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正気を失っていた婚約者
4 マグゼラ領の街並みと不穏な気配
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街はとても賑わっていた。
リリエンデール公爵領の中でも、マグゼラ領は大きな港がある為交易の中心地として栄えていると城に居た頃学んだ中にあったが、実際に来てみると、ただただ圧倒されるばかりだ。
普通の家屋を使ったような店だけでなく、布を地面に敷いてそこに商品を並べただけのような店もある。
城でも見たことが無いような果物が並んでいたり、図鑑でしか見たことが無いような魚を逆さ吊りに持って呼び込みをしている男もいる、街を歩く人々も様々な人種が入り乱れているのが見て取れた。
ジギタリスと同じような服装をした者もいるし、どういう着方をしているのかが全く分からないような特徴的な服を着ている者もいる。肌の色も、黒っぽい者から象牙のように黄色っぽい肌の者までいる。
「凄いな」
「はい、王都にはこのような活気はありませんでしたね」
私とカステオは、はぐれないようにメルヴィーの後ろを歩くので精一杯だった。私の後ろにはダルトンがムスッとして歩いていて、更に後ろをジギタリスが監視するように歩いている。その眼光は鋭く周囲を確認しつつ、それを気取られない程度に朗らかな笑みを作っている。実力の程は分からないが護衛としてかなり優秀な女性なのだろうと思う。我が国の騎士団では女性に門戸を開いていないが、これ程の女性が居るのなら迎え入れても良いのではと思う。尤も、今の私にはそんな権限は無いが。
「メリーちゃん今日も視察かい? ご苦労様。これ、食べていきなよ! 焼き立てだよ」
「ありがとうおばさん。五つ下さいな!」
メリーちゃん!?
彼女の素性を知っている様子でありながら気さくに話しかける女性にぎょっとしてしまう。支払いを済ませたメルヴィーに配られたのは薄い生地に生クリームや果物が円錐状に巻かれたお菓子のようだった。紙で巻かれているのでそのまま素手で持てるが、いきなりかぶりついて食べ始めたメルヴィーにまた驚く。
「メリーちゃんがここの領主になったばかりの頃、私が夫を亡くして幼い息子と二人きりで困ってた時にこのお菓子の作り方を授けて下さったんだ。お陰様で息子も一人立ちして警備隊で働ける位にまでになった。メリーちゃんは私達の命の恩人だよ」
「大げさですわ。私は作り方を教えただけで、頑張ったのはおばさん達なんですから。これはクレープというんです。美味しいんですよ、食べてみて下さい」
歩きながら食べる等したことが無かった私達はマゴマゴとしてしまったが、メルヴィーが歩きだしてしまったので仕方なく従って食べる。私達だけではなく護衛であるジギタリスも食べているのが気になったが、主人であるメルヴィーが許可しているものを私達が難癖をつけるわけにはいかないので黙っていたらダルトンが突っかかってメルヴィーに叱られていた。ダルトンはどうも場の空気を読むのが苦手で困る。
クレープとかいうモノは、確かに僅かな甘みのある生地と、生クリームや果物の酸味がとてもマッチしていてかなり旨いのは確かだったが、思わず呟いた言葉は雑踏に掻き消されて消えてしまった。
今居る場所はマグゼラの中心街に位置する場所で、馬車が2台すれ違える広さの通りが港までずっと広がっているらしい。
陽のある間は馬車の通行を禁止しているのだと話してくれていたメルヴィーの言葉に、実際来てみて納得する。人ですら満足に歩けないほどの人通りで馬車等通れば事故が起こってしまうだろう。
実際彼女が領主として立つまではそんな制限が無く、数日に一度は事故が起こっていたそうなのだから、メルヴィーの手腕は計り知れない。
「メリーちゃん今日はかっこいいお兄さん連れてるじゃないか、もしかしてコレかい」
「そいうのじゃないわ。遠縁の方よ。領官として働いて貰っているから宜しくね」
