
ムーン
BL
毎月三十万以上のノルマを課せられて売春を繰り返す男子大学生、レイン。彼は不感症で自分を買った男に感じさせられたことがなかった。
ある月、ノルマ達成の危機に瀕し、怪しい噂のある客を紹介してもらう。反社会的な人間かもしれないと怯えつつもその客に会ってみると、優しそうな中年男性だった。
高級レストランでの夕食や何気ない世間話に付き合わされ、寂しいだけの富豪だと油断して行為に臨んだ彼はその日、初めての絶頂を味わうことになる。
──
────
高校の制服を着て身体を売る男子大学生、イケおじの超絶テクと玩具に初絶頂&快楽堕ち!
※売春描写があります
※近親相姦描写があります
※主人公の受けは不特定多数の男性と肉体関係を持っています、ご了承ください
※完結しました!
変態の館
いちみやりょう
BL
短いエロ小説置き場。
大体一話完結、もしくは前後編でエロを書きたい衝動に駆られた時に書いたものを置く場所です。
ストーリー性ほぼなし。ただのエロ。
以下私の書きがちなもの
浣腸/温泉浣腸/食ザー/イマラチオ/ショタ/オナホ扱い/精子ボテ/腹ボコ/産卵/肉便器/輪姦/結腸責め/獣姦/四肢欠損
【本編完結】婚約者には愛する人がいるのでツギハギ令嬢は身を引きます!
ユウ
恋愛
公爵令嬢のアドリアーナは血筋だけは国一番であるが平凡な令嬢だった。
魔力はなく、スキルは縫合という地味な物だった。
優しい父に優しい兄がいて幸せだった。
ただ一つの悩みごとは婚約者には愛する人がいることを知らされる。
世間では二人のロマンスが涙を誘い、アドリア―ナは悪役令嬢として噂を流されてしまう。
婚約者で幼馴染でもあるエイミールには友人以上の感情はないので潔く身を引く事を宣言するも激怒した第一皇女が王宮に召し上げ傍付きに命じるようになる。
公爵令嬢が侍女をするなど前代未聞と思いきや、アドリア―ナにとっては楽園だった。
幼い頃から皇女殿下の侍女になるのが夢だったからだ。
皇女殿下の紹介で素敵な友人を紹介され幸せな日々を送る最中、婚約者のエイミールが乗り込んで来るのだったが…。
子供を拾ったら愛を知らない野獣公爵に過保護なほどに溺愛されました。
犬居
BL
ある日、婚約者の不貞を見てしまったユリアス・ディオニスは、「最後に一度だけ抱いてやろうか?」と言われそれに反抗し、伯父のいるルーヴァニア帝国へと身を置くことになった。“血の流れる野蛮な国“とも呼び声が高い一方で、年々国々での公益や商売で儲け戦争では負けなしの発展を遂げる帝国で、ユリアスは道中小さな子供を見つける。
酷い熱と外傷で放って置けず、伯父の家で治療をしているとしばらくして、尋ねてきたのは帝国内最強(恐)とされる野獣公爵だった。
その後、子を彼へ受け渡そうとするも、なかなか離してもらえず最終的に公爵家でお世話になることになり………??
戻る場所がなくなったようなので別人として生きます
しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。
子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。
しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。
そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。
見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。
でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。
リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。
オメガバース~運命が導く愛~
松倖 葉
BL
愛される事を諦めていた少年。いつもの日常の中でたった一人の運命の人に出会う。愛されることを諦めた少年と愛する事を知らず生きてきた男とのすれ違いながらも愛を深める二人の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる