46 / 88
46
しおりを挟む
「おや、これはごきげんよう?」
今やっと気づきましたーって顔してるよね?アールスト…絶対に第一声で気がついただろうに?
「もう!相変わらず釣れないのね?そこがまた良いのだけど。」
軽やかな声はとても若々しくて華やかで、今青春してますっていう女子そのものだ。やっぱり…いつもアールストが持ってくる聖女の衣…真っ白な絹のドレスを着ているこの女性も聖女なのだ。
「あら、こちらは?」
今の今までアールストにエスコートされて手を繋いでいたルーチェリアに今気が付きましたって無理があると思わないのだろうか?ルーチェリアのほうはそんな白々しい聖女?の態度にポカンとしてしまっている。
「ご紹介が遅れましたね。こちらは聖女ルーチェリア様でございます。本日が神託の間初訪問なのです。よそしくお願いしますね。聖女カナール様。」
本物の聖女~~!!
聖女カナール…真っ白な聖女の衣を惜しげもなく堂々と着こなしている。きっとどこか高貴な家のご令嬢なのだろう。濃い金の髪に燃える様な赤い瞳。情熱的な性格なのだろうか…一瞬たりともアールストから離れようとはせずにしっかりとその腕を抱きしめながら、ルーチェリアの事を頭の先から爪先まで品定めするかの如くに見つめてくる。
「聖女ルーチェリア…?聞かない名前ですわ?」
「左様でしょうとも。つい最近聖女認定されまして。此度は休養にて神託の間に参ったのです。」
「休養ねぇ?……貴方!」
じっとりとルーチェリアを眺め回していた瞳をスッと眇めながら胡散臭そうに聖女カナールは問う。
「本当に聖女ですの?貴方の様なやぼったい聖女なんてここには居りませんのよ?」
やぼったい……どうやらルーチェリアが着ている綿のワンピースの事だろうか?
「なぜ、聖女の衣を着ていないのです?まさか……!アールスト様や周りの者達を聖女だと騙してここまで来たのではないでしょうね?」
え~~~本物の聖女って疑り深い~~……
ルーチェリアの中の聖女のイメージがガラガラと崩れていく様な気さえする。
「まさか!ご覧ください聖女カナール様!ルーチェリア様の透ける様な白い肌と輝く金のお髪!青空の様な透き通る深い色合いの瞳には聖女の衣がピッタリと映えるとはお思いになりませんか?」
ニコニコと微笑みを崩さないアールストはきっと気がつかないのかもしれない。
この聖女カナール、完全にルーチェリアを敵視している……!
今やっと気づきましたーって顔してるよね?アールスト…絶対に第一声で気がついただろうに?
「もう!相変わらず釣れないのね?そこがまた良いのだけど。」
軽やかな声はとても若々しくて華やかで、今青春してますっていう女子そのものだ。やっぱり…いつもアールストが持ってくる聖女の衣…真っ白な絹のドレスを着ているこの女性も聖女なのだ。
「あら、こちらは?」
今の今までアールストにエスコートされて手を繋いでいたルーチェリアに今気が付きましたって無理があると思わないのだろうか?ルーチェリアのほうはそんな白々しい聖女?の態度にポカンとしてしまっている。
「ご紹介が遅れましたね。こちらは聖女ルーチェリア様でございます。本日が神託の間初訪問なのです。よそしくお願いしますね。聖女カナール様。」
本物の聖女~~!!
聖女カナール…真っ白な聖女の衣を惜しげもなく堂々と着こなしている。きっとどこか高貴な家のご令嬢なのだろう。濃い金の髪に燃える様な赤い瞳。情熱的な性格なのだろうか…一瞬たりともアールストから離れようとはせずにしっかりとその腕を抱きしめながら、ルーチェリアの事を頭の先から爪先まで品定めするかの如くに見つめてくる。
「聖女ルーチェリア…?聞かない名前ですわ?」
「左様でしょうとも。つい最近聖女認定されまして。此度は休養にて神託の間に参ったのです。」
「休養ねぇ?……貴方!」
じっとりとルーチェリアを眺め回していた瞳をスッと眇めながら胡散臭そうに聖女カナールは問う。
「本当に聖女ですの?貴方の様なやぼったい聖女なんてここには居りませんのよ?」
やぼったい……どうやらルーチェリアが着ている綿のワンピースの事だろうか?
「なぜ、聖女の衣を着ていないのです?まさか……!アールスト様や周りの者達を聖女だと騙してここまで来たのではないでしょうね?」
え~~~本物の聖女って疑り深い~~……
ルーチェリアの中の聖女のイメージがガラガラと崩れていく様な気さえする。
「まさか!ご覧ください聖女カナール様!ルーチェリア様の透ける様な白い肌と輝く金のお髪!青空の様な透き通る深い色合いの瞳には聖女の衣がピッタリと映えるとはお思いになりませんか?」
ニコニコと微笑みを崩さないアールストはきっと気がつかないのかもしれない。
この聖女カナール、完全にルーチェリアを敵視している……!
2
お気に入りに追加
75
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
悪役令嬢の涙
拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。
身に覚えがないのに断罪されるつもりはありません
おこめ
恋愛
シャーロット・ノックスは卒業記念パーティーで婚約者のエリオットに婚約破棄を言い渡される。
ゲームの世界に転生した悪役令嬢が婚約破棄後の断罪を回避するお話です。
さらっとハッピーエンド。
ぬるい設定なので生温かい目でお願いします。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる
kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。
いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。
実はこれは二回目人生だ。
回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。
彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。
そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。
その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯
そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。
※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。
※ 設定ゆるゆるです。
【完結】私を虐げる姉が今の婚約者はいらないと押し付けてきましたが、とても優しい殿方で幸せです 〜それはそれとして、家族に復讐はします〜
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
侯爵家の令嬢であるシエルは、愛人との間に生まれたせいで、父や義母、異母姉妹から酷い仕打ちをされる生活を送っていた。
そんなシエルには婚約者がいた。まるで本物の兄のように仲良くしていたが、ある日突然彼は亡くなってしまった。
悲しみに暮れるシエル。そこに姉のアイシャがやってきて、とんでもない発言をした。
「ワタクシ、とある殿方と真実の愛に目覚めましたの。だから、今ワタクシが婚約している殿方との結婚を、あなたに代わりに受けさせてあげますわ」
こうしてシエルは、必死の抗議も虚しく、身勝手な理由で、新しい婚約者の元に向かうこととなった……横暴で散々虐げてきた家族に、復讐を誓いながら。
新しい婚約者は、社交界でとても恐れられている相手。うまくやっていけるのかと不安に思っていたが、なぜかとても溺愛されはじめて……!?
⭐︎全三十九話、すでに完結まで予約投稿済みです。11/12 HOTランキング一位ありがとうございます!⭐︎
どうか、お幸せになって下さいね。伯爵令嬢はみんなが裏で動いているのに最後まで気づかない。
しげむろ ゆうき
恋愛
キリオス伯爵家の娘であるハンナは一年前に母を病死で亡くした。そんな悲しみにくれるなか、ある日、父のエドモンドが愛人ドナと隠し子フィナを勝手に連れて来てしまったのだ。
二人はすぐに屋敷を我が物顔で歩き出す。そんな二人にハンナは日々困らされていたが、味方である使用人達のおかげで上手くやっていけていた。
しかし、ある日ハンナは学園の帰りに事故に遭い……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる