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第1話 召喚されし5人の生徒
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普通の高校生の定義、それはいったい何なのだろうか。と考えてみたりする。
目先の教卓を囲んで楽しく会話をしている高校生たちと、こうして椅子に座って誰ともしゃべらず眺めている自分、客観的に見たら、どちらが普通の高校生だろうか。
答えは決まっている。
「おいおい、聞いたぜ、煉!お前、サッカー部のキャプテンになったんだってな」
「どこでそのことを聞いたんだよ、貴弘」
「それりゃあもちろん、サッカー部のマネージャーからだよ」
「貴弘っ!あんた、またマネージャーにナンパしたわね!」
「ちげぇよ、ただ通りかかったから、聞いただけだ。カリカリすんなよ、彩音」
「げっ、気安く私の名前を呼ばないでくれる、結奈も言ってやって」
「…………あっ、そうだね、うん」
「結奈?あ、もしかして、また日向君のこと心配しているの?」
「だって、毎日、一人だし…………」
「結奈は優しいな。ただ、あまり優しすぎると、日向くんも困るんじゃないか?」
「煉は嫉妬しているだけでしょ」
「なぁ、そんなことないが!!」
これが普通の高校生だ。何の話をしているかは周りの生徒たちの声が重なって分からないが、楽しくコミュニケーションを取り、人間関係を築く。まさしく、普通の高校生の模範。
だから、こうして、コミュニケーションも取れず、友達もいない僕、柊日向は普通ではない。
趣味はアニメ鑑賞、休日はボランティア活動、学校がある日は、こうして一人静かに椅子に座って窓の外を眺めたり、本を読んだりしている。
運動は苦手じゃないけど、好きじゃない。部活にも入っていないから、人間関係も終わっている。
もう高校2年生なのに、高校に入学してから、友達が一人もいないのだ。
だが、心配しないでほしい。正直、僕は諦めている。
この現状になってもう1年以上が過ぎ、僕のイメージは学年に定着してしまっている。こうなってしまった以上、なにかしら大きな印象を生徒たちに植え付けなくては助からない。
ならいっそ、このまま地味に高校を卒業したほうが、楽だろう。
だけど、そうさせてくれないクラスメイトが一人いる。
「ねぇ、日向くん」
「…………ん?」
声が聞こえるほうを向けば、目の前に女神がいた。と思ってしまうほどの学年一の美少女。西宮結奈が話しかけてくるのだ。
西宮結奈、学年が誇る女神であり、間違いなく、学年の一の人気者。
特に2年生になるまで、接点すらなかったが夏休み明けからよく話しかけてくるようになった。
「何してるの?」
「あ、ああ、今日の夜ご飯どうしようかなって」
「へぇ、日向くんって料理できるんだ」
「料理って言っても、簡単なものしかできないけど」
「すごいなぁ、私なんてお菓子しか作れなくて」
「お菓子作れるなんてすごいよ。お菓子作りって配分ミスるだけど、おいしくなくなっちゃうし」
「そうかな、えへへ」
今回は料理の話か、っと心の中で安堵した。
別に話すこともないはずなのに、何かしらの話題を作ってはほぼ毎日話しかけてくる。毎放課後だけじゃないだけ、マシだけど、問題はそこじゃない。
問題は西宮さんが学年の一の人気者だということだ。
おかげで、男子女子問わず、睨まれる、それに。
「結奈、日向くんと何を話しているんだい?」
「料理の話だよ、日向くん、料理できるんだって」
「そうなんだ、すごいじゃん。見るからにできなさそうなのに、本当にできるのか?」
御剣煉、学年一のイケメンで運動神経抜群、サッカー部に入部してすぐにエースと呼ばれるようになり、何より西宮さんと話していると必ず割り込んできては、トゲトゲした一言を必ず、言い放ってくる。
御剣くん、絶対、西宮さんのこと好きだよ。じゃなきゃ、おかしいぐらいに言葉にトゲがある。もし好きじゃないなら、それこそ「そっちに興味あるの!?」ってなるよ。
「煉くん、そんなこと言っちゃダメでしょ。ごめんね、日向くん」
