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第六幕 天命
四 今まで、お世話になりました。
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「蛇神の目的は朔夜、おまえだ」
朔夜は息を呑む。その可能性がふと頭に浮かんだところではあったが、改めて一果の口からそう断言されると身がすくんでしまう。
「昨年、おまえに憑いた蛇を捕まえて、蛇神のところまで案内させたんだ。そこで直接聞き出したから間違いない」
──あのとき数日間医院を空けたのはそういうことだったのか。
それにしても、母が只者ではないということは分かってはいたが、神の住居へ身一つで乗り込むような豪傑だったとは。嘘のような話に、朔夜は気が遠くなる。
「あたしは千二百年前、丹生といって、丹や金の採掘に携わる一族に生まれた。
珠白はかつて、鉱物の国だったんだ。丹を使い金を精錬する技術を持っていた。
あたしは丹生の姫神様にその土地その日の採掘についてのお伺いを立て、作業者の安全を祈る巫祝として育った。
一人の義妹がいた。名は千里といい、死んだ後に祀られ蛇神となった」
「蛇神様は、おれの叔母ということか」
「そうだね」
「だから、おれなのか……?」
「おそらく、その通りだろう」
それは嘘だと朔夜は思った。一果と朔夜は血の繋がった親子ではないからだ。だが、それを指摘すると、朔夜は設計書を覗き見て自分の出生について知ってしまったことを一果に話さなくてはならなくなる。
「千里は生まれたばかりの子供を失って入水した。それから一月にわたって大雨が続いた。その後には旱だ。
丹生の一族の最も美しい少年が丹のような血を流しながら祈ったら雨が降ったから、毎年その家の少年が捧げられるようになったんだ」
「それが今の需家なの?」
琥珀が質問する。
「ああ。ということは、あたしたちは親戚だね。仲良くしようじゃないか」
「これからもご贔屓に……」
そう言いながら一果からそろそろと距離を取り、松羽の後ろに隠れた。
一果はわざとらしく胸を押さえて傷ついたような顔をしてから続ける。
「皆知っての通り、珠白では古来から氷室が作られている。蛇神が水の神、それから山の神でもあることから、氷室の氷も捧げられることになったんだ。
昔は需家の子が氷漬けにされて捧げられていた。最近は氷の舟に乗せられている。そのあたりの方法はその代の氷連の趣味によるのかな」
「趣味って……」
「そうだろうよ。氷連に蛇神の声なんか聞こえてはいないのだから。あいつらは千二百年間、蛇神の本当の思いを知ろうともせず、的外れなことをしてきたんだ。死者の声に耳を傾けるのが、一番重要なことなのにね。
千里は需家の子供など欲しがってはいない。それどころか、殺されていく子供たちを見て悲しんでいた。幾千、幾万もの子供たちが捧げられたところで、我が子を失った悲しみが癒えるはずがない」
一果の言うことは道理だと朔夜は思った。だが、朔夜を欲しがっているという話とは上手くつながらない。
「おれならいいのか? 親戚とはいえ、おれは蛇神様の子ではなくて……母さんの子、なんだけど」
母さんの子。その言葉を口にして、朔夜は嘘を言ってしまったときの罪悪感に似た思いがした。
「うーん、亡くした子とあまりにも似ているから、生まれ変わりだと思ってしまったんじゃないかな」
そういうものなのだろうか。朔夜は納得できていない。言えないことがあるのだろうなと考える。だが、やるべきことは分かった。
「とにかく、おれが蛇神様のところへ行けば、これ以上の厄災は勘弁してくれるということだな」
「おまえには行かせないよ」
「ならどうするんだ」
「あたしが千里をこの手で始末する。だから、おまえが行く必要は無い」
朔夜はオリアナのアトリエでのことを思い出した。あの人形たちと同じように一果が斬れば、蛇神様はその永い苦しみを終えることができる。そうしなければ、蛇神様は過去を抱いたまま永遠に苦しみ続けることになる。朔夜は迷った。
