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 クチュウ……

 誰にも、触られたくないと…思っていた場所から音がする…ラウードの長い指が有都の後ろから奥を抉って差し込まれる音が…

「ラウ…ド……待って…!」

 指は差し込まれたまま、中でゆるゆると動いているから、有都には刺激が強すぎて…ラウードの手から逃れようとして有都が力を入れてしまったら、ラウードの指を締め付けてしまい逆にその存在感を体感することになる。有都は呼吸を整えながら、身動きできずにフルフルとラウードの腕の中で震えていることしかできなかった。

を触られた事は、初めてではないだろう?」

 有都の苦痛を取った時に、きっとラウードも知ったに違いない…有都がここに来る事になったきっかけを…

 かぁぁぁぁ、と一気に有都の頭部が朱に染まる。いくら力の作用とはいえ、嫌な思いを取ってくれるとしても、見られたいとは到底思えない思い出だ。

「やっだ……も…っ…」

 フルフルと首を振りながら有都は逃げようともがくものの、ガッチリとしたラウードの腕はピクリともしない。

「気持ちは悪くはないだろう?」

 そこに関しては、思い出せば気分が悪くなる記憶しか有都の中にはないものの、今も尚ゆるゆると内壁を擦り上げる様に優しく周囲を圧迫して中で動き回っているラウードの指からは、確実に有都を高め追い詰めていく快感が与えられている。

「うっ…ん……でもっ…や…」

 気持ちは悪くないと返事をもらったラウードの表情は安堵に緩む。

「ならばそのまま、感じておけ…」

 嫌々をする有都とは正反対にラウードは一向に手を止める気はない様だ。それよりも、入れる指を増やして来さえして……

「あっ…ぁあ……や…ぁ…っ」

 自分自身を触られている時の快感ではなく人から、それもラウードの手から、一番奥に与えられていく快感に有都は翻弄されていく。

「ここに、何か入れられていたな…?あれは何だ?」

「…んぁ…ん…え……?」


 入れられてた………?そんなのは一度きりで………


「………………ロー……ター…」

 言いたくは無いが、言わなかったら今入れられている指がどんな動きをするのか少し怖くなった有都は、素直に口にしてみた。

「ろーたー?」

 この世界にはきっとそんな物ないに決まってはいるが、その後にそれはどういう物かと更に突っ込まれなくて良かったと有都は心から思う。そんなオモチャで嫌々ながらも達していたのかと思われるのはやはり辛い…

「性具の名前か?アリーはあれが好きか?」

「……!?」

 途端にキュッと引き締まる有都の眉と、ラウードの指を咥え込んでいる肉壁。有都に与えられる刺激なんてどうにでも我慢して、一気にラウードから離れてしまおうかと有都の頭をそんな考えが過ぎる…

「すまん…嫌な思いをさせたい訳では無い…そうか…性具は嫌なんだな?」

「や……だっ…」

 一向に中から出て行かないラウードの指にグゥッと深くまで抉られる。

「では、アリー。これは俺の指だ…今、二本入っている。性具が嫌だったならば俺の指を感じていろ……」

 耳元に低いラウードの声…

 良く知っている、腰に響く、何かを堪えている様なラウードの低い声と共に、有都に与えられているのは、あの時ローターに与えられた快感で…でも決定的に違うのは、確実に有都の感じるその場所を容赦なく抉る指と、有都を決して嘲笑うことのないラウードの声…


 ラウードだ……これは、ラウード……


 ラウードが与えてくれるのはいつも快感だけだ。これは有都の苦痛を、触れ合っている今もきっとラウードが取り除いているから。

「い…ぃ…取らな…くて…いっ…い…!」

 両眼に涙を湛えながら必死にラウードの衣類を掴んで有都は懇願する。


 もう苦痛じゃ無いから…これは、ラウードだから……だから…


「アリー……」

 有都ばかり構っているラウードの息だって上がって来ていて、端正な綺麗な顔を耐える様に歪めてるのに、ラウードはこれ以上性急に事を進めようとは絶対にしてこないのだ。

「ラウ……もっぅ…いい…から…」

 何がどうもういいのか、有都にだって快感に煽られて、もう一思いにいかせてほしくて、どうしても腰が揺れる…

「アリー……アリー…」

 ハッハ、と浅く呼吸を繋いでいるその呼吸さえむしり取られる様に、有都はラウードのキスで口を塞がれた。

「…お前は、怒るかもしれないな……」

「…なぁ…に?」

 半ばボウッとしたまま有都はラウードを仰ぎ見る。有都の記憶がはっきりとしているのはここまでだった…







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