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69 旦那様の決意 2

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「やっと言ったな……シェインリーフ…」


 ため息と共に、頬擦りしては嬉しそうに口付けを落とす…


「ふうっ…」

 レーン様が嬉しいのは分かった…分かったけど、思い切り抱きしめられて、更に口を塞がれて、その前には私、泣きじゃくってたし、流石に、これは苦しい…

 ギュッと服を掴んで苦しさに耐えるしかなかった私にやっと助け舟が出された。


「ガラット様、嬉しさにかまけてシェイン君を抱き潰すつもりですか?」

 メアリーさんの声だ。半ば、ボウッとした頭には遠くに聞こえる。


「くる…しっ…」

 やっと離れた唇の間から、空気を求めながら訴えてみる。


「あぁ、シェインリーフ済まない。」

 レーン様は流れた涙を手で拭いながら、抱きしめる力を緩めてくださった。

 肩で大きく呼吸をしながら、自分が言ってしまった事を反芻してみれば、とうとう言ってしまったという後悔やら、やり遂げた達成感で心が異様に高揚している。緩んだ涙腺は崩壊状態で、何かを流し尽くそうと溢れてくるばかりだ。


「一つ、其方に言っておく事がある……私が其方を消滅などさせはしない。」


 レーン様が言うと本当になりそうで不思議だ…握り締めた服を離す事もできなくてしがみついたまま、コクコクと肯く。


 レーン様は私を優しく抱きしめ直して、頭を撫でながらその掌に乗せた精霊石を見せてくる。

「??」

 少し輝きが薄くなり、まだまだ力不足な私の石…本来の姿にも戻せず申し訳なくも思う。


「以前に其方に言った。私にをくれないか?」

「私の…?」

「そう、其方の。」

 話しながらも、口付けを止めてくれないから、聞きたいことが上手く聞けません。でも、旦那様、レーン様貴方が変わらず私を求めてくれることが、こんなにも嬉しい…


「シェインリーフ、私もだ……其方に求められて、どれだけ嬉しいか其方には分からないだろう?私だとて好きな者から求められたいのだ。」


 これは…言ってもいいのだろうか?もっと、ずっと一緒に居たいって?貴方にもっと触れたいって?言ってはいけない、凄い我儘を言うけど、天に帰らずここに居てって………?


「其方は?何を求める?私はもうずっと其方が欲しいと話してるぞ?」


 優しい、旦那様の声。あやす様に優しく心に響いてくる。まるで心の中が全部溶かされたみたいに、次々と心が流れ出してくる。


「貴方が、好き、です。一緒に、ずっと一緒に居たい。誰にも、他の誰にも渡したくありません!私は、どうなってもいいですから、だから、ここに居て!」

「ああ……」

 満足そうな、赤い瞳に光を湛えて輝くばかりの笑顔を見せて、もう一度レーン様はしっかりと私を抱きしめ直した…
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