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27 王の許可 1
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「だ、だ、だ、駄目、駄目じゃない!ルシー…!それは、駄目だと思う!」
「え?何が駄目?」
「だって!こんな所にいたら駄目駄目!」
「もぅ~~サラは駄目駄目ばかりだね?」
クスクス笑いながらルシーは楽しそうだ。
「王様付きなら、王様を優先しなくては!友人にかまけてる暇なんてないでしょう?」
ね?と同意を求めるつもりで後ろに控えている専属侍女達に視線を走らせるサラータだが、帰ってきたのは、御用ですか?の声だった。
「違う、用はないの。ルシーがここに居たら王様に怒られるわよね?ね?」
業務をサボっている罪で何か酷い罰を与えられるのではないか…サラータは震えてきてしまう。
「だから安心なさいな?王の許可はとってあるから。そんなに不安なら、ハダートン卿に使いを頼もうか?」
「何をしに…?」
「王から許可を得ている事を書状にしてもらう為に。」
呆気に取られるとはこのことではないんだろうか…?サラータの頭は混乱の極みだ。
「待って、私の為に王陛下の手を煩わせるの?」
「だって、不安なんでしょ?」
「や、そんな事しないで!ルシーの首が跳ぶ!!」
本当に怖くなって、サラータはここが王城だという事も頭から一瞬飛んでしまった。後半はもはや叫ぶように、立ち上がりながら必死になってルシーを止めに入っていた。つもりだった………
バン!!!!
入室の許可もなく、部屋のドアが乱暴に開けられたかと思うと、殺気まで込めた真剣な表情のハダートン卿が剣を抜きつつ駆け込んできた。
「ルシー!!!」
「ヒッ………!!」
「ハダートン卿!?無礼ですよ!!」
ハダートン卿の鬼気迫る雰囲気と腹の底から出た怒声は、今まで普通の市民として暮らしてきたサラータには無縁の物だ。ましてや目の前で屈強そうな騎士が剣を抜く姿など見たこともないほど長閑な田舎にいたのだから…サラータの悲鳴は声にならず、立ち上がったままフラリ、と倒れ込んでしまっても無理からぬ事だろう…
「マーテル!?剣をしまえ!」
「お嬢様!しっかりなさって下さい!!」
「お医師を!早く!!」
意識を遠くに手放してしまったサラータの知らぬ所では、それはそれは王城ではあり得ないほどの騒動となってしまった。
「全く…………幼気な令嬢に、剣を向けるなどと………」
この言葉だけを聞いたならば、剣を向けた騎士は外道にも劣る様な目で見られてしまいそうである。が、剣を向けた相手は幼気な、と言うほどではない成人した令嬢で………確かに騎士であるならば、その令嬢を守る為に剣を振るうわけであるから、今回のことについて非難轟々であっても肯けるものだ。
たった一つの過ちでも、騎士の叙勲を返上しなければならなくなる事もある。騎士道とはその様なもので、現にハダートン卿は今、国王の前に立たされている。
ハダートン卿の目の前では、こめかみに手をついて首を傾げながら、渋い顔をしている国王がどうしたものかと悩んでいるようだ。ハダートン卿の他にはその場にいたであろう侍女のカーラのみが控えていた。国王との謁見でありながら、護衛の騎士はいないも同然だ。
「申し開きも出来ません…室内からご令嬢の、ルシー様の首が飛ぶ、との叫び声が聞こえてきましたもので…その、侵入者かと…………」
「ハダートン卿…其方の忠義は見上げたものだ。だが、令嬢の部屋の位置を考えてみよ?窓の外は足場が無いうえ部屋は4階、屋上からも侵入など出来ぬくらいに騎士を配置しておるだろう?部屋を出て下へ降ればルシュルトの部屋で、その階段は地下までも繋がっている。」
「その通りにございます……陛下……」
「其方は忠義には厚いのだが……時折、周りが見えぬ様では困るぞ?……特に、ルシュルトの事になると見境が無くなるのではな?」
「お恥ずかしい限りです…陛下。どの様な罰もお受けいたします………」
「ん~…令嬢はどうしておる?」
「はい。ただ今はルシー様がお付きになって、まだお休みになっているとのことでした。」
「そうか…本日はルシーはそのままそこにいる様に…」
「畏まりました。」
「さて…カーラ、これを令嬢に渡してくれ。」
