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3 お誘いの代価はコーラ
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しばらく進んだ後、大地は車道の隅にバイクを止めてヘルメットを取る。
彼はヘルメットを左手に抱えたまま、私を見る為に振り向いた。
「よう、悪いな突然来ちまって」
「ほんとだよ!なにやってんの!?」
戸惑いからか、同じような言葉しか出てこない。事前の告知も無しに私を連れ出した彼は、ヘルメットをバイクのハンドルに預けて歩き出した。
すぐ近くの自動販売機に向かう。
「そう怒んなよ。……なんか予定あったのか?」
そうならすぐ送る、と告げられた。別に無いけど、と、つっけんどんに返事を返す。
すると、スチール缶が放物線を描いて私の胸元に投げられた。冷たいメロンソーダだった。
「じゃ、ちょっと俺に付き合ってくれよ、な。ドライブいこうぜ!」
友達のように私を誘ってくる。
「……私、そっちのコーラがいい」
ん。と彼がコーラの入ったペットボトルを投げてきた。
噴射に気をつけろよと注意してくる彼に向かって、先程の軌道をたどるように手元のメロンソーダを投げ返しながら舌を出す。
彼は差し出した左手に余裕で収めたメロンソーダをぷはっと飲み始める。美味しそうに飲んでいた。
しばらくして飲み欲し、缶をゴミ箱に捨てて戻ってきた彼は、私に長袖の上着を渡してきた。
持ってろ、とのことだ。どうやら思いつきで来たわけじゃないらしい。
バイクに跨りヘルメットを装着しなおした彼に聞く。
「で、どこ行くの?」
「海!!」
へ、と思う間にバイクが発進する。
彼の腰にしがみつきながら、そういえば塾があった、ということを思い出しつつ、まぁいいや、と頭から追い出した。
些細な思いつきはすぐに景色と一緒に流れ去って行った。
彼はヘルメットを左手に抱えたまま、私を見る為に振り向いた。
「よう、悪いな突然来ちまって」
「ほんとだよ!なにやってんの!?」
戸惑いからか、同じような言葉しか出てこない。事前の告知も無しに私を連れ出した彼は、ヘルメットをバイクのハンドルに預けて歩き出した。
すぐ近くの自動販売機に向かう。
「そう怒んなよ。……なんか予定あったのか?」
そうならすぐ送る、と告げられた。別に無いけど、と、つっけんどんに返事を返す。
すると、スチール缶が放物線を描いて私の胸元に投げられた。冷たいメロンソーダだった。
「じゃ、ちょっと俺に付き合ってくれよ、な。ドライブいこうぜ!」
友達のように私を誘ってくる。
「……私、そっちのコーラがいい」
ん。と彼がコーラの入ったペットボトルを投げてきた。
噴射に気をつけろよと注意してくる彼に向かって、先程の軌道をたどるように手元のメロンソーダを投げ返しながら舌を出す。
彼は差し出した左手に余裕で収めたメロンソーダをぷはっと飲み始める。美味しそうに飲んでいた。
しばらくして飲み欲し、缶をゴミ箱に捨てて戻ってきた彼は、私に長袖の上着を渡してきた。
持ってろ、とのことだ。どうやら思いつきで来たわけじゃないらしい。
バイクに跨りヘルメットを装着しなおした彼に聞く。
「で、どこ行くの?」
「海!!」
へ、と思う間にバイクが発進する。
彼の腰にしがみつきながら、そういえば塾があった、ということを思い出しつつ、まぁいいや、と頭から追い出した。
些細な思いつきはすぐに景色と一緒に流れ去って行った。
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