「別にいいよ、気にしてないから」
「おいおい、俺たちを置いて、何を話しているんだよって、陰キャの日向じゃん。なんだよ、いつの間に仲良くなったんだ?」
「貴弘っ!言葉には気を付けないさいっ!ごめんね、日向くん。貴弘は別に悪気があるわけじゃないの」
気づけば、西宮さんを中心に、御剣くん、西郷くん、朱宮さんが僕の机を囲っていた。
今日は今週一の最悪な一日になるかもしれない。
西宮さんを中心に集まった4人は僕がいないかのように扱いながら、またいつものように会話を始めた。いや、正確に言うなら、西宮さんに好意を抱く男子二人が勝手に会話をしている。
西宮さんの可哀想と言わんばかりの瞳と視線、その様子を気遣う朱宮さん。
普通に恥ずかしいから、やめてほしい。僕だって羞恥心があるんだぞ。
しばらくすると、授業が始まるチャイムが鳴る。
僕の机を囲っていた4人組が淡々と離れていく中、西宮さんは最後、耳打ちで。
「またね」
「え…………」
僕はすぐに右耳を手で覆ったが、その言動が面白かったのか西宮さんはクスクスと笑いながら席に戻っていった。
女子生徒はみんな、平気であんなことをするのだろうか。
再び自分の世界に戻る。授業のノートはまじめにとりながら、時々窓の外を眺めていると、周りの生徒たちが突然、騒ぎ始めた。
「なんだ」「なんだ」っと声を上げ、その状態はあまりにも異常事態だった。僕もその声につられ、視線を戻すと、さっきまで僕の机を囲んでいた4人が不思議な光で包まれているではないか。
視線は4人に集まっており、みんな、その光に戸惑い、驚いていた。
いや、でもなぜだ。なぜ、僕にも視線が集まっているんだ。と疑問に思った。
そして、こんな僕でもすぐに気づいた。
謎の光に包まれていたのは、あの4人だけではなかった。この僕も謎の光に包まれていた。
「ど、どうなってるんだよ」
そんな状態に先生も慌てていると、謎の光は徐々に強くなり、一気に神々しく輝き始める。そして、教室全体を覆った。
その先のことは覚えていない。
ただ気がつけば、視界に広がったのは、現代とは似つかない衣服を纏った人たちが僕たちを見て驚きと歓喜に打ち震える姿だった。
目先の教卓を囲んで楽しく会話をしている高校生たちと、こうして椅子に座って誰ともしゃべらず眺めている自分、客観的に見たら、どちらが普通の高校生だろうか。
答えは決まっている。
「おいおい、聞いたぜ、煉!お前、サッカー部のキャプテンになったんだってな」
「どこでそのことを聞いたんだよ、貴弘」
「それりゃあもちろん、サッカー部のマネージャーからだよ」
「貴弘っ!あんた、またマネージャーにナンパしたわね!」
「ちげぇよ、ただ通りかかったから、聞いただけだ。カリカリすんなよ、彩音」
「げっ、気安く私の名前を呼ばないでくれる、結奈も言ってやって」
「…………あっ、そうだね、うん」
「結奈?あ、もしかして、また日向君のこと心配しているの?」
「だって、毎日、一人だし…………」
「結奈は優しいな。ただ、あまり優しすぎると、日向くんも困るんじゃないか?」
「煉は嫉妬しているだけでしょ」
「なぁ、そんなことないが!!」
これが普通の高校生だ。何の話をしているかは周りの生徒たちの声が重なって分からないが、楽しくコミュニケーションを取り、人間関係を築く。まさしく、普通の高校生の模範。
だから、こうして、コミュニケーションも取れず、友達もいない僕、柊日向は普通ではない。
趣味はアニメ鑑賞、休日はボランティア活動、学校がある日は、こうして一人静かに椅子に座って窓の外を眺めたり、本を読んだりしている。
運動は苦手じゃないけど、好きじゃない。部活にも入っていないから、人間関係も終わっている。
もう高校2年生なのに、高校に入学してから、友達が一人もいないのだ。
だが、心配しないでほしい。正直、僕は諦めている。
この現状になってもう1年以上が過ぎ、僕のイメージは学年に定着してしまっている。こうなってしまった以上、なにかしら大きな印象を生徒たちに植え付けなくては助からない。
ならいっそ、このまま地味に高校を卒業したほうが、楽だろう。