だが、次の言葉を聞いて、一果の手で始末するという選択肢は朔夜の頭から消え去った。
「蛇神を失えば珠白は水底に沈むが、おまえだけは助けられるように準備をしておく」
「そうしたら珠白の人たちは……」
「では、代わりにおまえが死ぬと言うのか」
「………」
怖いと言えば嘘になる。やり残したこともある。だが、珠白の全ての生命と自分一人の命の重みを比べれば、どちらを選ぶべきか答えは決まっている。それに、いずれにせよ残り少ない命だ。最後に役に立てるのなら。
「いいよ」
短く答えると、一果は血色を失い、震える手で朔夜の腕に縋って泣き叫んだ。
「朔夜! おまえは……どうしてそんなことを。あたしがどれだけおまえを愛しているか、失いたくないのか、分からないのか」
このとき、母の涙を生まれて初めて見た。
「ああ、こんなことになるなら、厳しい修行などさせず、医者なんか辞めて、親子として、少しでも長い時間を共に過ごせばよかった」
「おれは母さんの子に生まれて幸せだったよ。調薬は好きだから、勉強も仕事もおれが望んでしていたことだ。母さんの期待に応えられないことだけが心残りだ」
──違う、違うんだ朔夜。どうして伝わらない。あたしの望みは、おまえが生きていてくれることだけなんだ。
「師匠。……今まで、お世話になりました」
姿勢を正して畳に手を揃えて突き、磨き抜かれた美しい所作で深く頭を下げる。
「行かせるものか。あたしは許可しない。良い子でお留守番をしていなさい」
顔を上げると、涙をぼろぼろと流して必死に訴える母の姿があった。自分のためにこんなに母が感情を露わにすることがあるなんて、想像もしていなかった。もしかして、気付けなかっただけで、母は母なりの在り方で、自分を子供として愛してくれていたのだろうか。
そして、朔夜は気付いた。
──母さんにとって、おれは息子なんだ。母さんだって、おれが死んだら、子供を失ったことになるのか。
殺すことを救いの道だとは思いたくない。珠白が沈められるのも嫌だ。他の方法──蛇神の心を慰め、共存し、母のことを一人にしない道を探りたい。
「……母さんは、蛇神に会ったと言っていたな。おれも生きて会えるのか」
「おまえの足であの山は越えられない。それ以前に、あたしのように長年にわたって巫祝としての修行を積んできた者でなければ姿を見ることさえ不可能だ。ただ、方法はある。祭場を設え、依代を用意し、儀式を行い、あいつを此処に呼ぶことだ」
「そうしよう。蛇神様を迎えて、おれが話をする。おれが生まれてから十六年も手を出さずに待っていてくださった蛇神様だ。対話の余地はあると思う」
「おまえは昔から人の悲しみに寄り添える子だったね。みーちゃんでさえ、おまえには心を許した。だが、今回もそれで上手くいく保証はないよ」
一果の膝の上で血が滲みそうなほど強く握られる拳に、朔夜のひんやりとした手が優しく重ねられた。
この人に必要な言葉が、今なら分かる。
「母さんをひとりにはしない。約束しよう。蛇神様の御心を鎮め、無事で帰ってくる」
涙ごしでも、ぎこちなく微笑む瑠璃の瞳の色ははっきりと見える。
「だから、命令してくれ」
──そのような言い方があったか。
朔夜は一果の命令は必ず聞く素直な子であった。文句の一つ二つは口にしても、命令に背いたりしつこく説得してくることは無かった。
「……おまえの心はよく分かった。あたしにそこまで言うようになったとは。知らない間に成長したね。少し時間をくれ。明日には答えを出そう」
朔夜がその言葉を聞いて一礼すると、一果は仕事場を後にした。
部屋の隅で小さくなって親子の会話を聞かされていた琥珀と松羽はようやく緊張を解くことができた。
「こ、怖かった~!」
「巻き込んで悪かったな」
琥珀は朔夜の顔を覗き込んで言う。
「朔夜はボクと違って、天命に向き合うんだね」
「需家の務めではなくて、薬売りが琥珀の天命になったんだと思うよ」
「うぅ~っ! 朔夜、大好き!」
跳ねるように朔夜に抱きついた。
「本気にするぞ」
