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Fourth Contact きみが好き
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あっという間に新学期が始まった。
相変わらず始業式が早く終わったので、ホームルームまでの休み時間に、浩司・満・ウォルター、そして進の四人は廊下で立ち話をしていた。
「あー、ほんと式が短くって助かるな」
満は、うーんと伸びをした。
「ほんとな。あ、ウォルター、宿題サンキューな。助かったぁ~」
進が両手を合わせて拝むような格好をした。
「感謝しなさいねっ」
ウォルターがえっへんと胸を張り、他三人は「ははーっ」と拝む真似をする。
「あ、そうそう、感謝ついでに、満と浩司は放課後付き合うべし」
二人を見てにやりと笑った。
「へ?」と二人が首を傾げ、進は「あーっ、また俺だけ仲間ハズレかよぉっ」とムクれた顔になる。
「進はいいの、彼女持ちは。君は美川とデートでもしてなさい」
ウォルターは、進をシッシッと払う仕草をすると、満に確認した。
「満、あの三人って梁塁だろ?」
「え!? なんで知ってんのぉ?」
まだ二人には知らせていなかった満は目を見開いた。新菜との会話の中でしかそのことは遣り取りしていない。特に教える必要も感じていなかったのだが。
「なぁーんか、噂に聞いたような名前だと思ってさあ。色んなところで色んな噂聞くからな」
ウォルターは少し首を傾げて説明し、
「ってぇ事で、掃除早目に切り上げて、梁塁に行こっ」
と二人に微笑みかけ、半ば強制的に頷かせたのだった。
ガタンガタン……。電車に揺られながら、三人はぼやーっと外の景色を眺めていた。
見回さずとも同じ車両の女子高生たちの視線が、ウォルターに一身に注がれているのが判る。
(うー……やっぱこいつってば目立つ)
浩司と満は、いつもいつも同じ事を思っては溜め息をついている。
もう随分と慣れたつもりだったが、ウォルターという存在自体に慣れている学園内ならともかく、敷地の外、しかも電車内という密閉空間にいると嫌でもしばらく見つめられてしまうのだ。
二人とも人並み以上の容姿なので、あながち一人だけ目立っているわけではないのだが、それも元々はウォルターと言う吸引力があっての事だ。
浩司と満が単品で立っていたところで、こうまであからさまに見つめられることは無い。
元々日本人は他人を不躾に見つめてはいけないという思いを持っているものだが、これが芸能人並みに目立つ存在ならその前提は覆される。そしてその存在の範疇にウォルターがしっかり入ってしまっているのだから、隣にいる自分たちはいたたまれない。
「楽しそうだな、ウォルター」
手摺も持たずに乗車口に立っているウォルターに向けて、浩司はげんなりと言った。自分は二人席の手摺の棒に凭れている。
「お出掛けが好きだからな」
ニッと笑い返し、ウォルターは両手をスラックスのポケットに入れた。
「だって目立つの好きだもん。気持ちいいよな」
「り、理解しがたいと思うぞ……俺は」
「オレもだ」
がっくりと項垂れた浩司の隣で、吊り革に摑まっている満も、はぁ~っと息を吐いた。
「そんでもって制服で梁塁に行くのって、結構人目引くよな。楽しみだねぇ」
ウォルターは、ふっふっふと不敵に笑った。
どうせなら帰宅して着替えてから誰かに連絡を取って待ち合わせれば良いものを、こうしてわざわざ制服のまま向かうのは完全に彼だけの意図が反映されている。夏休みの宿題の件で弱みを握られている二人に逆らう余地は無かった。
相変わらず始業式が早く終わったので、ホームルームまでの休み時間に、浩司・満・ウォルター、そして進の四人は廊下で立ち話をしていた。
「あー、ほんと式が短くって助かるな」
満は、うーんと伸びをした。
「ほんとな。あ、ウォルター、宿題サンキューな。助かったぁ~」
進が両手を合わせて拝むような格好をした。
「感謝しなさいねっ」
ウォルターがえっへんと胸を張り、他三人は「ははーっ」と拝む真似をする。
「あ、そうそう、感謝ついでに、満と浩司は放課後付き合うべし」
二人を見てにやりと笑った。
「へ?」と二人が首を傾げ、進は「あーっ、また俺だけ仲間ハズレかよぉっ」とムクれた顔になる。
「進はいいの、彼女持ちは。君は美川とデートでもしてなさい」
ウォルターは、進をシッシッと払う仕草をすると、満に確認した。
「満、あの三人って梁塁だろ?」
「え!? なんで知ってんのぉ?」
まだ二人には知らせていなかった満は目を見開いた。新菜との会話の中でしかそのことは遣り取りしていない。特に教える必要も感じていなかったのだが。
「なぁーんか、噂に聞いたような名前だと思ってさあ。色んなところで色んな噂聞くからな」
ウォルターは少し首を傾げて説明し、
「ってぇ事で、掃除早目に切り上げて、梁塁に行こっ」
と二人に微笑みかけ、半ば強制的に頷かせたのだった。
ガタンガタン……。電車に揺られながら、三人はぼやーっと外の景色を眺めていた。
見回さずとも同じ車両の女子高生たちの視線が、ウォルターに一身に注がれているのが判る。
(うー……やっぱこいつってば目立つ)
浩司と満は、いつもいつも同じ事を思っては溜め息をついている。
もう随分と慣れたつもりだったが、ウォルターという存在自体に慣れている学園内ならともかく、敷地の外、しかも電車内という密閉空間にいると嫌でもしばらく見つめられてしまうのだ。
二人とも人並み以上の容姿なので、あながち一人だけ目立っているわけではないのだが、それも元々はウォルターと言う吸引力があっての事だ。
浩司と満が単品で立っていたところで、こうまであからさまに見つめられることは無い。
元々日本人は他人を不躾に見つめてはいけないという思いを持っているものだが、これが芸能人並みに目立つ存在ならその前提は覆される。そしてその存在の範疇にウォルターがしっかり入ってしまっているのだから、隣にいる自分たちはいたたまれない。
「楽しそうだな、ウォルター」
手摺も持たずに乗車口に立っているウォルターに向けて、浩司はげんなりと言った。自分は二人席の手摺の棒に凭れている。
「お出掛けが好きだからな」
ニッと笑い返し、ウォルターは両手をスラックスのポケットに入れた。
「だって目立つの好きだもん。気持ちいいよな」
「り、理解しがたいと思うぞ……俺は」
「オレもだ」
がっくりと項垂れた浩司の隣で、吊り革に摑まっている満も、はぁ~っと息を吐いた。
「そんでもって制服で梁塁に行くのって、結構人目引くよな。楽しみだねぇ」
ウォルターは、ふっふっふと不敵に笑った。
どうせなら帰宅して着替えてから誰かに連絡を取って待ち合わせれば良いものを、こうしてわざわざ制服のまま向かうのは完全に彼だけの意図が反映されている。夏休みの宿題の件で弱みを握られている二人に逆らう余地は無かった。
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