お気に入りが僕を抱いてくれない！

突然の入舎

僕の一目惚れ

　あんまりに大きい音がしてびっくりしちゃったよ。
　いや、びっくりしたなんてもんじゃない。警報がなったんだ。つまり、誰か知らない奴が入ってきたってことだ。
　いきなりのことに、一瞬戸惑っちゃったけどそんなことしている余裕なんてすぐになくなった。
　誰が侵入してきたか分からない今、僕が一番しっかりしなきゃいけない。僕は特別生徒だ。そして、ここの宿舎を任されている。相当ヤバイ奴じゃない限り、僕は皆を守らなきゃいけない。

　「郁……！！」
　共有スペースに、さっきまで別室で説教をしていた燈哉君が入ってきた。見る限り、相当焦っているみたいだ。うん、僕だけじゃない。皆、この状況に緊張している。
　でも、何で今？
　そういえば、学校にまだ来ていない生徒について連絡をしたはず……。なのにまだそれに関する答えが返ってきていない。
　まさかとは思うけど、何かの事件でも起こってるの………？？
　僕の顔は知らないうちに不安で歪んでいたみたいだ。それに気がついた燈哉君が僕の頬のに優しく触れた。まるで、泣きそうな弱い子供を慰めるように。
　「大丈夫だ、郁。心配するなよ……。」
　燈哉君の少し大きくて心地のいい手のひらに、自分の頬を触れられてかなり安心した。
　大丈夫、僕には皆がついてる。

　そう思って僕は自らを奮い立たせた。