だけど、そうさせてくれないクラスメイトが一人いる。
「ねぇ、日向くん」
「…………ん?」
声が聞こえるほうを向けば、目の前に女神がいた。と思ってしまうほどの学年一の美少女。西宮結奈が話しかけてくるのだ。
西宮結奈、学年が誇る女神であり、間違いなく、学年の一の人気者。
特に2年生になるまで、接点すらなかったが夏休み明けからよく話しかけてくるようになった。
「何してるの?」
「あ、ああ、今日の夜ご飯どうしようかなって」
「へぇ、日向くんって料理できるんだ」
「料理って言っても、簡単なものしかできないけど」
「すごいなぁ、私なんてお菓子しか作れなくて」
「お菓子作れるなんてすごいよ。お菓子作りって配分ミスるだけど、おいしくなくなっちゃうし」
「そうかな、えへへ」
今回は料理の話か、っと心の中で安堵した。
別に話すこともないはずなのに、何かしらの話題を作ってはほぼ毎日話しかけてくる。毎放課後だけじゃないだけ、マシだけど、問題はそこじゃない。
問題は西宮さんが学年の一の人気者だということだ。
おかげで、男子女子問わず、睨まれる、それに。
「結奈、日向くんと何を話しているんだい?」
「料理の話だよ、日向くん、料理できるんだって」
「そうなんだ、すごいじゃん。見るからにできなさそうなのに、本当にできるのか?」
御剣煉、学年一のイケメンで運動神経抜群、サッカー部に入部してすぐにエースと呼ばれるようになり、何より西宮さんと話していると必ず割り込んできては、トゲトゲした一言を必ず、言い放ってくる。
御剣くん、絶対、西宮さんのこと好きだよ。じゃなきゃ、おかしいぐらいに言葉にトゲがある。もし好きじゃないなら、それこそ「そっちに興味あるの!?」ってなるよ。
「煉くん、そんなこと言っちゃダメでしょ。ごめんね、日向くん」
「別にいいよ、気にしてないから」
「おいおい、俺たちを置いて、何を話しているんだよって、陰キャの日向じゃん。なんだよ、いつの間に仲良くなったんだ?」
「貴弘っ!言葉には気を付けないさいっ!ごめんね、日向くん。貴弘は別に悪気があるわけじゃないの」
気づけば、西宮さんを中心に、御剣くん、西郷くん、朱宮さんが僕の机を囲っていた。
今日は今週一の最悪な一日になるかもしれない。
西宮さんを中心に集まった4人は僕がいないかのように扱いながら、またいつものように会話を始めた。いや、正確に言うなら、西宮さんに好意を抱く男子二人が勝手に会話をしている。
西宮さんの可哀想と言わんばかりの瞳と視線、その様子を気遣う朱宮さん。
普通に恥ずかしいから、やめてほしい。僕だって羞恥心があるんだぞ。
しばらくすると、授業が始まるチャイムが鳴る。
僕の机を囲っていた4人組が淡々と離れていく中、西宮さんは最後、耳打ちで。
「またね」
「え…………」
僕はすぐに右耳を手で覆ったが、その言動が面白かったのか西宮さんはクスクスと笑いながら席に戻っていった。
女子生徒はみんな、平気であんなことをするのだろうか。
再び自分の世界に戻る。授業のノートはまじめにとりながら、時々窓の外を眺めていると、周りの生徒たちが突然、騒ぎ始めた。
「なんだ」「なんだ」っと声を上げ、その状態はあまりにも異常事態だった。僕もその声につられ、視線を戻すと、さっきまで僕の机を囲んでいた4人が不思議な光で包まれているではないか。
視線は4人に集まっており、みんな、その光に戸惑い、驚いていた。
いや、でもなぜだ。なぜ、僕にも視線が集まっているんだ。と疑問に思った。
そして、こんな僕でもすぐに気づいた。
謎の光に包まれていたのは、あの4人だけではなかった。この僕も謎の光に包まれていた。
「ど、どうなってるんだよ」
そんな状態に先生も慌てていると、謎の光は徐々に強くなり、一気に神々しく輝き始める。そして、教室全体を覆った。
その先のことは覚えていない。
ただ気がつけば、視界に広がったのは、現代とは似つかない衣服を纏った人たちが僕たちを見て驚きと歓喜に打ち震える姿だった。
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