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Fourth Contact きみが好き
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「誰に向かってテメーはそーゆー口利いてんだぁ!? 何なら今此処で口の利き方教えたろーかぁっ」
怒鳴り声に気付き、離れた所で立ち話していた新菜たちは一斉に顔を向けた。
「翔子!!」
慌てて新菜が近寄り、翔子の腕を掴んだ。
「んなトコで騒ぎ起こしてんじゃねーよ」
手を離させられたものの、翔子は納得がいかない。
「だって新菜さんっ、このアマ……っ」
新菜はまだ腕を掴んだまま、睨みつけて反論を制する。
「痛いなぁ、もぉ……」
繭は翔子の迫力に半べそになりながら、しわになった体操服を撫で、
「あんたなんか先輩に釣り合ってないんだからねっ!! 暴力女っ!! サイテーっ」
と叫んで、ずっと提げたままだった弁当箱でポコンと翔子の胸を叩き、校舎に向かって駆け出してしまった。
浩司はとっくに何処かへと消えてしまっているが、それが良かったのか悪かったのか何とも言えない。
(あんのアマ~~~……。この間は満くんに抱きついてたクセしてぇ、さらりと浩司くんに乗り換えやがってっ!!)
ようやく新菜が手を離してくれたものの、翔子は憤懣やるかたなく拳を握り締めた。
「しょおこちゃんっ」
いつの間にか傍に来ていた保が、翔子の頭をポンポン叩く。
「このおれ様が、アイスでも買ってやっから」
何でもない事のように肩を抱いて「行こ」と促している。
保は繭が去った方を睨み付けたままの翔子に気付かれないように新菜に向けてウインクしてみせると、ゆっくりとその場を後にした。
新菜が吐息をつくと、
「まぁ、翔子の気持ち解んねぇわけじゃねーんだよなぁ」
円華が横に並んで腕を組んだ。
「そりゃーね」
(好きな男との間を邪魔されちゃあねぇ。特にあの子、祭では満くんだったのに、突如手の平返したみたいに満くんには目もくれず、今度は浩司くんだもんな)
「あ……っと。どーしよ、翔子ちゃん大丈夫かなぁ。まさか、こんなトコに真柴が出て来るなんて……」
満は翔子と保を見送りながらおろおろしている。
「気にする事ないって。翔子は立ち直りはえーし。お菓子を手にケロッとしてけぇって来るって」
「あいつぁー単細胞だから」
夏美と唯が続けて言った。
「そっかなあ……そうだといんだけど……」
はあっと溜め息をついて、満はふと腕時計を見て驚く。
「やべっ!! オレも着替えなきゃっ。ゴメン、ちょっと行ってくるなっ」
午後の競技に出る予定の満は、すっ飛んで教室に向かって行ってしまった。
怒鳴り声に気付き、離れた所で立ち話していた新菜たちは一斉に顔を向けた。
「翔子!!」
慌てて新菜が近寄り、翔子の腕を掴んだ。
「んなトコで騒ぎ起こしてんじゃねーよ」
手を離させられたものの、翔子は納得がいかない。
「だって新菜さんっ、このアマ……っ」
新菜はまだ腕を掴んだまま、睨みつけて反論を制する。
「痛いなぁ、もぉ……」
繭は翔子の迫力に半べそになりながら、しわになった体操服を撫で、
「あんたなんか先輩に釣り合ってないんだからねっ!! 暴力女っ!! サイテーっ」
と叫んで、ずっと提げたままだった弁当箱でポコンと翔子の胸を叩き、校舎に向かって駆け出してしまった。
浩司はとっくに何処かへと消えてしまっているが、それが良かったのか悪かったのか何とも言えない。
(あんのアマ~~~……。この間は満くんに抱きついてたクセしてぇ、さらりと浩司くんに乗り換えやがってっ!!)
ようやく新菜が手を離してくれたものの、翔子は憤懣やるかたなく拳を握り締めた。
「しょおこちゃんっ」
いつの間にか傍に来ていた保が、翔子の頭をポンポン叩く。
「このおれ様が、アイスでも買ってやっから」
何でもない事のように肩を抱いて「行こ」と促している。
保は繭が去った方を睨み付けたままの翔子に気付かれないように新菜に向けてウインクしてみせると、ゆっくりとその場を後にした。
新菜が吐息をつくと、
「まぁ、翔子の気持ち解んねぇわけじゃねーんだよなぁ」
円華が横に並んで腕を組んだ。
「そりゃーね」
(好きな男との間を邪魔されちゃあねぇ。特にあの子、祭では満くんだったのに、突如手の平返したみたいに満くんには目もくれず、今度は浩司くんだもんな)
「あ……っと。どーしよ、翔子ちゃん大丈夫かなぁ。まさか、こんなトコに真柴が出て来るなんて……」
満は翔子と保を見送りながらおろおろしている。
「気にする事ないって。翔子は立ち直りはえーし。お菓子を手にケロッとしてけぇって来るって」
「あいつぁー単細胞だから」
夏美と唯が続けて言った。
「そっかなあ……そうだといんだけど……」
はあっと溜め息をついて、満はふと腕時計を見て驚く。
「やべっ!! オレも着替えなきゃっ。ゴメン、ちょっと行ってくるなっ」
午後の競技に出る予定の満は、すっ飛んで教室に向かって行ってしまった。
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