下品な動作をする魚屋の男に私が怒るより先にメルヴィーがさっと切り返す。かなり慣れている様子だ。その後も下はよちよちと歩くような幼い娘から上は杖をついて歩くような老人や老婆まで様々な人間に話しかけられ、その度にメルヴィーが笑顔で応えていた。
私もカステオもその様子を見守ることしか出来なかったが、一番馴染んだのはやはりダルトンだった。気付けば見知らぬ男と馴染んで、今度飲みに行こう等と言い合うようになっていた。
私達にその発想が無かっただけで、休日に遊びに行くのは自由だそうだ。
一応私達も休みを設定されていて、次は明後日だった。前回同様領館の書庫に籠る予定でいたが、街へ出てみるのも良いかもしれない。
「私は立場上ジギタリスを連れていますが、この通りは自警団が定期的に見回っていて治安を維持していますから、昼間の時間であれば危険は無いでしょう。その代わり北側へ行ってはいけませんよ」
「北側はカーヴァン侯爵領に接してるのでしたね」
マグゼラ領はリリエンデール公爵領の中でも最北端にあり、更に北側になると全く別の領主の領になる。
カーヴァン侯爵本人はひょろりとしていて特にこれといった印象の無い男なのだが、夫人が驚くほど宝石で飾り立てたドレスを着て来るのでその印象が強い。王族の義務として夫人とダンスを踊った事もあったが、キツイ香水を纏い、宝石から反射した光が眼に刺さり、そしてかなりの重量があるという三重苦で、一回で酷く消耗してしまうので、あまり相手をしたくないのが正直な気持ちだった。
「最近急増したカーヴァン侯爵領からの亡命者で治安が荒れているのです」
「亡命とは穏やかではありませんね。普通領同士の行き来は自由では?」
カステオの言葉に頷いて同意する。他領とはいえ国内。領館に手続きさえすれば出入りは自由の筈だ。
「それが、税の目減りを気にした当代のカーヴァン侯爵が他領への出入りに制限を設けるようになったのです。流通にも高い関税をかけているので、現在カーヴァン侯爵領との取引は滞っていて、それで領内の景気が下がる負のスパイラルに陥っているようで、生活に困窮した領民がこちらに……」
「いたぞ!!」
突如メルヴィーの言葉に割って入った複数の男の声に身構える。
気づけば通りの中でも店が少ない地域に差し掛かっていたようで、人通りがまばらになっていた。
私とカステオがメルヴィーを後ろに下がらせ、ダルトンとジギタリスが前に出て警戒した。
近寄ってきたのはボロボロの服を着た10人程の集団だった。かなり顔色が悪く、正気を取り戻したばかりの私達を彷彿とさせる姿だった。
「何者だ!」
ダルトンが問いかけると、集団の一番前に立って居た比較的身なりの良い男が前に出た。
「メルヴィー・マグゼラ子爵殿とお見受けする。間違いございませんか?」
「だったら何だ」
ダルトンここは誤魔化すべきだったのではと思ったが口を挟まずに警戒を続けていると、突然前に出ていた男以外の全員が土下座をし始めて目が点になる。
代表者も跪いて頭を垂れた。
「どうぞ、我らをお助け下さい。メルヴィー様」
「……移動しましょう。彼等を第6警備詰所へ」
彼らの様子を見ていたメルヴィーが声を掛けると、どこからか同じ服を着た男達がわらわらと出てきて彼等を連れて行った。彼等が警備隊のメンバー達なのだろう。
メルヴィーの先導で私達も詰所へ向かう事になった。
第6警備詰所は石造りで、物見台もある頑丈そうな建物だった。
私達が連れていかれたのはその食堂で、いくつかある六人掛けの丸テーブルのうち、中心のテーブルにメルヴィーと私達三人とジギタリス、それと代表の男が座り、他のテーブルに連れられていた男達分かれて座った。警備隊の主なメンバー達がその周囲を固めて立って、何かあれば拘束するぞとばかりに男たちを見張っている。
本当はもっと大人数が居るが、殆どは街の警戒へ戻ったそうだ。彼等が丸腰であることは確認済みなので必要最低限の警戒で落ち着いている。
「それでは、貴方はカラビナの村長だと?」
「はい、ビータとお呼び下さい」
カラビナはカーヴァン侯爵領の最南端の村の名だ。つまりマグゼラ領と接する地域にある村だ。