王は一通の手紙をカーラに渡す。
「畏まりました。」
「ハダートン卿………罰を与えよう…」
「はっ御意に……」
「え?何が駄目?」
「だって!こんな所にいたら駄目駄目!」
「もぅ~~サラは駄目駄目ばかりだね?」
クスクス笑いながらルシーは楽しそうだ。
「王様付きなら、王様を優先しなくては!友人にかまけてる暇なんてないでしょう?」
ね?と同意を求めるつもりで後ろに控えている専属侍女達に視線を走らせるサラータだが、帰ってきたのは、御用ですか?の声だった。
「違う、用はないの。ルシーがここに居たら王様に怒られるわよね?ね?」
業務をサボっている罪で何か酷い罰を与えられるのではないか…サラータは震えてきてしまう。
「だから安心なさいな?王の許可はとってあるから。そんなに不安なら、ハダートン卿に使いを頼もうか?」
「何をしに…?」
「王から許可を得ている事を書状にしてもらう為に。」
呆気に取られるとはこのことではないんだろうか…?サラータの頭は混乱の極みだ。
「待って、私の為に王陛下の手を煩わせるの?」
「だって、不安なんでしょ?」
「や、そんな事しないで!ルシーの首が跳ぶ!!」
本当に怖くなって、サラータはここが王城だという事も頭から一瞬飛んでしまった。後半はもはや叫ぶように、立ち上がりながら必死になってルシーを止めに入っていた。つもりだった………
バン!!!!
入室の許可もなく、部屋のドアが乱暴に開けられたかと思うと、殺気まで込めた真剣な表情のハダートン卿が剣を抜きつつ駆け込んできた。
「ルシー!!!」
「ヒッ………!!」
「ハダートン卿!?無礼ですよ!!」
ハダートン卿の鬼気迫る雰囲気と腹の底から出た怒声は、今まで普通の市民として暮らしてきたサラータには無縁の物だ。ましてや目の前で屈強そうな騎士が剣を抜く姿など見たこともないほど長閑な田舎にいたのだから…サラータの悲鳴は声にならず、立ち上がったままフラリ、と倒れ込んでしまっても無理からぬ事だろう…
「マーテル!?剣をしまえ!」
「お嬢様!しっかりなさって下さい!!」
「お医師を!早く!!」
意識を遠くに手放してしまったサラータの知らぬ所では、それはそれは王城ではあり得ないほどの騒動となってしまった。
「全く…………幼気な令嬢に、剣を向けるなどと………」
この言葉だけを聞いたならば、剣を向けた騎士は外道にも劣る様な目で見られてしまいそうである。が、剣を向けた相手は幼気な、と言うほどではない成人した令嬢で………確かに騎士であるならば、その令嬢を守る為に剣を振るうわけであるから、今回のことについて非難轟々であっても肯けるものだ。
たった一つの過ちでも、騎士の叙勲を返上しなければならなくなる事もある。騎士道とはその様なもので、現にハダートン卿は今、国王の前に立たされている。
ハダートン卿の目の前では、こめかみに手をついて首を傾げながら、渋い顔をしている国王がどうしたものかと悩んでいるようだ。ハダートン卿の他にはその場にいたであろう侍女のカーラのみが控えていた。国王との謁見でありながら、護衛の騎士はいないも同然だ。
「申し開きも出来ません…室内からご令嬢の、ルシー様の首が飛ぶ、との叫び声が聞こえてきましたもので…その、侵入者かと…………」
「ハダートン卿…其方の忠義は見上げたものだ。だが、令嬢の部屋の位置を考えてみよ?窓の外は足場が無いうえ部屋は4階、屋上からも侵入など出来ぬくらいに騎士を配置しておるだろう?部屋を出て下へ降ればルシュルトの部屋で、その階段は地下までも繋がっている。」
「その通りにございます……陛下……」
「其方は忠義には厚いのだが……時折、周りが見えぬ様では困るぞ?……特に、ルシュルトの事になると見境が無くなるのではな?」
「お恥ずかしい限りです…陛下。どの様な罰もお受けいたします………」
「ん~…令嬢はどうしておる?」
「はい。ただ今はルシー様がお付きになって、まだお休みになっているとのことでした。」
「そうか…本日はルシーはそのままそこにいる様に…」
「畏まりました。」
「さて…カーラ、これを令嬢に渡してくれ。」
王は一通の手紙をカーラに渡す。
「畏まりました。」
「ハダートン卿………罰を与えよう…」
「はっ御意に……」
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