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睦み合う恋人

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 これ以降ザシャは、ゲルデとの逢瀬でしっかり挿入まで行うようになった。ただし、ゲルデがねだるまでは決して挿入しない。そして、ゲルデが絶頂を迎えそうになれば手を止めるようになった。
 てっきり今まで通り何度も絶頂させられると思っていたゲルデは、突然止められる愛撫に戸惑った。
 絨毯に仰向けになり、ぷっくり赤く腫れ上がった乳首を摘まんで転がされ、ぴんっと勃起した陰核をこねられ、ゲルデの膣はひくひくとうごめき、達する寸前という様相だった。ザシャはそれを見て取り、ゆっくりと手を止めた。ゲルデのとろけた瞳に、困苦の色が滲む。

「はっ、はっ……はへ、ザシャ……?」

 そんな表情を見せるほど自分からもたらされる快楽を気に入ったのかと、ザシャは気をよくして微笑んだ。だが、その快楽を与えはしなかった。

「これからは、我慢も覚えようか」

 挿入の際も、こんな調子だった。
 ゲルデの膣がすっかり濡れて準備ができており、自身の肉棒も腹につくほど反り返っている。そんな状況だというのに、ザシャはゲルデの陰核をいじりながら、亀頭の先端をわずかに入れるだけだった。
 先端を抜き差しし、くぽくぽと音を立てる。ゲルデが腰を上げて奥まで挿入させようとすれば、腰を引いてそれを阻止する。濡れた瞳がじっと見つめてきても、ザシャも見つめ返すだけで動きはしない。ゲルデはザシャに言葉でねだる以外、挿入させるすべを持ち得なかった。
 ゲルデは目を泳がせ、必死に考えを巡らせていた。繰り返される逢瀬で毎度焦らされ、結果、恥ずかしくなるようなをしなければ挿入してもらえないと学習した。しかしねだることを覚えたからといって羞恥心が消えるわけでもない。ゲルデは毎回、顔から火が出るような思いでザシャに挿入をねだらなければならなかった。

「ざ、ザシャ……入れて。入れて、ください。ザシャの、あ、あれ……」

 絨毯の上で仰向けになったゲルデは、腰を浮かせ、自らの手で割れ目を開いてねだった。しかしザシャは「あれって?」とわざとらしく聞き返す。

「ああ、指のことか。もう一回中を押してほしいんだね?」

 ザシャの指がぬぷりと中へ沈み、ゲルデはたまらず「あぁんっ!」と声を上げ腰を跳ねさせた。ゲルデの腰が揺れ動いても、ザシャの指は吸いつくように一点を押したまま離れない。ゲルデは息を荒くし、茶褐色の髪を振り乱した。

「ちが、違うよ、違うの、指じゃなくてぇっ」
「指じゃなくて?」

 中の一点をぐりっと押され、ゲルデは「ひうっ」と小さな悲鳴を上げて爪先を丸め、膝を体へ寄せた。つぽつぽと音を立て、ザシャの指がゲルデの膣内をかき回す。ゲルデは快楽と羞恥に涙をにじませながら、ほしいものは指ではないと訴える。

「ゆ、ゆびじゃ、なくてぇ……ああっ、あ、くぽくぽ、しちゃ、だめっ……」
「言わなきゃわからないよ、ゲルデ。ほら、ほしいものの名前は?」

 ゲルデの膣から指を抜き、ザシャは己の肉棒を握ってゲルデに見せた。ゲルデの黒曜石の瞳は、ザシャの血管が浮き上がり赤黒く膨らんだ肉棒を映し、そこから視線を逸らせなくなっている。
 は、は、とゲルデの呼吸が短くなり、体全体がうっすらと赤みを増していく。うずうずと腰が揺れ、つぅ、と膣から透明な雫が落ちた。
 ザシャは握った肉棒にゲルデの愛液を塗りつけると、ゲルデの平らな腹を、肉棒でぴたぴたと叩く。腰を密着させ、挿入すればどこまで届くのか、それを視覚で伝える。ゲルデは腹に乗せられた肉棒をじぃっと見つめ、腰を浮かせ、うわずった声で己を貫き穿つものの名を口にした。

