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イギリスから
5. 《隼人side》なんて傲慢で、身勝手な考えなんだ!!
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《隼人side》
廊下の一番奥の大きな扉が設計上父さんの寝室だろうと予想はついた。
すぐその隣の部屋。
すこしだけ扉が開いていて、話し声が聞こえた。
『アレは彼しか見ていない。
いつか浜崎夏斗でアレは足元をすくわれることになる。
そして、それはこの谷垣家を脅かすこととなるんだ。
それは、許されないんだよ』
『……わかります。しかし! でしたらもう、夏斗くんを巻き込まないことだって出来たはずです。それなのにあなたは彼に声を掛けた』
父さんと手島さんの声。
手島さんは声を荒げて、懇願している様子だ。
ナツが谷垣家を脅かす?!
それは許されないってどういう意味なんだ。
しかし、次の父さんの言い放った言葉に俺はショックを受けた。
『私は、浜崎夏斗より、息子がかわいいんだ。
その意味はわかるか?』
ナツより、俺がかわいい!?
だから、ナツは調教され、犠牲になっても、俺がナツを欲しがっているならそれでかまわないということか!!
なんて傲慢で、身勝手な考えなんだ!!
俺は怒りに震えた。
そして、隙間から覗いたとき、乱れた姿で首輪を付けさせられ、鎖に繋がれた手島さんの姿が目に入り、理性を失った。
もう二人の会話も聞こえない。
俺は二人に駆け寄ると、力任せに父さんを殴っていた。
「は……隼人さん!!」
父さんの体はベッドへと飛び、手島さんは驚き俺の名を叫んだ。
「はぁっはぁっはぁっ……
はぁぁぁぁぁぁーー!!!」
バキッ!!!!
俺は得意の空手で、手島さんの鎖を繋いでいた木製のベッドの柱を叩き割った。
「父さん、これは一体どういうことなんですか!?」
俺はベッドからようやく身体を起こした父さんに言い放った。
「手島……お前か……」
父さんは俺のほうを見ず、口元をぬぐいながら呟く。
「どういうことかと、聞いているんです!!!!」
俺は力の限り声を荒げた。
「手島さんにこんなことをして!!
ナツにまでこんな事をさせるつもりだったんですか?!
それで俺が
喜ぶと
思ったんですか!!!!!」
もう一度父さんに掴みかかり、こぶしを振り上げた。
「隼人さん!! 止めてください!!!」
手島さんが俺の腕にしがみついた。
「私のことはいいんです。
私は望んでこの立場にいたのです。そして、報われたのです」
「手島さん……」
潤んだ瞳で制止する手島さんの姿とその言葉で、俺は静かにこぶしを下ろした。
「不器用な、この方を許してやってください。
そして、隼人さんはもう間違わないで。
黙って去るなどということが、残された者の心をどんなに寂しいものにするか……」
ぐさっとくる言葉だった。
「社長は不器用でも、私をずっと側に置くという方法を取ってくださいました。立場は辛くてもお側にいられるだけで報われると感じる。そんな愛もあるのです。
夏斗くんもそう考え、覚悟を決めてここに来ました。すべては隼人さん、あなたの側にいたいから……。
彼の気持ちは痛いほど分かります」
頬をさすりよろっと座り込む父さんに手島さんは寄り添う。
「ただ、隼人さんも彼を愛しているのなら、もう私達のように上下の関係に縛られる必要は無いんです」
手を握りそう言う手島さんの胸に父さんはしがみついた。
父さんと手島さんの間には、まだ俺の分からない絆があったのかもしれない。
「早く!!夏斗くんのところへ!!
1階の一番奥の納戸から、地下への扉があります。
もう急がないと……」
俺は父さんと手島さんをその部屋へ残し、急いで1階まで降り、この家でまだ行ったことの無い地下の扉を開けた。
廊下の一番奥の大きな扉が設計上父さんの寝室だろうと予想はついた。
すぐその隣の部屋。
すこしだけ扉が開いていて、話し声が聞こえた。
『アレは彼しか見ていない。
いつか浜崎夏斗でアレは足元をすくわれることになる。
そして、それはこの谷垣家を脅かすこととなるんだ。
それは、許されないんだよ』
『……わかります。しかし! でしたらもう、夏斗くんを巻き込まないことだって出来たはずです。それなのにあなたは彼に声を掛けた』
父さんと手島さんの声。
手島さんは声を荒げて、懇願している様子だ。
ナツが谷垣家を脅かす?!
それは許されないってどういう意味なんだ。
しかし、次の父さんの言い放った言葉に俺はショックを受けた。
『私は、浜崎夏斗より、息子がかわいいんだ。
その意味はわかるか?』
ナツより、俺がかわいい!?
だから、ナツは調教され、犠牲になっても、俺がナツを欲しがっているならそれでかまわないということか!!
なんて傲慢で、身勝手な考えなんだ!!
俺は怒りに震えた。
そして、隙間から覗いたとき、乱れた姿で首輪を付けさせられ、鎖に繋がれた手島さんの姿が目に入り、理性を失った。
もう二人の会話も聞こえない。
俺は二人に駆け寄ると、力任せに父さんを殴っていた。
「は……隼人さん!!」
父さんの体はベッドへと飛び、手島さんは驚き俺の名を叫んだ。
「はぁっはぁっはぁっ……
はぁぁぁぁぁぁーー!!!」
バキッ!!!!
俺は得意の空手で、手島さんの鎖を繋いでいた木製のベッドの柱を叩き割った。
「父さん、これは一体どういうことなんですか!?」
俺はベッドからようやく身体を起こした父さんに言い放った。
「手島……お前か……」
父さんは俺のほうを見ず、口元をぬぐいながら呟く。
「どういうことかと、聞いているんです!!!!」
俺は力の限り声を荒げた。
「手島さんにこんなことをして!!
ナツにまでこんな事をさせるつもりだったんですか?!
それで俺が
喜ぶと
思ったんですか!!!!!」
もう一度父さんに掴みかかり、こぶしを振り上げた。
「隼人さん!! 止めてください!!!」
手島さんが俺の腕にしがみついた。
「私のことはいいんです。
私は望んでこの立場にいたのです。そして、報われたのです」
「手島さん……」
潤んだ瞳で制止する手島さんの姿とその言葉で、俺は静かにこぶしを下ろした。
「不器用な、この方を許してやってください。
そして、隼人さんはもう間違わないで。
黙って去るなどということが、残された者の心をどんなに寂しいものにするか……」
ぐさっとくる言葉だった。
「社長は不器用でも、私をずっと側に置くという方法を取ってくださいました。立場は辛くてもお側にいられるだけで報われると感じる。そんな愛もあるのです。
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彼の気持ちは痛いほど分かります」
頬をさすりよろっと座り込む父さんに手島さんは寄り添う。
「ただ、隼人さんも彼を愛しているのなら、もう私達のように上下の関係に縛られる必要は無いんです」
手を握りそう言う手島さんの胸に父さんはしがみついた。
父さんと手島さんの間には、まだ俺の分からない絆があったのかもしれない。
「早く!!夏斗くんのところへ!!
1階の一番奥の納戸から、地下への扉があります。
もう急がないと……」
俺は父さんと手島さんをその部屋へ残し、急いで1階まで降り、この家でまだ行ったことの無い地下の扉を開けた。
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