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First Contact 海へいこう!
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その話はそのままになり、それから皆で円陣を組んでビーチボールで遊んだり、ペアを組んでバドミントンをしたりと楽しい時間は見る間に過ぎて行った。
『プルルルルルっ』
丁度ウォルターと円華が見学で、後の四人が対戦している時、パラソルの下で着信音が鳴った。
「あ、そか。忘れてた」
ウォルターはごそごそと自分の荷物を探ると携帯電話を取り出し通話ボタンを押した。
「もしもし」
『やっほぉ、ウォルター。上手いこといってるぅ?』
しっとりと落ち着いた声が聞こえてくる。
「んー、まあまあかな。紫サンは?」
『愚問よ、ぐ・も・ん。それより、そろそろ日も暮れるしお迎えに行こうかと思って。それともお邪魔だったかしら』
「いや、確かに時間的にはそろそろ……ちょっと待って下さいね」
通話口を指で塞ぐと、女の名前が出てそわそわしている円華を振り返った。
「マドカたちどうやって来たの? 帰りは?」
「姉貴に送ってもらったんだ。帰りは考えてない」
円華が答えると、ウォルターは指でOKサインをして電話を再開した。
「お待たせ、紫サン。女の子三人乗れる?」
『ははあ、流石ウォルター、しっかりゲットしてくれたのね~。勿論細い子なら大丈夫よぉー』
「その点なら大丈夫」
と言いつつも一応目で確認してしまった。
『で、何処まで送ろうか。最寄のホテルまで?』
くすくすと電話の向こうで笑い声。
「や、今回は素直に帰ります。浩司のためにも、のんびりいきましょ」
今日一日の態度は、常人からみたら〈のんびり〉などというものではなかったのだが。
『ご苦労ご苦労。悪いわねぇ、ウォルター一人ならなんとでもなるのにねぇ』
「いいっすよ。俺そんなに飢えてませんから」
本人はあくまで女性の為にサービスしているつもりなのだった。実際、ステディな関係の女性は数人居るため、開拓しなくても十分間に合っているのである。
『ま、ともかくこれからそっち行くからね。十五分ほどで着くと思うから、荷物まとめといてね~』
「ラジャー」
プツッと切れるのを確認してから自分も終了ボタンを押して携帯電話をしまうと、バドミントンをしている四人におーいと声を掛けた。
「なにー?」
飛んできたシャトルを手で掴んで新菜が返答した。
ウォルターは手をメガホンの形にすると、
「これから迎えに来るから荷物まとめといてって紫サンから電話あったー!」
と大きな声を出した。
「『ゆかりさん』??」
シートに向かいながらも顔を見合わせる女子二人に、
「軸谷の姉貴だよ」
と満が説明した。
「じゃ私気に入られるように媚売っとかなくっちゃ」
「やめときなって。嫌われんのがオチだよ」
両手を合わせてうきうきしている翔子に、新菜がげんなりと釘を刺した。
「そっかなー」
顎に指を当てて不思議そうな翔子は、今日一日ですっかりブリッコ癖がついてしまったようである。
『プルルルルルっ』
丁度ウォルターと円華が見学で、後の四人が対戦している時、パラソルの下で着信音が鳴った。
「あ、そか。忘れてた」
ウォルターはごそごそと自分の荷物を探ると携帯電話を取り出し通話ボタンを押した。
「もしもし」
『やっほぉ、ウォルター。上手いこといってるぅ?』
しっとりと落ち着いた声が聞こえてくる。
「んー、まあまあかな。紫サンは?」
『愚問よ、ぐ・も・ん。それより、そろそろ日も暮れるしお迎えに行こうかと思って。それともお邪魔だったかしら』
「いや、確かに時間的にはそろそろ……ちょっと待って下さいね」
通話口を指で塞ぐと、女の名前が出てそわそわしている円華を振り返った。
「マドカたちどうやって来たの? 帰りは?」
「姉貴に送ってもらったんだ。帰りは考えてない」
円華が答えると、ウォルターは指でOKサインをして電話を再開した。
「お待たせ、紫サン。女の子三人乗れる?」
『ははあ、流石ウォルター、しっかりゲットしてくれたのね~。勿論細い子なら大丈夫よぉー』
「その点なら大丈夫」
と言いつつも一応目で確認してしまった。
『で、何処まで送ろうか。最寄のホテルまで?』
くすくすと電話の向こうで笑い声。
「や、今回は素直に帰ります。浩司のためにも、のんびりいきましょ」
今日一日の態度は、常人からみたら〈のんびり〉などというものではなかったのだが。
『ご苦労ご苦労。悪いわねぇ、ウォルター一人ならなんとでもなるのにねぇ』
「いいっすよ。俺そんなに飢えてませんから」
本人はあくまで女性の為にサービスしているつもりなのだった。実際、ステディな関係の女性は数人居るため、開拓しなくても十分間に合っているのである。
『ま、ともかくこれからそっち行くからね。十五分ほどで着くと思うから、荷物まとめといてね~』
「ラジャー」
プツッと切れるのを確認してから自分も終了ボタンを押して携帯電話をしまうと、バドミントンをしている四人におーいと声を掛けた。
「なにー?」
飛んできたシャトルを手で掴んで新菜が返答した。
ウォルターは手をメガホンの形にすると、
「これから迎えに来るから荷物まとめといてって紫サンから電話あったー!」
と大きな声を出した。
「『ゆかりさん』??」
シートに向かいながらも顔を見合わせる女子二人に、
「軸谷の姉貴だよ」
と満が説明した。
「じゃ私気に入られるように媚売っとかなくっちゃ」
「やめときなって。嫌われんのがオチだよ」
両手を合わせてうきうきしている翔子に、新菜がげんなりと釘を刺した。
「そっかなー」
顎に指を当てて不思議そうな翔子は、今日一日ですっかりブリッコ癖がついてしまったようである。
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