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First Contact 海へいこう!
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まだしばらく続きそうなキスシーンを眺めながら、ちらっと翔子が浩司を見上げてきた。
「いいなぁ。私らも~」
「するわけねぇだろ」
切れの良い否定が入り、「ウォルターはありゃ特別だからな、特別女ったらし」と首を振りつつ深い方へと逃げるように後退していく。
「普通しねーだろ。初めて会った女の子と、しかも白昼堂々と公衆の面前で」
「そぉ言われるとそうなんだけど~。結構堅いんだね」
指を咥えんばかりに羨ましそうに翔子が再度二人に目を戻した時、ようやく唇と唇が離れた。円華は完全に腰が砕けてしまい、水に浸かる前にウォルターに支えられた。
「駄目だよーマドカ、挨拶でそんなに脱力してたら」
終始放心状態でぽかんと口を開けて見ていた新菜は、絶対にウォルターに向かって強がらないと心に誓った。
「だ、脱力なんて、してな……」
言い訳しつつも膝に力が入らない様子の円華をウォルターは軽々と抱き上げると、
「しょうがない。俺、先に浜に上がっとくな」
そのままザバザバと岸に向かって歩いて行ってしまった。
「ありゃー。さっすがウォルター、テクニックありすぎ」
満はふはーっと大きく息を吐いた。
(てか、二人っきりにしとくのやばくね?)
未だ放心状態継続中の新菜につと近寄り、翔子がその前でひらひらと手を振って見せた。
「おーい、新菜さーん。戻ってこーい」
微動だにしないので、満と浩司に向けて「お手上げ」のポーズをしてみせる。
「ま、仕方ないか……。こう見えてキス未経験の方だし、目の前であんなディープなのされちゃあね」
「「キス未経験んん!?」」
男二人が驚きの声を上げる。
「見えないっしょ~。一日で十七だっていうのに。男嫌いとはちょっと違うみたい。家庭の事情もちょっとはあるみたいだけど、私が思うに今まで付き合ってきた男がハズレばっかだったせいじゃないかな」
髪を上げていたバレッタを一旦外すと、口に咥えてもう一度まとめ直してからぱちんと留める。
「それより、ウォルターと円華さん、こんなとこでまさか続きしたりしないよねえ?」
冗談で言ったらしく、心配するだけ無駄か~とケタケタ笑う翔子を前に、満と浩司はお互いを見遣った後唇を歪めた。
その仕草を見て、翔子の笑い声が先細り、止まる。
「有り得なくない……とかいうこと、ね」
いつ我に返ったのか、隣では新菜が顔を引きつらせていた。
「はは……まぁ、あの人たちは放っといて……どうしようかな」
満はちらりと浩司を見た。
(ウォルターが円華ちゃん連れてったってことは必然的に新菜ちゃんがオレの相手ってことだけど。口にしてないけど実は最初見たときから一番好みだったんだよなぁ)
浩司は意味有りげな笑みを浮かべて視線を返すと、
「そうだなっ」
いきなりバシャッと手で水を跳ね上げ、盛大に新菜に浴びせた。
ぼーっと突っ立っていた新菜は、頭からぐっしょりと海水を被ってしまった。
「なにすんだっ」
ガルルルと噛み付きそうな勢いで、新菜は浩司を睨みつけた。日頃姉に鍛えられている浩司は、勿論それくらいでひるむわけがない。
「ぼーっとしてるからだよっ。目ぇ覚めた?」
にやにや笑いながら、第二弾を今度は翔子に向かって放つ。
「きゃんっ」
手でガードしたものの、オレンジでマニキュアされた髪はぐっしょりと濡れてしまった。
「折角海に来てんだから泳ごうぜ」
「そうそ、頭っから海を満喫しなきゃ」
悪乗りした満までもがバシャバシャとやり始めたものだから新菜と翔子はたまったものではない。まさに濡れ鼠の状態である。
二人は濡れた前髪をかき上げると、互いに見合い、
「ここまで濡れたんならしゃーないか」
ニッと笑うと満と浩司にお返しをした。
ひとしきりそうやって遊んでいたのだが、結構体力を使うらしく女子二人がへばってしまった。一休みということで一旦浜へ引き上げることにしたのだけれど、
「俺、ちょっと沖の方まで泳いで来るわ」
と言って浩司は一人平泳ぎで行ってしまい、三人はそれを見送ってからパラソルの下へと向かったのだった。
「いいなぁ。私らも~」
「するわけねぇだろ」
切れの良い否定が入り、「ウォルターはありゃ特別だからな、特別女ったらし」と首を振りつつ深い方へと逃げるように後退していく。
「普通しねーだろ。初めて会った女の子と、しかも白昼堂々と公衆の面前で」
「そぉ言われるとそうなんだけど~。結構堅いんだね」
指を咥えんばかりに羨ましそうに翔子が再度二人に目を戻した時、ようやく唇と唇が離れた。円華は完全に腰が砕けてしまい、水に浸かる前にウォルターに支えられた。
「駄目だよーマドカ、挨拶でそんなに脱力してたら」
終始放心状態でぽかんと口を開けて見ていた新菜は、絶対にウォルターに向かって強がらないと心に誓った。
「だ、脱力なんて、してな……」
言い訳しつつも膝に力が入らない様子の円華をウォルターは軽々と抱き上げると、
「しょうがない。俺、先に浜に上がっとくな」
そのままザバザバと岸に向かって歩いて行ってしまった。
「ありゃー。さっすがウォルター、テクニックありすぎ」
満はふはーっと大きく息を吐いた。
(てか、二人っきりにしとくのやばくね?)
