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第三章 : 想いを重ねるリトグラフ
石川様と御主人の思い出
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「おばあちゃん、反抗してたんだ。勇気あるね」
「おばあちゃんだって、ビクビクしながら、おじいちゃんに会っていたのよ。校内と通学路以外は話すことさえできなかったの」
何処か遠くの方を見つめながら、石川様が話しを続ける。
その僅かな間隙を縫うように片桐さんが、石川様と私の分の紅茶とスイーツを持って姿を見せる。
流石、片桐さん。さりげない気遣いが本当に有難い。
「失礼します。どうぞ、お話を続けてください」
トレイを持ち、そっとその場を去ろうとする彼を美来ちゃんが引き留める。
片桐さんは少し、ばつが悪そうにしつつも、私達の恋愛話に加わる事にしたようだ。
「あら、片桐さんまで加わるのね」
石川様が少し冷やかす様に、そう言うと、いよいよ片桐さんは動けなくなってしまった。
「それで、おばあちゃん達は、どうやって結婚までこぎつけたの?」
美来さんがストレートに問い掛ける。
「……そうね。簡単に言えば、駆け落ちみたいなものかしら」
穏やかな口調で石川様は大胆な発言をする。
「簡単じゃないし!」
美来さんの的確で小気味好い指摘に調子を合わせる様、私と片桐さんも『うんうん』と二人同時に頷く。
石川様は『フフフ』と少しだけ、この状況を楽しんでいるかの様に笑い、また静かに話始める。
「おじいちゃんと学校の帰り道に、どうしても寄ってみたい甘味処があって、ある日こっそり二人で行ってしまったの……それを同級生の親御さんに見られてしまって」
「告げ口されたの?」
「そうね。告げ口のつもりはなかったのかもしれないけれど」
結果、石川様はご両親から交際を固く禁止され、使用人に終始、見張られる様になってしまったのだという。
その後に、ご両親の決めた縁談相手の方と無理矢理、会う約束をされ、思い悩んだ彼女は体調を崩してしまい入院をする事になってしまう。
「あの時は、おじいちゃん以外の人、全てが敵の様に思えてしまって。親には親なりの『娘には苦労させたくない』って思いがあったのかもしれないけれど……」
「おじいちゃんとおばあちゃんの家って、そんなに環境の違いがあったの?」
「ううん。同じ私立の学校だったから、そんなに違いはなかったと思うわ……ただ、おじいちゃんのお家が経営していた会社の業績が悪化し始めてしまって」
「そんな事で……おばあちゃんの両親、冷たい!」
「……そうね。私も当時は、そう思ったの。だから結局、高校を卒業して、すぐに二人で東京に逃げる様に家を出てしまったのよ」
「おばあちゃんだって、ビクビクしながら、おじいちゃんに会っていたのよ。校内と通学路以外は話すことさえできなかったの」
何処か遠くの方を見つめながら、石川様が話しを続ける。
その僅かな間隙を縫うように片桐さんが、石川様と私の分の紅茶とスイーツを持って姿を見せる。
流石、片桐さん。さりげない気遣いが本当に有難い。
「失礼します。どうぞ、お話を続けてください」
トレイを持ち、そっとその場を去ろうとする彼を美来ちゃんが引き留める。
片桐さんは少し、ばつが悪そうにしつつも、私達の恋愛話に加わる事にしたようだ。
「あら、片桐さんまで加わるのね」
石川様が少し冷やかす様に、そう言うと、いよいよ片桐さんは動けなくなってしまった。
「それで、おばあちゃん達は、どうやって結婚までこぎつけたの?」
美来さんがストレートに問い掛ける。
「……そうね。簡単に言えば、駆け落ちみたいなものかしら」
穏やかな口調で石川様は大胆な発言をする。
「簡単じゃないし!」
美来さんの的確で小気味好い指摘に調子を合わせる様、私と片桐さんも『うんうん』と二人同時に頷く。
石川様は『フフフ』と少しだけ、この状況を楽しんでいるかの様に笑い、また静かに話始める。
「おじいちゃんと学校の帰り道に、どうしても寄ってみたい甘味処があって、ある日こっそり二人で行ってしまったの……それを同級生の親御さんに見られてしまって」
「告げ口されたの?」
「そうね。告げ口のつもりはなかったのかもしれないけれど」
結果、石川様はご両親から交際を固く禁止され、使用人に終始、見張られる様になってしまったのだという。
その後に、ご両親の決めた縁談相手の方と無理矢理、会う約束をされ、思い悩んだ彼女は体調を崩してしまい入院をする事になってしまう。
「あの時は、おじいちゃん以外の人、全てが敵の様に思えてしまって。親には親なりの『娘には苦労させたくない』って思いがあったのかもしれないけれど……」
「おじいちゃんとおばあちゃんの家って、そんなに環境の違いがあったの?」
「ううん。同じ私立の学校だったから、そんなに違いはなかったと思うわ……ただ、おじいちゃんのお家が経営していた会社の業績が悪化し始めてしまって」
「そんな事で……おばあちゃんの両親、冷たい!」
「……そうね。私も当時は、そう思ったの。だから結局、高校を卒業して、すぐに二人で東京に逃げる様に家を出てしまったのよ」
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