30 / 190
First Contact 海へいこう!
29
しおりを挟む
新菜が辿り着いた時にはもう、円華が皆の荷物をかわしてシートを畳んでいた。
「パラソル片して」
ん、とパラソルの柄を持とうとした時に、新菜の前に小麦色に焼けた腕が伸びてきた。
「いいよ。大きい物はオレすっから」
「あ、ありがと」
新菜が素直に手を引っ込めると、テキパキとパラソルとスタンドを片付けて行く満。流石に手際がいい。
それを視界に入れながら、新菜と翔子はそこらに散らばっているラケットなどの小物を集めて砂を綺麗に払ってから袋に仕舞った。浮き輪も洗って空気を抜いてから畳んでいく。
ウォルターと浩司がもう一組のパラソルを片付けている間に、新菜はビーチボールを抱き締めて空気を抜いておいた。
「あ、ここはもういいからさ、女の子たちは着替えてきなよ。シャワー浴びたりして結構時間掛かるだろ」
体を動かしながら、満が気を遣って言った。
「あー、うん。そだね、じゃお先ぃ~」
実際その通りだと思ったので素直に甘えることにして、女子三人は手荷物だけ持つとシャワーコーナーへと向かった。
「でさー、この後どうする? カラオケでも行く? それとも後日出直す?」
荷物を詰め終えた鞄をシートからどかしながらウォルターが言った。
紫には「帰る」と言ったので、その後の話らしい。
「いーよ。俺もう帰って寝る」
同じく手近の物を片付け終わり、浩司はうーんと伸びをした。
その首筋のキスマークが目に留まり、満がにまっと笑う。
「翔子ちゃんにいいもん付けてもらってるねぇ」
「へ?」
ぽかんとする浩司の首筋をウォルターが人差し指で「これこれ」と突付く。流石の満も手鏡の類は持ち合わせていないので、見せてやることは出来なかった。
「何それ!! いつっ!?」
「何今更なこと言ってんだよ。翔子ちゃんに付いてたキスマーク、あれ全部お前がやったんだぜ?」
ウォルターは呆れ返り、浩司はひたすら狼狽していた。
「うっそだろ、あれ、ウォルターの仕業じゃねぇの!?」
二人を交互に見ると、それぞれに肩を竦めて首を左右に振った。
「オレは直接見たわけじゃねーけど、どうやらそうらしいぜ」
「俺とマドカのすぐ傍でやるんだもんなぁ……。責任取れよな、浩司」
(ええーっっ!! マジかよぉっっ。そういや目ぇ覚ましたときも、あの女とくっついてたし……)
腕を捻り上げていたとまでは気付かず、添い寝していたと勘違いしたらしい。
(確かに俺、寝てるとこ邪魔されると人が変わったようになるって前に進にも言われたけど……でも)
「お、俺、一体何したの」
恐る恐るウォルターに尋ねた。
「俺でもしないような事」
真面目くさってウォルターが答え、その後に「いやんこーちゃんったらケダモノっ」と満がおどけて言った。
「ま……マジで? 具体的に言ってくれって、ホント」
いやーな汗を流しながら、浩司は殊勝な顔でウォルターの肩に手を載せた。
「えー、だって見たまんまだもん。いきなり押し倒してキスマーク付けまくって寝ちゃったんだよ、失礼なやつだなぁ。中途半端な愛撫で焦らされちゃってショーコ可哀相に……。手ぇ出すんなら最後までやれって」
なっ、とウォルターは満に同意を求めたが、それに対して応えはなく、満は眉を寄せて唇を歪めただけだった。
「そうか……」
(よ、良かったーっ)
大きく息をついた浩司は、がくーっと体中の力が抜けそうになった。
「パラソル片して」
ん、とパラソルの柄を持とうとした時に、新菜の前に小麦色に焼けた腕が伸びてきた。
「いいよ。大きい物はオレすっから」
「あ、ありがと」
新菜が素直に手を引っ込めると、テキパキとパラソルとスタンドを片付けて行く満。流石に手際がいい。
