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55 王子とリレラン 2
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とは言ったものの、さてどうしようかとレギル王子が悩んでいるうちに、リレランの方からグイグイ来るので自分の方から聞く機会を失っているレギル王子だ。
「あ!レギルいた!」
「わ!ラン!?」
きっと部屋に待機していた侍女にでも聞いたのだろう。フラッと外へ行って帰って来たリレランは入浴中の浴室へと顔を出す。勿論レギル王子は裸で入浴中…城に来て初めてお湯の入浴をしたリレランももう慣れたもので浴室に入りながらポイポイポイと服を脱ぎ出しレギル王子の所に入って来る。
「……ラン………お前な………」
「何?」
頭を抱えそうになっているレギル王子を横目に広い湯船に白い裸体を浮かせてスイっとレギル王子の横を通り過ぎるリレラン…
思えば、随分と懐かれたものだ。それだけで心が温まって嬉しい事で今はそれで良しとしようとしているのに、目の前に色々と晒されると嬉しさよりも今のレギルには目のやり場に困ってしまう。
「……いや…」
今日も、聴けずじまいかもしれない……
「人間ってなんでこんなのが好きなんだろ?」
「…ん?ランは湯が嫌いか…?」
「あえて湯じゃなくても良いし、水浴びでも良い。」
「冷たいだろう?」
「僕、龍だよ?もっと熱くても冷たくても大丈夫だし…あぁ、火龍なんて炎の中にいるし…」
「火龍とは?それも古の龍か?」
「うん。彼はもうずっと出て来てないね…地中深くの火溜まりの中にいるよ。」
湯がそんなに好きじゃない風に言っているリレランであったが、入れば入ったでゆっくりと堪能している様で表情からしてみても気持ち良さげだ。
「その火龍が出て来る事は?」
世界にはいくつか火山がある事は知っている。もし、瘴気の森の龍の様に火龍が出てくるとなったら如何なる?何処から出て来るのか?
「ん~出てこないんじゃないかな?」
リレランが言うには火龍は土龍ゲンガンがいる所よりももっと深くに潜っているらしい。地上に出ようとすればゲルガンを刺激して嫌がられるだろうし、水中に出ようとすれば水龍に嫌がられるはず。そもそも彼は地上が好きではないから好んでは絶対に出てこないそうだ。
「…古龍はどれほどいるのだ?」
湯の中で一通り身体を清め終わったのか、スルッとレギル王子の腕の中に入ってこようとするリレランにレギル王子は話題を振る。
「土龍、火龍、水龍、瘴気龍…自然と共に彼らは居るけど、空を総てた龍は居ないね。」
「何故?」
「さぁ?昔はいたんじゃない?なんで滅んだかは知らないけど?」
腕の中に入ってきたリレランは話しながらスリ、とレギル王子に頬を擦り付けて来る。
「…ラン………」
そろそろ、限界だ…………
「何?」
レギル王子の腕の中で、下から見上げてきた水晶の様な透き通った瞳…裸で密着していればリレランの素肌がどれほど滑らかな物か嫌でも分かってしまう。
「少し、離れないか?」
「あ、動き難い?」
違う方面で気を使ってくれたらしいリレランは少し身体を離してくれる。が、その瞳も美しい顔もジッとレギル王子を見つめたまま離れはしなかった。
「ランには羞恥と言うものがないのか?」
「僕に、羞恥?何か恥ずかしく思う様な事をした?」
人間の礼儀なんてまだ僕にはわからない、とぶつぶつとリレランは呟く。
「もう、すでにこの状況がな……」
「レギルの側に居る事?」
「いや、側に居るのは良いんだが、つまり、私は裸だし……」
「僕もだ…?」
それが何?まるでなんでもないことの様にリレランは聞く。お互いに裸同士なんだから恥ずかしがる事なんてないだろ?と言うのがリレランの主張。対し、裸のリレランを前にして手を出してしまいかねないレギル王子は距離を取りたい、のだが…………
こういう裸の付き合いでは、そんな気持ちにさせられる者もいるから十分に気をつけなければいけないとリレランに言いたかったレギル王子だが、最強の種族龍リレランには如何やらこの忠告は必要なさそうだ。リレランは自分がどんな格好であっても嫌な事は嫌と、拒否も回避も排除も出来る立場なのだから何も気にする事はないんだ。レギル王子が言いたい事の中心はそれでは無いのだが……リレランの言っていることは最もだと納得するしか無い。
「それより、レギル?レギルはなんで僕に手を出さないの?」
おまけにリレランの方から重大発言が落とされた………
「……手を出す、とは……如何いう事か分かって言っているのか?」
リレランの外見はまだ少年の域…それに手を出したとあってはいくら相手がいいと言ってもレギル王子自身が自分を許せそうにない……
「人間はしてるでしょ?だから繁殖力が強いんだ。僕達龍はあまりしなかったのかな?仲間が少なすぎるよね?」
「……何を?」
「ん?交尾。」
「……………………ん?」
「アーランの町でも言っただろ?人間は交尾が盛んだって。アーランには繁殖場が3個所もあったし。」