「単刀直入に申し上げます。私達は、村単位での亡命を希望しております」
「何だって!?」
リリエンデール公爵領の中でも、マグゼラ領は大きな港がある為交易の中心地として栄えていると城に居た頃学んだ中にあったが、実際に来てみると、ただただ圧倒されるばかりだ。
普通の家屋を使ったような店だけでなく、布を地面に敷いてそこに商品を並べただけのような店もある。
城でも見たことが無いような果物が並んでいたり、図鑑でしか見たことが無いような魚を逆さ吊りに持って呼び込みをしている男もいる、街を歩く人々も様々な人種が入り乱れているのが見て取れた。
ジギタリスと同じような服装をした者もいるし、どういう着方をしているのかが全く分からないような特徴的な服を着ている者もいる。肌の色も、黒っぽい者から象牙のように黄色っぽい肌の者までいる。
「凄いな」
「はい、王都にはこのような活気はありませんでしたね」
私とカステオは、はぐれないようにメルヴィーの後ろを歩くので精一杯だった。私の後ろにはダルトンがムスッとして歩いていて、更に後ろをジギタリスが監視するように歩いている。その眼光は鋭く周囲を確認しつつ、それを気取られない程度に朗らかな笑みを作っている。実力の程は分からないが護衛としてかなり優秀な女性なのだろうと思う。我が国の騎士団では女性に門戸を開いていないが、これ程の女性が居るのなら迎え入れても良いのではと思う。尤も、今の私にはそんな権限は無いが。
「メリーちゃん今日も視察かい? ご苦労様。これ、食べていきなよ! 焼き立てだよ」
「ありがとうおばさん。五つ下さいな!」
メリーちゃん!?
彼女の素性を知っている様子でありながら気さくに話しかける女性にぎょっとしてしまう。支払いを済ませたメルヴィーに配られたのは薄い生地に生クリームや果物が円錐状に巻かれたお菓子のようだった。紙で巻かれているのでそのまま素手で持てるが、いきなりかぶりついて食べ始めたメルヴィーにまた驚く。
「メリーちゃんがここの領主になったばかりの頃、私が夫を亡くして幼い息子と二人きりで困ってた時にこのお菓子の作り方を授けて下さったんだ。お陰様で息子も一人立ちして警備隊で働ける位にまでになった。メリーちゃんは私達の命の恩人だよ」
「大げさですわ。私は作り方を教えただけで、頑張ったのはおばさん達なんですから。これはクレープというんです。美味しいんですよ、食べてみて下さい」
歩きながら食べる等したことが無かった私達はマゴマゴとしてしまったが、メルヴィーが歩きだしてしまったので仕方なく従って食べる。私達だけではなく護衛であるジギタリスも食べているのが気になったが、主人であるメルヴィーが許可しているものを私達が難癖をつけるわけにはいかないので黙っていたらダルトンが突っかかってメルヴィーに叱られていた。ダルトンはどうも場の空気を読むのが苦手で困る。
クレープとかいうモノは、確かに僅かな甘みのある生地と、生クリームや果物の酸味がとてもマッチしていてかなり旨いのは確かだったが、思わず呟いた言葉は雑踏に掻き消されて消えてしまった。
今居る場所はマグゼラの中心街に位置する場所で、馬車が2台すれ違える広さの通りが港までずっと広がっているらしい。
陽のある間は馬車の通行を禁止しているのだと話してくれていたメルヴィーの言葉に、実際来てみて納得する。人ですら満足に歩けないほどの人通りで馬車等通れば事故が起こってしまうだろう。
実際彼女が領主として立つまではそんな制限が無く、数日に一度は事故が起こっていたそうなのだから、メルヴィーの手腕は計り知れない。
「メリーちゃん今日はかっこいいお兄さん連れてるじゃないか、もしかしてコレかい」
「そいうのじゃないわ。遠縁の方よ。領官として働いて貰っているから宜しくね」
下品な動作をする魚屋の男に私が怒るより先にメルヴィーがさっと切り返す。かなり慣れている様子だ。その後も下はよちよちと歩くような幼い娘から上は杖をついて歩くような老人や老婆まで様々な人間に話しかけられ、その度にメルヴィーが笑顔で応えていた。
