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「で、今日はどうだった?」
帰ってくるなり、ユリージュはカイルに掴まって腕の中にすっぽりと囲われてしまった。
「うぷっ…ただいま、カイル……」
玄関先で待ち構えていたのか、ドアを開けた瞬間にユリージュは引っ張り込まれて今はカイルの腕の中だ。
「お帰り………」
荷物を下ろさないうちから、カイルはユリージュに口付けを落とす。
「…ん……」
もう急ぐ必要もないユリージュには拒否する理由もなくて、カイルに流されるまま……
「ふっ…カイ…ル?」
なんで帰って来て早々に?カイル、お腹が空いてるの?魔法石の、魔力が足りなかったかな?カイルの口づけを受けながら、頭の端ではそんな事を思いつつ、息継ぎの為に唇を離そうとするユリージュ。
「ユリージュ、まだダメだ……」
「んぅ…っ」
何度も執拗に降ってくるカイルの唇に、ユリージュは抵抗する事を諦め、そのまま身を任せる事にした。
カイルの事は…好きだから……
何で急にこんな事をするのか分からなくても、基本ユリージュはカイルを拒否しない。
「誰かに掴ませただろう?」
「…?」
「腕……」
カイルはユリージュの腕をとってそこにもキスを落とす。
「……あ、それは……」
ハークだ。魔剣士隊長と言っていたか?
「思い当たる?」
「……う、ん…」
「そうか…何があったか知らないけど、ユリに触れられるのは面白くは無い…!」
チュッチュと首元にも軽くキスを落とされて、そこから受ける湿った感覚にユリージュはゾクリと身を震わせた。
「魔法防御のコツを教えてって…」
「そう言われたのか?」
「んっ……」
カイルの手が遠慮無くユリージュの服の中に入ってくる。ゆっくりと確かめる様に肌を辿っていく、カイルの大きな熱い手…
「でも…ユリに触った………」
「カイル…ッ…」
カイルの手の動きは止まらない。慣れた手つきで次々にユリージュの弱い部分を緩急つけて刺激してくる。ユリージュはもう立ってられなくて抱え込まれる様にしてカイルに支えてもらって……
「俺が側にいれたらな……」
「それ、は…ダメ…」
「知ってるよ。チーやルーは許されてるのに不公平なもんだ。」
ルーは魔術師長スーレの使役物の一つ。紙の形をした使役物だ。主にスーレの書記の様な事をしている。人間の書記官も配属されてくるのだが、人件費が削減できる事を強アピールしてスーレは許可を得たのだ。
使役物は主人を慕う。主人からしか生きる糧を貰えないので当たり前なのだが、常に一緒に居たいと思うくらいの執着を主人に対して持っている。それなのに、カイルは主人から言われてここに囚われている様なもので、異論はないにしても今日のユリージュの様に他の人間の跡を付けて帰宅されるのは面白くは無い。
それがユリージュを利用しようとする人間なら尚更のこと…
「あっ…っ…」
度重なるカイルの刺激に反応していたユリージュの、立ち上がっていた中心をカイルの熱い手に包み込まれてしまった。
「…ユリ…ベッドへ行く?」
ユリージュの答えを待つまでもなく、カイルはユリージュを刺激し続ける。
「…っ…ぅ…」
その甘やかな刺激に、完全に立っていられないユリージュは必死にカイルにしがみ付いて、コクコクと肯くしかなかった……
仕方ないと思っていても、分かっていても嫌なのだ。自分のマスターが他人に触れられるなんて考えただけでもカイルの胸は焼け切れそうだ。戒めであるこの鎖を引きちぎって外に出て行かなければと言う焦燥感に、今日一日苛まされてきたのだからその分ユリージュからは駄賃をもらっても良いだろう。
カイルの熱い舌と唇が、余す所なくユリージュの身体の線を辿っていく…その度にユリージュの身体は反応して甘い吐息を漏らし、カイルの口の端には笑みが溢れた。
可愛い…可愛い、俺のユリージュ…
たった髪の一房でさえも、他の奴になんて渡したくもない。
ユリージュが疲れて眠ってしまうまで、飽きる事なくカイルはユリージュに手を伸ばした…
「……カイル………」
「起きたか?」
爽やかな朝日の中でご機嫌なカイルの声が響き、満面な笑顔のカイルがユリージュを覗き込む。
「……ん……」
「お~い?起きれるか?」
出勤時間までまだまだあるものの、シャワーを浴びなければ……
「まだ、眠い…」
昨夜…何時ごろに眠ったのかもユリージュは覚えていない。帰って来たと思ったらあっという間にベッドへと連れて行かれてしまったし……
「あぁ…悪かった。少し、無理させ過ぎたな……でも風呂には入らなきゃだろう?」
まだ布団の中でモゾモゾとしているユリージュをカイルはそのままガバッと抱き込んでほっぺにキスを落とす。フワリと宙に浮くユリージュ…
「わっ!」
掛け布団ほどユリージュはカイルに抱え上げられて浴室に連れて行かれてしまった。
「…お腹、一杯になった?」
大人しく抱き抱えられながらユリージュはポツリとカイルに聞く。
触れ合う事でカイルはユリージュから魔力をもらって糧としているはずで…ユリージュに触れるのもきっと食事の一種だし…
でもユリージュはカイルが好きで、それを嫌だとは思わなくて……
だから、これも良しとしよう……
ユリージュの頭の中のどこかには、いつもこんな考えが蔓延っている。
だから、カイルは今日もユリージュに言うのだ。
「…ユリ…愛してるよ……」
とびっきり甘い……体の芯に響く様な口づけも一緒に落としながら……
帰ってくるなり、ユリージュはカイルに掴まって腕の中にすっぽりと囲われてしまった。
「うぷっ…ただいま、カイル……」
玄関先で待ち構えていたのか、ドアを開けた瞬間にユリージュは引っ張り込まれて今はカイルの腕の中だ。
「お帰り………」
荷物を下ろさないうちから、カイルはユリージュに口付けを落とす。
「…ん……」
もう急ぐ必要もないユリージュには拒否する理由もなくて、カイルに流されるまま……
「ふっ…カイ…ル?」
なんで帰って来て早々に?カイル、お腹が空いてるの?魔法石の、魔力が足りなかったかな?カイルの口づけを受けながら、頭の端ではそんな事を思いつつ、息継ぎの為に唇を離そうとするユリージュ。
「ユリージュ、まだダメだ……」
「んぅ…っ」
何度も執拗に降ってくるカイルの唇に、ユリージュは抵抗する事を諦め、そのまま身を任せる事にした。
カイルの事は…好きだから……
何で急にこんな事をするのか分からなくても、基本ユリージュはカイルを拒否しない。
「誰かに掴ませただろう?」
「…?」
「腕……」
カイルはユリージュの腕をとってそこにもキスを落とす。
「……あ、それは……」
ハークだ。魔剣士隊長と言っていたか?