「え……」
「そういうことを軽々しく言うものではないって、母さんに言われただろ」
朔夜は息を呑む。その可能性がふと頭に浮かんだところではあったが、改めて一果の口からそう断言されると身がすくんでしまう。
「昨年、おまえに憑いた蛇を捕まえて、蛇神のところまで案内させたんだ。そこで直接聞き出したから間違いない」
──あのとき数日間医院を空けたのはそういうことだったのか。
それにしても、母が只者ではないということは分かってはいたが、神の住居へ身一つで乗り込むような豪傑だったとは。嘘のような話に、朔夜は気が遠くなる。
「あたしは千二百年前、丹生といって、丹や金の採掘に携わる一族に生まれた。
珠白はかつて、鉱物の国だったんだ。丹を使い金を精錬する技術を持っていた。
あたしは丹生の姫神様にその土地その日の採掘についてのお伺いを立て、作業者の安全を祈る巫祝として育った。
一人の義妹がいた。名は千里といい、死んだ後に祀られ蛇神となった」
「蛇神様は、おれの叔母ということか」
「そうだね」
「だから、おれなのか……?」
「おそらく、その通りだろう」
それは嘘だと朔夜は思った。一果と朔夜は血の繋がった親子ではないからだ。だが、それを指摘すると、朔夜は設計書を覗き見て自分の出生について知ってしまったことを一果に話さなくてはならなくなる。
「千里は生まれたばかりの子供を失って入水した。それから一月にわたって大雨が続いた。その後には旱だ。
丹生の一族の最も美しい少年が丹のような血を流しながら祈ったら雨が降ったから、毎年その家の少年が捧げられるようになったんだ」
「それが今の需家なの?」
琥珀が質問する。
「ああ。ということは、あたしたちは親戚だね。仲良くしようじゃないか」
「これからもご贔屓に……」
そう言いながら一果からそろそろと距離を取り、松羽の後ろに隠れた。
一果はわざとらしく胸を押さえて傷ついたような顔をしてから続ける。
「皆知っての通り、珠白では古来から氷室が作られている。蛇神が水の神、それから山の神でもあることから、氷室の氷も捧げられることになったんだ。
昔は需家の子が氷漬けにされて捧げられていた。最近は氷の舟に乗せられている。そのあたりの方法はその代の氷連の趣味によるのかな」
「趣味って……」
「そうだろうよ。氷連に蛇神の声なんか聞こえてはいないのだから。あいつらは千二百年間、蛇神の本当の思いを知ろうともせず、的外れなことをしてきたんだ。死者の声に耳を傾けるのが、一番重要なことなのにね。
千里は需家の子供など欲しがってはいない。それどころか、殺されていく子供たちを見て悲しんでいた。幾千、幾万もの子供たちが捧げられたところで、我が子を失った悲しみが癒えるはずがない」
一果の言うことは道理だと朔夜は思った。だが、朔夜を欲しがっているという話とは上手くつながらない。
「おれならいいのか? 親戚とはいえ、おれは蛇神様の子ではなくて……母さんの子、なんだけど」
母さんの子。その言葉を口にして、朔夜は嘘を言ってしまったときの罪悪感に似た思いがした。
「うーん、亡くした子とあまりにも似ているから、生まれ変わりだと思ってしまったんじゃないかな」
そういうものなのだろうか。朔夜は納得できていない。言えないことがあるのだろうなと考える。だが、やるべきことは分かった。
「とにかく、おれが蛇神様のところへ行けば、これ以上の厄災は勘弁してくれるということだな」
「おまえには行かせないよ」
「ならどうするんだ」
「あたしが千里をこの手で始末する。だから、おまえが行く必要は無い」
朔夜はオリアナのアトリエでのことを思い出した。あの人形たちと同じように一果が斬れば、蛇神様はその永い苦しみを終えることができる。そうしなければ、蛇神様は過去を抱いたまま永遠に苦しみ続けることになる。朔夜は迷った。
だが、次の言葉を聞いて、一果の手で始末するという選択肢は朔夜の頭から消え去った。
「蛇神を失えば珠白は水底に沈むが、おまえだけは助けられるように準備をしておく」