それを視界に入れながら、新菜と翔子はそこらに散らばっているラケットなどの小物を集めて砂を綺麗に払ってから袋に仕舞った。浮き輪も洗って空気を抜いてから畳んでいく。
ウォルターと浩司がもう一組のパラソルを片付けている間に、新菜はビーチボールを抱き締めて空気を抜いておいた。
「あ、ここはもういいからさ、女の子たちは着替えてきなよ。シャワー浴びたりして結構時間掛かるだろ」
体を動かしながら、満が気を遣って言った。
「あー、うん。そだね、じゃお先ぃ~」
実際その通りだと思ったので素直に甘えることにして、女子三人は手荷物だけ持つとシャワーコーナーへと向かった。
「でさー、この後どうする? カラオケでも行く? それとも後日出直す?」
荷物を詰め終えた鞄をシートからどかしながらウォルターが言った。
紫には「帰る」と言ったので、その後の話らしい。
「いーよ。俺もう帰って寝る」
同じく手近の物を片付け終わり、浩司はうーんと伸びをした。
その首筋のキスマークが目に留まり、満がにまっと笑う。
「翔子ちゃんにいいもん付けてもらってるねぇ」
「へ?」
ぽかんとする浩司の首筋をウォルターが人差し指で「これこれ」と突付く。流石の満も手鏡の類は持ち合わせていないので、見せてやることは出来なかった。
「何それ!! いつっ!?」
「何今更なこと言ってんだよ。翔子ちゃんに付いてたキスマーク、あれ全部お前がやったんだぜ?」
ウォルターは呆れ返り、浩司はひたすら狼狽していた。
「うっそだろ、あれ、ウォルターの仕業じゃねぇの!?」
二人を交互に見ると、それぞれに肩を竦めて首を左右に振った。
「オレは直接見たわけじゃねーけど、どうやらそうらしいぜ」
「俺とマドカのすぐ傍でやるんだもんなぁ……。責任取れよな、浩司」
(ええーっっ!! マジかよぉっっ。そういや目ぇ覚ましたときも、あの女とくっついてたし……)
腕を捻り上げていたとまでは気付かず、添い寝していたと勘違いしたらしい。
(確かに俺、寝てるとこ邪魔されると人が変わったようになるって前に進にも言われたけど……でも)
「お、俺、一体何したの」
恐る恐るウォルターに尋ねた。
「俺でもしないような事」
真面目くさってウォルターが答え、その後に「いやんこーちゃんったらケダモノっ」と満がおどけて言った。
「ま……マジで? 具体的に言ってくれって、ホント」
いやーな汗を流しながら、浩司は殊勝な顔でウォルターの肩に手を載せた。
「えー、だって見たまんまだもん。いきなり押し倒してキスマーク付けまくって寝ちゃったんだよ、失礼なやつだなぁ。中途半端な愛撫で焦らされちゃってショーコ可哀相に……。手ぇ出すんなら最後までやれって」
なっ、とウォルターは満に同意を求めたが、それに対して応えはなく、満は眉を寄せて唇を歪めただけだった。
「そうか……」
(よ、良かったーっ)
大きく息をついた浩司は、がくーっと体中の力が抜けそうになった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
JC💋フェラ
山葵あいす
恋愛
森野 稚菜(もりの わかな)は、中学2年生になる14歳の女の子だ。家では姉夫婦が一緒に暮らしており、稚菜に甘い義兄の真雄(まさお)は、いつも彼女におねだりされるままお小遣いを渡していたのだが……
優しい微笑をください~上司の誤解をとく方法
栗原さとみ
恋愛
仕事のできる上司に、誤解され嫌われている私。どうやら会長の愛人でコネ入社だと思われているらしい…。その上浮気っぽいと思われているようで。上司はイケメンだし、仕事ぶりは素敵過ぎて、片想いを拗らせていくばかり。甘々オフィスラブ、王道のほっこり系恋愛話。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる