Complex

亨珈

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First Contact 海へいこう!

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 一方その頃後ろの女子たちは。

「あんた、いい加減そのブリブリやめな」

「そーそー。あっちにもバレてるって。大体今時ぶりっこなんか」

「そっかなぁ?」

 円華と新菜に指摘され翔子は少し気勢を削がれていた。

「それより新菜、あんたどっちタイプ?」

「どっちって、何が」

「惚けてないで。満くんかウォルターかに決まってんじゃん」

「別に。興味ないしー」

 またしても不毛な会話を繰り広げていると、「はい到着ー」と満の声がして、前も見ずに歩いていた円華と新菜は足を止めてようやくそちらを向いた。

「わぉ。いよいよの隅っこだ」

 呆気に取られて立ち尽くす女子たちに、おいでおいでと手招きする。

「うん、だって落ち着かないっしょ。あんま混んでるとこだと」

「ま、それもそっか……ウォルターいると余計目立つだろうしね」

 同意して円華たちもシートを広げた。
 その目立つ人のお陰でこうして知り合えたのだけれど、後はもう目立ってもらわなくて結構、という気持ちもあるのだった。



 自分の役目は果たしたということなのか、「じゃあオレ、ちっと泳いでくるな」と言い置いて、パーカーとサンダルを脱ぎ捨てて満は駆けて行ってしまった。

「用意するの手伝おうか」

とウォルターが女子たちに声を掛ける。

「あ、いいいい。大丈夫。先に行ってて」

 慌てて新菜が首を振り「じゃあ取りあえず、」その荷物こっちに置いとけばと言葉を続けて自分たちのシートを示そうとしたウォルターを待たず、無言で浩司がどかどかと三人の荷物を適当に載せてしまった。
 そして呆気に取られている四人を放ってさっさと海に向かって行ってしまったのだった。

「あー……」

 何か言いかけてウォルターは肩を竦め、「じゃ、待ってるからね~」と自分もその後をのんびりと追っていった。
 ひらひらと振られる手が見えなくなる頃、新菜がパラソルを立てながら、

「愛想ねぇけど、結構いいやつじゃん」

「ホント。誰にでもへらへらと愛想振りまいている下心ありありの誰かさんとは大違い……」

 円華も話しかけるでもなく呟いた。

「で、新菜さんは誰がタイプなんですぅ?」

 自分のシートを広げ、その上に荷物を置き換えながら翔子が問うた。

「顔だけならそりゃウォルターだよな」

と円華が代わりに応えた。新菜は黙々と荷物の整頓をしている。

「なんつっても新菜の好みの男って外人の俳優ばっかだし」

「そーなんだー? でも今日ここに来て大正解ですね! 私がんばろーっと」

「あんたは浩司くんで決まりなんでしょ」

「そーです~。絶対ゲットしなきゃ」

「はあ。なんだか道は険しそうだけど……ま、がんばんな」

 喋りながらも支度を終えた円華と翔子、そして今度は海へ入る気になった新菜は、その場にサンダルを脱ぐと揃って砂浜を駆け出していった。
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