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28 このままじゃ

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 結局、あの時みたいに最後までされる事はなかったけど、一線を超えたは超えてしまった……翔の手で触られていかされてぐったりした所で風呂からあげられた。
 
 やだって言っても止めてくれないからもう内心では覚悟をしてたけど、翔はそれ以上してこなかった。身体を拭かれバスローブを着せられた状態でうつ伏せにされて……

「いったぁ……んぅぅぅ……くっ…ぅぅ…」

 今、足を揉まれている。相当凝り固まっていたみたいで疲労回復の薬を塗ってもらいながら翔にモミモミと…

「ん~あれ位でこんなになるとは…晴、体力落ちるから、少しずつ運動しよう?」  

 引きこもり生活ほぼ人任せの代償はかなり大きかった。

「んん…」

 そう、思うけど……思う様に翔と顔を合わせられない…あっちでも、こっちでもあんな事があって、どうすりゃいいんだ一体……ここでの翔にも好きな様にされるのか?戻った時にされたみたいな恐怖はなかったけど。いや、記憶はあるからそれ自体が最早恐怖の対象みたいになってる?
でも、いけたしな…?気持ちは良かった………

「晴…?」

 黙ったままの俺に翔が声をかける。

「………」

「…寝ちゃったの?」

「ん~ん…」

 起きてる。痛くて寝れたもんじゃ無いし…

「俺…働こうかと思うんだ…」

「え…?」

 何、突然の衝撃発言?働く?ここで?何して?思わずガバッと起きて、うつ伏せたまま振り返る。

「ここに、もう少し居そうだろう?」

 翔の目は今も優しい…ここでどんなにおれが拒否っても、八つ当たりしても…

「お前だけでも、帰れるだろ?」

 なのに何で?

「まさか!何で俺が晴を一人にするんだよ?帰るんなら一緒だし、ここにいるんなら一緒にいるつもりだ。」  

「だから、何で?」

「ん?」

 付き合うことなんてないじゃん…俺は、はっきり言って向こうでのお前が怖くて決断できないだけで、お前にだって気になる人くらいいるだろうが?

「………」

 言いたいこと沢山あり過ぎて、喉の所で固まってる。

「晴と一緒に居たいからだよ…?って何度か俺言ってなかった?」

「言ってた…お前……」

「それ位…晴が好きなんだ……分かった?」

 ふんわり笑う翔はあいつじゃなくて、でもあいつも翔で……

「ふっ…勝手に自分の気持ち晴にぶつけてるだけだから、そんなに困った顔すんな…な?」

 どんな、顔してれば良かったのか…喜べないなら…はっきり拒否か困るしかないだろ…

「晴…本当に気にするな…」

「あぁってぇぇぇ~~」

 柔らかい顔してニコニコしながら、翔め、思い切り凝り固まった所を掴みやがった~~

 どこにいても、翔は翔だ…きっと……



 働く宣言をした翔の行動は早かった。こっちの翔との距離感をどうしたもんかとおれが悩んでるうちに、もう仕事を見つけて来たらしい…え?何すんの?

「ん~護身術の講師、かな?」

「へ~~お前、強いもんな…」

 何となしにいつも思っていることがポロリと出る。翔は喧嘩では負け知らずだからだ。

「………」

「え?どした……?」

 素直に翔に賛辞を送ったんだが、翔の奴が口を手で押さえて下向いちゃった。

「生きてて、良かった……俺、頑張るわ。」

「はい?」

 そんなに?
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