「………」
そういえばアーランの領主館の牢の中で言っていた。
「…ラン。そもそもが違う。」
「何?」
「ああいう所は、繁殖場ではないんだ。」
「あ!レギルいた!」
「わ!ラン!?」
きっと部屋に待機していた侍女にでも聞いたのだろう。フラッと外へ行って帰って来たリレランは入浴中の浴室へと顔を出す。勿論レギル王子は裸で入浴中…城に来て初めてお湯の入浴をしたリレランももう慣れたもので浴室に入りながらポイポイポイと服を脱ぎ出しレギル王子の所に入って来る。
「……ラン………お前な………」
「何?」
頭を抱えそうになっているレギル王子を横目に広い湯船に白い裸体を浮かせてスイっとレギル王子の横を通り過ぎるリレラン…
思えば、随分と懐かれたものだ。それだけで心が温まって嬉しい事で今はそれで良しとしようとしているのに、目の前に色々と晒されると嬉しさよりも今のレギルには目のやり場に困ってしまう。
「……いや…」
今日も、聴けずじまいかもしれない……
「人間ってなんでこんなのが好きなんだろ?」
「…ん?ランは湯が嫌いか…?」
「あえて湯じゃなくても良いし、水浴びでも良い。」
「冷たいだろう?」
「僕、龍だよ?もっと熱くても冷たくても大丈夫だし…あぁ、火龍なんて炎の中にいるし…」
「火龍とは?それも古の龍か?」
「うん。彼はもうずっと出て来てないね…地中深くの火溜まりの中にいるよ。」
湯がそんなに好きじゃない風に言っているリレランであったが、入れば入ったでゆっくりと堪能している様で表情からしてみても気持ち良さげだ。
「その火龍が出て来る事は?」
世界にはいくつか火山がある事は知っている。もし、瘴気の森の龍の様に火龍が出てくるとなったら如何なる?何処から出て来るのか?
「ん~出てこないんじゃないかな?」
リレランが言うには火龍は土龍ゲンガンがいる所よりももっと深くに潜っているらしい。地上に出ようとすればゲルガンを刺激して嫌がられるだろうし、水中に出ようとすれば水龍に嫌がられるはず。そもそも彼は地上が好きではないから好んでは絶対に出てこないそうだ。
「…古龍はどれほどいるのだ?」
湯の中で一通り身体を清め終わったのか、スルッとレギル王子の腕の中に入ってこようとするリレランにレギル王子は話題を振る。
「土龍、火龍、水龍、瘴気龍…自然と共に彼らは居るけど、空を総てた龍は居ないね。」
「何故?」
「さぁ?昔はいたんじゃない?なんで滅んだかは知らないけど?」
腕の中に入ってきたリレランは話しながらスリ、とレギル王子に頬を擦り付けて来る。
「…ラン………」
そろそろ、限界だ…………
「何?」
レギル王子の腕の中で、下から見上げてきた水晶の様な透き通った瞳…裸で密着していればリレランの素肌がどれほど滑らかな物か嫌でも分かってしまう。
「少し、離れないか?」
「あ、動き難い?」
違う方面で気を使ってくれたらしいリレランは少し身体を離してくれる。が、その瞳も美しい顔もジッとレギル王子を見つめたまま離れはしなかった。
「ランには羞恥と言うものがないのか?」
「僕に、羞恥?何か恥ずかしく思う様な事をした?」
人間の礼儀なんてまだ僕にはわからない、とぶつぶつとリレランは呟く。
「もう、すでにこの状況がな……」
「レギルの側に居る事?」
「いや、側に居るのは良いんだが、つまり、私は裸だし……」
「僕もだ…?」
それが何?まるでなんでもないことの様にリレランは聞く。お互いに裸同士なんだから恥ずかしがる事なんてないだろ?と言うのがリレランの主張。対し、裸のリレランを前にして手を出してしまいかねないレギル王子は距離を取りたい、のだが…………
こういう裸の付き合いでは、そんな気持ちにさせられる者もいるから十分に気をつけなければいけないとリレランに言いたかったレギル王子だが、最強の種族龍リレランには如何やらこの忠告は必要なさそうだ。リレランは自分がどんな格好であっても嫌な事は嫌と、拒否も回避も排除も出来る立場なのだから何も気にする事はないんだ。レギル王子が言いたい事の中心はそれでは無いのだが……リレランの言っていることは最もだと納得するしか無い。
「それより、レギル?レギルはなんで僕に手を出さないの?」
おまけにリレランの方から重大発言が落とされた………
「……手を出す、とは……如何いう事か分かって言っているのか?」
リレランの外見はまだ少年の域…それに手を出したとあってはいくら相手がいいと言ってもレギル王子自身が自分を許せそうにない……
「人間はしてるでしょ?だから繁殖力が強いんだ。僕達龍はあまりしなかったのかな?仲間が少なすぎるよね?」
「……何を?」
「ん?交尾。」
「……………………ん?」
「アーランの町でも言っただろ?人間は交尾が盛んだって。アーランには繁殖場が3個所もあったし。」
「………」
そういえばアーランの領主館の牢の中で言っていた。
「…ラン。そもそもが違う。」
「何?」
「ああいう所は、繁殖場ではないんだ。」
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