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ハヤの実家

5. 親公認って感じでいいかなぁなんて……

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震える手島さんに寄り添い、オレはなだめていた。

「いや、性奴隷になるってのは、オレの覚悟だし……。それでハヤの側に一生居られるならって思ってるしさ。
親公認って感じでいいかなぁなんて……」

本当は今でも逃げ出したい。
でも、それ以上にハヤと生きていきたい。
その為の覚悟だったんだ。


「夏斗君、先ほど私が社長に愛されて、今こうしているんじゃないかと尋ねたね」

おもむろに顔を上げた手島さんが話し出した。


「それは、違うよ。
私は……私のほうはあの方をずっとお慕い申しあげております。
でも社長は……。

私が14歳の時、何もわからないまま先代の社長にここに連れて来られたんです。
売られて行く身だと、後で知りました。
一通り調教が済み、実践という事を聞かされてピンと来ないままその日を迎えてしまいました……」

そこまで言って一度言葉を詰まらせた。

手島さんは何かを思い起こしながら一点を見つめ、小刻みに震える自分の肩を抱き込む。
そしてはぁ……と息を整えた。

「社長が先代の社長から今の会社を引き継ぐことが決まった時、社長は私に首輪をはめました。
私を買ったのが、今の谷垣社長だったんです。

社長にとって、私はそれだけの存在。
『首輪』とは性奴隷の証、私たちの認識ではそうでした。
だから……」


「……なぜ私が社長のお側に居ると思いますか?」

「えっ?」

手島さんの体験の続きを聞きたかったのに、突然質問され驚いた。

「そ…そりゃあ、……好き…だから?」

「……違う。私の気持ちなんて……。

社長の奥様は才能や美貌だけで見染めた方でした。社長にとって奥様はあと継ぎを産んでもらうだけのもの。
奥様も、キャッスルプレスの社長夫人という肩書が欲しいだけの人で、それを承知で結婚なさいました。
ですので、夫婦仲は元々冷え切っていました。

しかしこれだけの大きな会社の社長となると、奥様以外の女性の方とのスキャンダルはご法度。
そんなものを狙っている輩は沢山いましたからね。
イメージもクリアにしていかないと、いつ外資系の企業から乗っ取られるかもわかりません。秘書も女性では格好のネタにされます。

私は、その為に社長のお側に居るんです」

「秘書という仕事の傍ら欲求のはけ口。
性奴隷なんて、求められはしますが単なる退屈しのぎのオモチャに過ぎないんです」


そんな………。

オレはこの世界を……遥か上の世界を目の当たりにし、言葉を失った。

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