「お……おち、んちん。ザシャの、おちんちん、くだ、くださいっ。私のなかっ、ザシャのおちんちんでっ、いっぱいにしてくださいっ」

 あのゲルデが、腰を浮かせ揺すって誘い、こんなはしたない言葉を使ってまで自分を求めている。その事実に、ザシャは腰から背中にかけ、粟立つように快感が走るのを感じた。
 ゲルデの腹に乗せた肉棒を、愛液で満ちた肉壺へ宛がう。待ちきれず、ゲルデは目一杯腰を浮かせてザシャの肉棒を飲み込もうとした。とろとろの膣肉がぴと、と亀頭に触れた瞬間、ザシャはこのまま肉棒を突き入れ激しく揺さぶりたくなった。その衝動を抑え、ゆっくり、襞の一つ一つに先走り液を塗り込めるつもりで肉棒を押し込んでいった。
 緩やかな挿入に、ゲルデは身悶え喘いだ。腰が浮き、より奥へ入れやすい体勢を取る。指で押したあの一点に亀頭が当たると、ゲルデは善がる声を大きくした。亀頭ですり潰すようにそこを押しては引くと、ゲルデは腰を跳ねさせて喜んだ。

「ああん! やっ、あぅ、ああーっ! そこだめっ。そこぉ、そこはぁっ。あ、あっ、あああだめっ、とけるっ、とけちゃううっ!」

 腰を上げるために力の入ったゲルデの両足を、ザシャは脇に抱えた。挿入しやすい角度を取らせると、そのまま一番奥までぐうっと肉棒をねじ込む。突き当たりに亀頭が当たる頃には、ゲルデの喘ぎ声はなりを潜め、ゲルデは息を呑み震えていた。
 はっ、はっ、と浅い呼吸が〈花畑〉に満ちる。ザシャも深く息を吐き出しながら、ゲルデに肉棒が根元まで入ったことを伝えた。

「ぜ……んぶ、入ったよ。ゲルデ、ほら、触ってごらん」

 足を抱えていた手を離し、ゲルデの手を平らだった腹へ導く。ゲルデの手がザシャの肉棒が入っているであろう箇所まで届くと、ゲルデの膣内がさらにきゅっと締まった。

「わた、私のっ、なか……ザシャの、おちんちん、全部……飲み込んじゃったぁ……」

 陶然とした声音に、ザシャの肉棒が硬度を増した。今度は足ではなく腰を掴み、ザシャはずるずると肉棒を引き抜いた。引き抜く際にザシャの雁首が膣内の襞をあちこち引っ掻き、ゲルデはまた焦げ付くような快楽に悶える羽目になった。
 抜け出る限界まで引き抜くと、ザシャはまた肉棒を奥まで押し込んだ。こつん、と行き止まりに亀頭が触れると、また引き抜く。この肉棒を離したくないと媚肉が追い縋ってくる様を見つめながら、ザシャは亀頭が姿を現すか現さないかというところまで抜くと、また勢いよく一番奥まで亀頭を押し込む。深いストロークに、ゲルデは仰け反り内腿を震わせた。

「ざ、しゃっ、ザシャ、ざしゃあっ」

 ゲルデの足が、ザシャの腰に絡む。もう抜いてくれるなと、早く子種を注いでくれと、声なき声で訴えかける。その訴えに応え、ザシャは肌と肌が密着するほど深く肉棒をねじ込んだ。
 ぴったりと、子宮口と亀頭が合わさる。わずかに引いては押しつけを繰り返すと、キスをしているような音がした。亀頭の先をこりこり刺激され、その心地よさにザシャは小刻みに腰を揺すった。腰を揺することで、亀頭が子宮口をこねくり回す。
 ゲルデは身を捩り、頭を振り、快楽に身悶えた。指の先が白くなるほど強く絨毯を掴み、目尻から真珠のような涙の粒を落としていく。ザシャが「痛い?」と尋ねると、ゲルデは首を振って否定した。

「奥っ、ぐりっぐりって、され、るとっ……変、なの。初めてっ、中……ザシャに、指でイかされた、ときっ……みたいな……それよりもっと、すご、いのがっ……来ちゃい、そう」

 浅く短かった荒い息が、はーっはーっと深く長くなる。声には甘えと媚び、快感が表れているのに、表情は混乱と困惑を極めている。その差がザシャを興奮させた。そうと知らず、ゲルデは絨毯の毛並みを握りしめ、ザシャの腰に絡めた足を強く引き寄せた。

