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ギルド編
小神野の仲間
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-20XX年 東京-
「小神野! 今日はどれだけの収穫だった? 」
定仙 紅葉。それが仲間の名前だった。共に社会から追放された身であり、盗みを働いては二人でその成果を分けあって過ごしていた。
「インスタントラーメンが六袋。ガム一つ。水500mlが三本ってとこかな」
「ひええ、すげぇなお前は」
「それと......タラララ」
小神野は、ポケットからライターとタバコの箱を取り出した。
「うおおすげぇ! ナイスかよお前! 」
「今日はクリスマスだからな。俺は吸わねぇが、お前にプレゼントだ」
「ようし、じゃあ俺からも」
定仙はもってきた紙袋の中を探り、二つの包みを小神野に差し出した。
「二つ? 」
「片方はお前に、もう片方はお前の妹にだ。開けてみろ」
いわれた通り開けてみると、片方には有名なブランドの小さな熊のぬいぐるみ。そしてもう片方には、高級そうな腕時計があった。
「こんなもん......どこから! 」
「へへ、町歩いてたら、恰幅いいおっさんが路地裏で酔っぱらっててよ。寝てる間に側にあった紙袋を物色したってわけ」
「なんか、悪いな。俺だけこんなに......」
二つのプレゼントを包み直していると、定仙が話しかけてきた。
「お前、妹守ってやらなきゃだろ? 仲間としてそれをサポートしたくてよ。なんか欲しいものあったら言ってくれよ」
「いいのか? 遠慮なく言うぜ? 切れ味がいいナイフが欲しくてよ。それがあれば隠れ家がもっと快適にできるんだ。他にもいろんなことに使えるしな」
「へへ、任せとけって! この辺ですげぇナイフを売ってる店を知ってる。ちょっと怖ぇが、頑張ってくるぜ! 」
そう、これが定仙との最後の会話だった。
「定仙......」
翌日の夜。その日はあいにくのどしゃ降りで、人も歩いていなかった。そんな中に、怪しい店の側の道路で、血を流しながら死んでいる定仙を見つけた。
その手の中には、造りのいいナイフが握られていた。店の者が諦めるぐらい、意地でも離さなかったんだろう。
「ぐッ、うわあああああああ!!!! 」
雨が降る勢いのように泣いた。ただ泣いた。やがて泣き疲れ、定仙の遺体を持って隠れ家に帰った。
妹には見つからないようにそれを埋め、何事もなかったかのように過ごした。
それから小神野は、雨の音が嫌いになった。
「小神野! 今日はどれだけの収穫だった? 」
定仙 紅葉。それが仲間の名前だった。共に社会から追放された身であり、盗みを働いては二人でその成果を分けあって過ごしていた。
「インスタントラーメンが六袋。ガム一つ。水500mlが三本ってとこかな」
「ひええ、すげぇなお前は」
「それと......タラララ」
小神野は、ポケットからライターとタバコの箱を取り出した。
「うおおすげぇ! ナイスかよお前! 」
「今日はクリスマスだからな。俺は吸わねぇが、お前にプレゼントだ」
「ようし、じゃあ俺からも」
定仙はもってきた紙袋の中を探り、二つの包みを小神野に差し出した。
「二つ? 」
「片方はお前に、もう片方はお前の妹にだ。開けてみろ」
いわれた通り開けてみると、片方には有名なブランドの小さな熊のぬいぐるみ。そしてもう片方には、高級そうな腕時計があった。
「こんなもん......どこから! 」
「へへ、町歩いてたら、恰幅いいおっさんが路地裏で酔っぱらっててよ。寝てる間に側にあった紙袋を物色したってわけ」
「なんか、悪いな。俺だけこんなに......」
二つのプレゼントを包み直していると、定仙が話しかけてきた。
「お前、妹守ってやらなきゃだろ? 仲間としてそれをサポートしたくてよ。なんか欲しいものあったら言ってくれよ」
「いいのか? 遠慮なく言うぜ? 切れ味がいいナイフが欲しくてよ。それがあれば隠れ家がもっと快適にできるんだ。他にもいろんなことに使えるしな」
「へへ、任せとけって! この辺ですげぇナイフを売ってる店を知ってる。ちょっと怖ぇが、頑張ってくるぜ! 」
そう、これが定仙との最後の会話だった。
「定仙......」
翌日の夜。その日はあいにくのどしゃ降りで、人も歩いていなかった。そんな中に、怪しい店の側の道路で、血を流しながら死んでいる定仙を見つけた。
その手の中には、造りのいいナイフが握られていた。店の者が諦めるぐらい、意地でも離さなかったんだろう。
「ぐッ、うわあああああああ!!!! 」
雨が降る勢いのように泣いた。ただ泣いた。やがて泣き疲れ、定仙の遺体を持って隠れ家に帰った。
妹には見つからないようにそれを埋め、何事もなかったかのように過ごした。
それから小神野は、雨の音が嫌いになった。
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