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第2話 召喚されし勇者たちの覚悟
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驚きと歓喜の声に満ちた広い部屋で、僕たちは尻もちをつきながら、愕然としていた。そんな中、玉座らしい大きな椅子に座る一人の男が目に入る。
「どうやら、召喚は成功したようだな、ゼニス」
「はい、お父様、これでやっと魔王討伐に乗り出せます」
豪華に装飾された椅子に座る王のような身なりした男と可憐なドレスを身に纏う幼さ女の子が笑みを浮かべた。
「ここは一体?」
「おいおい、なんだよこれ、さっきまで教室にいただろうが」
「落ち着きなさいよ、貴弘」
「…………ここは」
何が起こったのか、分かっていない理解できないのは当然だ。そんな中、玉座に座る男が口を開く。
「混乱しているだろうが、落ち着いて聞いてほしい、勇者たちよ」
渋く重くこの部屋全体に響き渡る声に、僕たちは自然と注目し、口を閉ざした。
勇者と魔王というワード。僕は何となく予想がついた。
やっぱり、これはよくある…………あれだわ。
「私は、ルクスニア王国の王、カーセル・ルクスニア。今この世界は魔王の手によって人類滅亡の危機に陥っている。どうか、人類を救うため魔王を討伐してほしい」
玉座に座る男は願うように僕たちを勇者と呼び、深く頭を下げながら助けを求めた。
そこで、最初にしゃべりだしたのが、御剣くんだった。
「あ、あの、イマイチ話の意図がわからないのですが…………」
「そうだろう。勇者の皆様はまだ召喚されたばかり。何も知らずわからないのは当然。…………ゼニスよ、勇者の皆様に詳しい説明を」
「はい、お父様が言った通り、この世界は今、魔王の手によって人類滅亡の危機に陥っているのです。そこで、私たちは勇者召喚の議を執り行い、こうして5人の勇者様をお呼びしました。そして、私たちが願うのはただ一つ、魔王の討伐。どうか、勇者様、人類の平和のために、魔王を討伐してくださいっ!」
そのゼニス王女が涙を流しながら心に訴えかけてくる言葉に御剣くんは頷いた。
何をゼニス王女から感じ取ったのか、ゆっくりと顔を上げる。
「…………あの一つ質問してもいいですか?」
「なんでしょう」
「俺たちは、元の世界に帰ることができるんですか?」
いい質問だと思う。
魔王を討伐しても、元の世界に帰れないのでは意味がないからだ。
「そこはご心配ございません。魔王討伐に成功すれば、女神さまの奇跡により、元の世界へご帰還できます。実際に、先代の勇者様も魔王討伐後、もとの世界にご帰還しております」
「なるほどなら…………」
御剣くんはゆっくりと僕たちのほうに振り向き、決心したかのような男らしい表情を浮かべた。
「俺は、困っている人たちを見過ごせない。そして、人類を苦しめている魔王を討伐できるのは勇者として選ばれた俺たちだけだ。だから俺は勇者として、戦うよ。勇者として、魔王を討伐して見せるっ!…………みんなはどうする?」
勇者として戦うと魔王を討伐すると言い切った御剣煉。その覚悟は軽くないことを雰囲気で感じ取れる。その雰囲気にまた一人の男が轟々とした声を上げる。
「煉が戦うなら、俺も戦うしかねぇなっ!それに、困ってるなら助けるのが、礼儀だろ?」
「貴弘っ!?」
「まったく、二人共、変なところで男らしい所見せちゃって、しょうがないな」
「彩音もっ!!」
「私も戦う。困っている人たちを見捨てられないし、それにみんなで戦ったほうが、心強いよね」
「結奈!?みん…………」
御剣くんが驚きながら、何かを口にしようとしたとき、結奈が言葉を重ねた。
「日向くんも、そう思うよね?」
西宮さんの言葉の矛先は突如、角度を急激に曲げて、僕のほうに向いた。しかも、御剣くんの言葉を遮りながら、割と大きな声で。
「あ、そうだね、うん」
「みなさんの覚悟、感謝いたします。それでは勇者様たちには、訓練場に出向いたもらいます。そこで、勇者の皆様に必要な知識をわが国、随一の優秀な魔法使いがご指導します。騎士の皆さん、勇者の皆様を案内しなさい」
「「はっ!!」」
騎士二人は声を上げた後、ゆっくり近づき。
