婚約者に子どもが出来ました。その子は後継者にはなりません。

 エリーゼには婚約者がいた。幼いころに決められた婚約者だ。

 エリーゼは侯爵家の一人娘で婿を取る必要があった。

 相手は伯爵家の三男。

 だがこの男、なぜか上から目線でエリーゼに絡んでくる。

 エスコートをしてやった、プレゼントをおくってやった、と恩着せがましい。

 どちらも婚約者なら当然の責務なのに。

 そしてある日の夜会で、エリーゼは目撃した。

 婚約者が不貞を働き、子どもまで作っていたことを。

 こんな婚約者、こっちから捨ててやるわ! とエリーゼは怒るが、父は同意してくれなかった。

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