未だ放心状態継続中の新菜につと近寄り、翔子がその前でひらひらと手を振って見せた。
「おーい、新菜さーん。戻ってこーい」
微動だにしないので、満と浩司に向けて「お手上げ」のポーズをしてみせる。
「ま、仕方ないか……。こう見えてキス未経験の方だし、目の前であんなディープなのされちゃあね」
「「キス未経験んん!?」」
男二人が驚きの声を上げる。
「見えないっしょ~。一日で十七だっていうのに。男嫌いとはちょっと違うみたい。家庭の事情もちょっとはあるみたいだけど、私が思うに今まで付き合ってきた男がハズレばっかだったせいじゃないかな」
髪を上げていたバレッタを一旦外すと、口に咥えてもう一度まとめ直してからぱちんと留める。
「それより、ウォルターと円華さん、こんなとこでまさか続きしたりしないよねえ?」
冗談で言ったらしく、心配するだけ無駄か~とケタケタ笑う翔子を前に、満と浩司はお互いを見遣った後唇を歪めた。
その仕草を見て、翔子の笑い声が先細り、止まる。
「有り得なくない……とかいうこと、ね」
いつ我に返ったのか、隣では新菜が顔を引きつらせていた。
「はは……まぁ、あの人たちは放っといて……どうしようかな」
満はちらりと浩司を見た。
(ウォルターが円華ちゃん連れてったってことは必然的に新菜ちゃんがオレの相手ってことだけど。口にしてないけど実は最初見たときから一番好みだったんだよなぁ)
浩司は意味有りげな笑みを浮かべて視線を返すと、
「そうだなっ」
いきなりバシャッと手で水を跳ね上げ、盛大に新菜に浴びせた。
ぼーっと突っ立っていた新菜は、頭からぐっしょりと海水を被ってしまった。
「なにすんだっ」
ガルルルと噛み付きそうな勢いで、新菜は浩司を睨みつけた。日頃姉に鍛えられている浩司は、勿論それくらいでひるむわけがない。
「ぼーっとしてるからだよっ。目ぇ覚めた?」
にやにや笑いながら、第二弾を今度は翔子に向かって放つ。
「きゃんっ」
手でガードしたものの、オレンジでマニキュアされた髪はぐっしょりと濡れてしまった。
「折角海に来てんだから泳ごうぜ」
「そうそ、頭っから海を満喫しなきゃ」
悪乗りした満までもがバシャバシャとやり始めたものだから新菜と翔子はたまったものではない。まさに濡れ鼠の状態である。
二人は濡れた前髪をかき上げると、互いに見合い、
「ここまで濡れたんならしゃーないか」
ニッと笑うと満と浩司にお返しをした。
ひとしきりそうやって遊んでいたのだが、結構体力を使うらしく女子二人がへばってしまった。一休みということで一旦浜へ引き上げることにしたのだけれど、
「俺、ちょっと沖の方まで泳いで来るわ」
と言って浩司は一人平泳ぎで行ってしまい、三人はそれを見送ってからパラソルの下へと向かったのだった。
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