「思い当たる?」
「……う、ん…」
「そうか…何があったか知らないけど、ユリに触れられるのは面白くは無い…!」
チュッチュと首元にも軽くキスを落とされて、そこから受ける湿った感覚にユリージュはゾクリと身を震わせた。
「魔法防御のコツを教えてって…」
「そう言われたのか?」
「んっ……」
カイルの手が遠慮無くユリージュの服の中に入ってくる。ゆっくりと確かめる様に肌を辿っていく、カイルの大きな熱い手…
「でも…ユリに触った………」
「カイル…ッ…」
カイルの手の動きは止まらない。慣れた手つきで次々にユリージュの弱い部分を緩急つけて刺激してくる。ユリージュはもう立ってられなくて抱え込まれる様にしてカイルに支えてもらって……
「俺が側にいれたらな……」
「それ、は…ダメ…」
「知ってるよ。チーやルーは許されてるのに不公平なもんだ。」
ルーは魔術師長スーレの使役物の一つ。紙の形をした使役物だ。主にスーレの書記の様な事をしている。人間の書記官も配属されてくるのだが、人件費が削減できる事を強アピールしてスーレは許可を得たのだ。
使役物は主人を慕う。主人からしか生きる糧を貰えないので当たり前なのだが、常に一緒に居たいと思うくらいの執着を主人に対して持っている。それなのに、カイルは主人から言われてここに囚われている様なもので、異論はないにしても今日のユリージュの様に他の人間の跡を付けて帰宅されるのは面白くは無い。
それがユリージュを利用しようとする人間なら尚更のこと…
「あっ…っ…」
度重なるカイルの刺激に反応していたユリージュの、立ち上がっていた中心をカイルの熱い手に包み込まれてしまった。
「…ユリ…ベッドへ行く?」
ユリージュの答えを待つまでもなく、カイルはユリージュを刺激し続ける。
「…っ…ぅ…」
その甘やかな刺激に、完全に立っていられないユリージュは必死にカイルにしがみ付いて、コクコクと肯くしかなかった……
仕方ないと思っていても、分かっていても嫌なのだ。自分のマスターが他人に触れられるなんて考えただけでもカイルの胸は焼け切れそうだ。戒めであるこの鎖を引きちぎって外に出て行かなければと言う焦燥感に、今日一日苛まされてきたのだからその分ユリージュからは駄賃をもらっても良いだろう。
カイルの熱い舌と唇が、余す所なくユリージュの身体の線を辿っていく…その度にユリージュの身体は反応して甘い吐息を漏らし、カイルの口の端には笑みが溢れた。
可愛い…可愛い、俺のユリージュ…
たった髪の一房でさえも、他の奴になんて渡したくもない。
ユリージュが疲れて眠ってしまうまで、飽きる事なくカイルはユリージュに手を伸ばした…
「……カイル………」
「起きたか?」
爽やかな朝日の中でご機嫌なカイルの声が響き、満面な笑顔のカイルがユリージュを覗き込む。
「……ん……」
「お~い?起きれるか?」
出勤時間までまだまだあるものの、シャワーを浴びなければ……
「まだ、眠い…」
昨夜…何時ごろに眠ったのかもユリージュは覚えていない。帰って来たと思ったらあっという間にベッドへと連れて行かれてしまったし……
「あぁ…悪かった。少し、無理させ過ぎたな……でも風呂には入らなきゃだろう?」
まだ布団の中でモゾモゾとしているユリージュをカイルはそのままガバッと抱き込んでほっぺにキスを落とす。フワリと宙に浮くユリージュ…
「わっ!」
掛け布団ほどユリージュはカイルに抱え上げられて浴室に連れて行かれてしまった。
「…お腹、一杯になった?」
大人しく抱き抱えられながらユリージュはポツリとカイルに聞く。
触れ合う事でカイルはユリージュから魔力をもらって糧としているはずで…ユリージュに触れるのもきっと食事の一種だし…
でもユリージュはカイルが好きで、それを嫌だとは思わなくて……
だから、これも良しとしよう……
ユリージュの頭の中のどこかには、いつもこんな考えが蔓延っている。
だから、カイルは今日もユリージュに言うのだ。
「…ユリ…愛してるよ……」
とびっきり甘い……体の芯に響く様な口づけも一緒に落としながら……
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