私もカステオもその様子を見守ることしか出来なかったが、一番馴染んだのはやはりダルトンだった。気付けば見知らぬ男と馴染んで、今度飲みに行こう等と言い合うようになっていた。
私達にその発想が無かっただけで、休日に遊びに行くのは自由だそうだ。
一応私達も休みを設定されていて、次は明後日だった。前回同様領館の書庫に籠る予定でいたが、街へ出てみるのも良いかもしれない。
「私は立場上ジギタリスを連れていますが、この通りは自警団が定期的に見回っていて治安を維持していますから、昼間の時間であれば危険は無いでしょう。その代わり北側へ行ってはいけませんよ」
「北側はカーヴァン侯爵領に接してるのでしたね」
マグゼラ領はリリエンデール公爵領の中でも最北端にあり、更に北側になると全く別の領主の領になる。
カーヴァン侯爵本人はひょろりとしていて特にこれといった印象の無い男なのだが、夫人が驚くほど宝石で飾り立てたドレスを着て来るのでその印象が強い。王族の義務として夫人とダンスを踊った事もあったが、キツイ香水を纏い、宝石から反射した光が眼に刺さり、そしてかなりの重量があるという三重苦で、一回で酷く消耗してしまうので、あまり相手をしたくないのが正直な気持ちだった。
「最近急増したカーヴァン侯爵領からの亡命者で治安が荒れているのです」
「亡命とは穏やかではありませんね。普通領同士の行き来は自由では?」
カステオの言葉に頷いて同意する。他領とはいえ国内。領館に手続きさえすれば出入りは自由の筈だ。
「それが、税の目減りを気にした当代のカーヴァン侯爵が他領への出入りに制限を設けるようになったのです。流通にも高い関税をかけているので、現在カーヴァン侯爵領との取引は滞っていて、それで領内の景気が下がる負のスパイラルに陥っているようで、生活に困窮した領民がこちらに……」
「いたぞ!!」
突如メルヴィーの言葉に割って入った複数の男の声に身構える。
気づけば通りの中でも店が少ない地域に差し掛かっていたようで、人通りがまばらになっていた。
私とカステオがメルヴィーを後ろに下がらせ、ダルトンとジギタリスが前に出て警戒した。
近寄ってきたのはボロボロの服を着た10人程の集団だった。かなり顔色が悪く、正気を取り戻したばかりの私達を彷彿とさせる姿だった。
「何者だ!」
ダルトンが問いかけると、集団の一番前に立って居た比較的身なりの良い男が前に出た。
「メルヴィー・マグゼラ子爵殿とお見受けする。間違いございませんか?」
「だったら何だ」
ダルトンここは誤魔化すべきだったのではと思ったが口を挟まずに警戒を続けていると、突然前に出ていた男以外の全員が土下座をし始めて目が点になる。
代表者も跪いて頭を垂れた。
「どうぞ、我らをお助け下さい。メルヴィー様」
「……移動しましょう。彼等を第6警備詰所へ」
彼らの様子を見ていたメルヴィーが声を掛けると、どこからか同じ服を着た男達がわらわらと出てきて彼等を連れて行った。彼等が警備隊のメンバー達なのだろう。
メルヴィーの先導で私達も詰所へ向かう事になった。
第6警備詰所は石造りで、物見台もある頑丈そうな建物だった。
私達が連れていかれたのはその食堂で、いくつかある六人掛けの丸テーブルのうち、中心のテーブルにメルヴィーと私達三人とジギタリス、それと代表の男が座り、他のテーブルに連れられていた男達分かれて座った。警備隊の主なメンバー達がその周囲を固めて立って、何かあれば拘束するぞとばかりに男たちを見張っている。
本当はもっと大人数が居るが、殆どは街の警戒へ戻ったそうだ。彼等が丸腰であることは確認済みなので必要最低限の警戒で落ち着いている。
「それでは、貴方はカラビナの村長だと?」
「はい、ビータとお呼び下さい」
カラビナはカーヴァン侯爵領の最南端の村の名だ。つまりマグゼラ領と接する地域にある村だ。
「単刀直入に申し上げます。私達は、村単位での亡命を希望しております」
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