「そうしたら珠白の人たちは……」
「では、代わりにおまえが死ぬと言うのか」
「………」
怖いと言えば嘘になる。やり残したこともある。だが、珠白の全ての生命と自分一人の命の重みを比べれば、どちらを選ぶべきか答えは決まっている。それに、いずれにせよ残り少ない命だ。最後に役に立てるのなら。
「いいよ」
短く答えると、一果は血色を失い、震える手で朔夜の腕に縋って泣き叫んだ。
「朔夜! おまえは……どうしてそんなことを。あたしがどれだけおまえを愛しているか、失いたくないのか、分からないのか」
このとき、母の涙を生まれて初めて見た。
「ああ、こんなことになるなら、厳しい修行などさせず、医者なんか辞めて、親子として、少しでも長い時間を共に過ごせばよかった」
「おれは母さんの子に生まれて幸せだったよ。調薬は好きだから、勉強も仕事もおれが望んでしていたことだ。母さんの期待に応えられないことだけが心残りだ」
──違う、違うんだ朔夜。どうして伝わらない。あたしの望みは、おまえが生きていてくれることだけなんだ。
「師匠。……今まで、お世話になりました」
姿勢を正して畳に手を揃えて突き、磨き抜かれた美しい所作で深く頭を下げる。
「行かせるものか。あたしは許可しない。良い子でお留守番をしていなさい」
顔を上げると、涙をぼろぼろと流して必死に訴える母の姿があった。自分のためにこんなに母が感情を露わにすることがあるなんて、想像もしていなかった。もしかして、気付けなかっただけで、母は母なりの在り方で、自分を子供として愛してくれていたのだろうか。
そして、朔夜は気付いた。
──母さんにとって、おれは息子なんだ。母さんだって、おれが死んだら、子供を失ったことになるのか。
殺すことを救いの道だとは思いたくない。珠白が沈められるのも嫌だ。他の方法──蛇神の心を慰め、共存し、母のことを一人にしない道を探りたい。
「……母さんは、蛇神に会ったと言っていたな。おれも生きて会えるのか」
「おまえの足であの山は越えられない。それ以前に、あたしのように長年にわたって巫祝としての修行を積んできた者でなければ姿を見ることさえ不可能だ。ただ、方法はある。祭場を設え、依代を用意し、儀式を行い、あいつを此処に呼ぶことだ」
「そうしよう。蛇神様を迎えて、おれが話をする。おれが生まれてから十六年も手を出さずに待っていてくださった蛇神様だ。対話の余地はあると思う」
「おまえは昔から人の悲しみに寄り添える子だったね。みーちゃんでさえ、おまえには心を許した。だが、今回もそれで上手くいく保証はないよ」
一果の膝の上で血が滲みそうなほど強く握られる拳に、朔夜のひんやりとした手が優しく重ねられた。
この人に必要な言葉が、今なら分かる。
「母さんをひとりにはしない。約束しよう。蛇神様の御心を鎮め、無事で帰ってくる」
涙ごしでも、ぎこちなく微笑む瑠璃の瞳の色ははっきりと見える。
「だから、命令してくれ」
──そのような言い方があったか。
朔夜は一果の命令は必ず聞く素直な子であった。文句の一つ二つは口にしても、命令に背いたりしつこく説得してくることは無かった。
「……おまえの心はよく分かった。あたしにそこまで言うようになったとは。知らない間に成長したね。少し時間をくれ。明日には答えを出そう」
朔夜がその言葉を聞いて一礼すると、一果は仕事場を後にした。
部屋の隅で小さくなって親子の会話を聞かされていた琥珀と松羽はようやく緊張を解くことができた。
「こ、怖かった~!」
「巻き込んで悪かったな」
琥珀は朔夜の顔を覗き込んで言う。
「朔夜はボクと違って、天命に向き合うんだね」
「需家の務めではなくて、薬売りが琥珀の天命になったんだと思うよ」
「うぅ~っ! 朔夜、大好き!」
跳ねるように朔夜に抱きついた。
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「え……」
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