「だめ、これっ、だめ……きちゃう、きちゃうっ……!」

 揺さぶらずとも押すだけで、ゲルデの膣肉はうねり、収縮し、ザシャの肉棒を絞るように刺激した。吸い上げるような動きで締め付けられ、ザシャは骨の髄から何かが抜けていくほどの快感を味わった。腰が抜けると錯覚するほどの快楽に、ザシャは屈した。

「ゲルデ、ゲルデごめんっ。もう、出るっ」
「ん、ぅ……。出して、いっぱい……びゅーって、出してっ」

 抜けそうな腰を叱咤し、ザシャはゲルデの足を解くとずるずる肉棒を引き抜いた。膣内で射精してもらえないのかと、ゲルデは戸惑った目でザシャを見上げる。その一瞬、ゲルデが油断した瞬間、ザシャは己が肉棒でゲルデの膣内を貫いた。
 ザシャの肉棒は根元までゲルデの膣に包まれた。亀頭の先端がぴったりと子宮口に密着する。不意打ちで膣奥を急襲され、ゲルデは仰け反り、声も出せず、足をぴんと伸ばして震わせた。

「~~~~~~~~っ」

 腰を浮かせたゲルデの膣内は、今までで一番のうねりと吸い付きを見せた。ゲルデの腰の角度に合わせて自分も腰を上げ、ザシャは押し込むように精液を吐き出した。

「ふっ、ふっ、ふうっ、ふっ、あ……!」

 びゅるびゅると精液を吐き出している間にも、ゲルデの膣肉は容赦なくザシャの肉棒を絞る。オスの本能として、ザシャはゲルデが逃げられないようその小さな体躯に体重をかけた。鈴口は子宮口を塞ぐようにぴたりと合わさり、常に刺激し続けていた。

「はっ、ひ、はひっ……はひぃっ……はへぇ……」

 射精し終え、ザシャの肉棒はしんなりと萎えたかに思われた。しかし絶頂の余韻にうごめくゲルデの膣内に入れたままにしているせいで、萎えている時間は短かった。膣肉にむにゅむにゅと揉みしだかれ、膣肉の蠢動によりちゅうちゅうと吸い上げられ、すぐに硬さを取り戻してしまった。愛しい人の肉棒が硬度と熱を取り戻していく様子を膣内で感じ、ゲルデは息を呑んで甘い息を吐いた。

「あっ……はぁっ……。ザシャ、かた、く、なってるぅ……」
「ん……。もう一回……いいかい、ゲルデ」

 尋ねながらとん、とん、と亀頭で奥を叩くと、ゲルデはびくっと腰を跳ねさせ、甘い声を上げた。

「お、おくっ、奥だめ、とんとんしちゃっ、だめぇっ」
「どうして? 痛い?」
「いたく、ないっ、ないけどっ、ない、けどぉっ」

 ぷるぷると震えながら、ゲルデは濡れた瞳で訴えるようにザシャを見上げる。

「こんなっ、気持ちよさ……覚えちゃったら、夜、一人でしても、イけなくなっちゃう……」

 ゲルデが痛みを感じていないこと、そしてそれほどまでの快楽を感じていることに、ザシャはホッとして息を吐いた。安堵と同時に興奮も湧き上がり、ザシャは「それはいいね」と笑った。絨毯に手をつき、精液でさらにぬめりを増した膣内を責め立てる。

「きみには、僕以外じゃイけないようになってほしかったんだ」

 挿入前よりも熱く、硬く、太さを増した肉棒が、ゲルデの新たな性感帯を小突く。ゲルデは「そんなぁ」と嬉しそうな声で、自分の行く末を嘆いた。喜んでいる証拠に、ゲルデの白い足がザシャの腰を挟んで交叉する。
 ザシャは背中を丸め、ゲルデの瑞々しい唇に自分の唇を押しつけた。弾力に富んだ唇はザシャの唇を歓待し、艶めかしく光る舌をひらめかせた。桃色の舌先が踊り、ちろちろとザシャの唇をくすぐる。ザシャは大きく口を開けると、ゲルデの舌を食むように口内へ招き入れた。
 ザシャの分厚く長い舌と、ゲルデの可愛らしい舌が絡み合う。唾液が混ざり合う音と、精液と愛液が混ざり合う音が一つになる。
 その日ザシャは、自分の子種袋が空になるまで――すなわちゲルデの足腰が立たなくなるほどの長時間――互いの家に帰らなければならないことも忘れ、ゲルデとの媾合に耽った。
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