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「おいおい、誰だよ。女の子連れ込んだの?」

「え~~団長の隠し子なんじゃないの?」

 明らかにここに似つかわしくないスロウルの容姿にゲラゲラと下品な野次も飛ぶ。

 如何にも柄が悪そうな集団が、思い思いの席で食事を取っている、そんな食堂の入り口で部隊長は声を張り上げた。


「おら、締まってけ!今期入る新入隊員、名はスロウル。あと数名いるがまた到着次第紹介する、こいつは討伐班だが使える様になるまで各隊に回して戦力を身に付けさせる!皆良いな!」

 今日からここが、スロウルの生きる場所となる。





「オラオラオラ!お嬢ちゃん!剣は舞踊道具じゃないんだぜ?ホラ!もっと腰入れて受けな!」

「くっ……」


 各隊ごとに出兵任務がなければ日がな一日パトロールと隊員達の訓練に明け暮れる。

 スロウルは未だパトロールにも力不足で、1日を兵舎の雑用と手の空いた者達から剣の相手をさせられているのだ。


「へへ、見た目はお姫様なのに、お前根性あるなぁ。貴族の坊ちゃんなんざ、こんだけしごけばヒィヒィ言って逃げ帰ると思ってたのにな。」


 下級の兵士団と言えど腕は確かな者達揃い。本気で打ち合えばスロウルにはなんら勝ち目は無いものの、根性だけは座っていると好意的な目で見てくれる者もいる。


「有難うございます。」


「お高くとまった態度はそのままか?ま、良いけどな、隊長から言われてんだが、お前、他の奴の訓練を良く見とけってさ。目で見て戦闘に慣れとけ。」

 バンバンとまだ小さな背を気さく無く叩いて行く者もいる。


 この隊にはスロウルの様に貴族の令息も何名か配属されてはいるが、大抵はその貴族位に恐れをなして荒くれた者達も横柄な態度には出ることが出来ないのだが、スロウルは条件が違った。


[討伐隊経験後何処へ配属しようと貴隊にお任せする]

 と通達をもらっている。
 と、言うことはここから家に帰す事を求めない、テドルフ公爵家はスロウルの身の安全を求めないとも受け取れた。スロウルの様な10を少し越えた少年の時に、こんな辺鄙な下級部隊に押し込める貴族など今まで見たこともない。

 騎士を目指す者ならば、下々を束ねる為に下級部隊まで貴族の子息はやっても来るが、もっと年齢がいってからだ。

 周囲の目からもスロウルは異例中の異例に映ったし、その外見もあって注目も、詮索されるにも充分だった。


「なあ、スロウル、お前公爵家の出だって?」

「………」

「なんでまた、そんな高位のお貴族様が小さなお前をこんな所に入れたのさ?」

「私には、分かりかねます。」

 おしゃべり好き、詮索好きはどこにでもいるもので、スロウルはしょっ中この手の輩に捕まっては話のネタにされているのだ。


「ふ~~ん?側室の子だからか?」

「…さあ?」

「だから、供の一人も付けずにこんな所に追いやられてるのか?」

「……」

 きっと違うと言っても、根掘り葉掘り聞かれるだけで納得してくれるとは思えない。
 今日の仕事の一つである大量の洗濯物を目の前に積まれては、ため息をつきつつ、数枚ずつタライに入れて行く。

「貴族の坊ちゃんが、こんな所で汚い洗濯物と格闘なんて世も末だな…」

 同じく洗濯当番であるはずの若い隊員は積まれた洗濯物に手を伸ばさず、少し長くなって束ねていたスロウルの髪を弄っている。

「あの、洗濯物を…」

 早く終わらせなければ乾かないし、今日の分の鍛錬が出来なくなる。

「まあまあ、そう焦るなって…」

 言いかけたスロウルの手をグイと引く、後ろに倒れ込みそうになりながらも、後ろにいた若い隊員の両手の中にスッポリと受け止められてしまった。

「俺はね、レオってんだ。呼んでみな?」

「何をするんです?レオ!仕事をしなければ…」

 後で叱られ罰を受けるのはお互い様だろうに。

「まあ、そんなに急がなくたって事は済むから、適度なストレスの抜きかたってのを教えてやるよ。」

 後ろから抱きしめたままの姿勢で、首筋に顔を埋めてくる。

「お前、良い匂いがするな?」

「え?匂いですか?」

 朝の鍛錬後なので汗臭いのではと思うのだが、スンスンと匂いを嗅がれても、嬉しいはずもなく、離れようともがいてみるも到底力では敵わない。

「だからそんなに嫌がるなって、すぐ済むから。」

「だから、何を、するのです!」

「クッ…力抜いてな…」


 身体を押さえていない手が下半身へと伸びる。首元に埋めて来た顔は、首筋を舐めてる?なんで?くすぐったくて身を捩る…


「やめ…!なに、を?」

「自分でした事ないのか?」

「何を?」

 答えを聞くまでも無く、スロウルの中央に刺激が走る。


「や…!」

 驚きでそれ以上声にならない。ビクッと全身が跳ねる。

「いい反応するな。」

 明らかに楽しんでいる声だ。バッと下半身に伸びているレオの手を掴んで離そうにも、レオは少し力を込めて更に揉みしだいて来る。

「……!!」

 数回刺激を与えれば、未だ大人の体で無くとも反応を示す。
 今まで他人になど触られたことのない所を触られて、息もつけない程体が硬くなる。  

「フッ…力抜けって言っただろ?痛くないから安心しな…」

 レオが耳元で言えば、くすぐったいのか、ゾワっと腰に震えが走る。

「ふっ…」

 力が一瞬抜けるのを見て取っては、スロウルを握る手に力を込めた。まだ、掌にスッポリと収まりきるものは小さいながらもしっかりと反応していた。

「んっ…やめ、て…」

「嫌なだけじゃ無いだろ?大人しくしてな。」


 何を言う!嫌、いやだ、嫌しかない……!

 スロウル自身をがっしりと掴まれていては、暴れて振り解くことも出来はしない。
 為されるがまま、唇を噛んで突き上げて来るものを耐えるしかなかった。
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