「では、勇者の皆様、訓練場まで案内いたしますので、後ろについてきてください」
「わかりました」
僕たちは騎士を先頭に訓練場に案内された。
「どうやら、召喚は成功したようだな、ゼニス」
「はい、お父様、これでやっと魔王討伐に乗り出せます」
豪華に装飾された椅子に座る王のような身なりした男と可憐なドレスを身に纏う幼さ女の子が笑みを浮かべた。
「ここは一体?」
「おいおい、なんだよこれ、さっきまで教室にいただろうが」
「落ち着きなさいよ、貴弘」
「…………ここは」
何が起こったのか、分かっていない理解できないのは当然だ。そんな中、玉座に座る男が口を開く。
「混乱しているだろうが、落ち着いて聞いてほしい、勇者たちよ」
渋く重くこの部屋全体に響き渡る声に、僕たちは自然と注目し、口を閉ざした。
勇者と魔王というワード。僕は何となく予想がついた。
やっぱり、これはよくある…………あれだわ。
「私は、ルクスニア王国の王、カーセル・ルクスニア。今この世界は魔王の手によって人類滅亡の危機に陥っている。どうか、人類を救うため魔王を討伐してほしい」
玉座に座る男は願うように僕たちを勇者と呼び、深く頭を下げながら助けを求めた。
そこで、最初にしゃべりだしたのが、御剣くんだった。
「あ、あの、イマイチ話の意図がわからないのですが…………」
「そうだろう。勇者の皆様はまだ召喚されたばかり。何も知らずわからないのは当然。…………ゼニスよ、勇者の皆様に詳しい説明を」
「はい、お父様が言った通り、この世界は今、魔王の手によって人類滅亡の危機に陥っているのです。そこで、私たちは勇者召喚の議を執り行い、こうして5人の勇者様をお呼びしました。そして、私たちが願うのはただ一つ、魔王の討伐。どうか、勇者様、人類の平和のために、魔王を討伐してくださいっ!」
そのゼニス王女が涙を流しながら心に訴えかけてくる言葉に御剣くんは頷いた。
何をゼニス王女から感じ取ったのか、ゆっくりと顔を上げる。
「…………あの一つ質問してもいいですか?」
「なんでしょう」
「俺たちは、元の世界に帰ることができるんですか?」
いい質問だと思う。
魔王を討伐しても、元の世界に帰れないのでは意味がないからだ。
「そこはご心配ございません。魔王討伐に成功すれば、女神さまの奇跡により、元の世界へご帰還できます。実際に、先代の勇者様も魔王討伐後、もとの世界にご帰還しております」
「なるほどなら…………」
御剣くんはゆっくりと僕たちのほうに振り向き、決心したかのような男らしい表情を浮かべた。
「俺は、困っている人たちを見過ごせない。そして、人類を苦しめている魔王を討伐できるのは勇者として選ばれた俺たちだけだ。だから俺は勇者として、戦うよ。勇者として、魔王を討伐して見せるっ!…………みんなはどうする?」
勇者として戦うと魔王を討伐すると言い切った御剣煉。その覚悟は軽くないことを雰囲気で感じ取れる。その雰囲気にまた一人の男が轟々とした声を上げる。
「煉が戦うなら、俺も戦うしかねぇなっ!それに、困ってるなら助けるのが、礼儀だろ?」
「貴弘っ!?」
「まったく、二人共、変なところで男らしい所見せちゃって、しょうがないな」
「彩音もっ!!」
「私も戦う。困っている人たちを見捨てられないし、それにみんなで戦ったほうが、心強いよね」
「結奈!?みん…………」
御剣くんが驚きながら、何かを口にしようとしたとき、結奈が言葉を重ねた。
「日向くんも、そう思うよね?」
西宮さんの言葉の矛先は突如、角度を急激に曲げて、僕のほうに向いた。しかも、御剣くんの言葉を遮りながら、割と大きな声で。
「あ、そうだね、うん」
「みなさんの覚悟、感謝いたします。それでは勇者様たちには、訓練場に出向いたもらいます。そこで、勇者の皆様に必要な知識をわが国、随一の優秀な魔法使いがご指導します。騎士の皆さん、勇者の皆様を案内しなさい」
「「はっ!!」」
騎士二人は声を上げた後、ゆっくり近づき。
「では、勇者の皆様、訓練場まで案内いたしますので、後ろについてきてください」
「わかりました」
僕たちは騎士を先頭に訓練場に案内された。
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