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23 ルシーと双子? 3
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何を言い出すやら…ルシーは旅行を楽しむ一環としてお城を利用しろ、とでも言うのだろうか?
「待って!待って、ルシー…!そんな事できるわけないじゃない!」
「あら、なぁぜ?」
「だって、ここ、お城よ?王様もお妃様も王子様が住うお城よ?高級宿泊所じゃないのよ?」
「ええ、そうよ!サラ…でも、ここが一番安全だわ。ね?」
半ば混乱の極みにいるサラータの顔を覗き込む様にルシーはサラータを諭す。
やはり、その瞳の色も、髪の色も二人とも瓜二つと言って良いほどそっくりなのだ。
「…やっぱり…似てる……」
「なぁに?サラ。何が似てるって?」
サラータはそっとルシーの両頬を両手で挟んで固定すると、尚もそのままジッとルシーを見つめた。ほのかに高級な白粉の香りが心地いい。
「…こんな事言って良いのかな…?サラと……ルシュルト殿下がそっくりなの……」
精悍さの違いはあれど、そっくりと言ってもいいくらいだ。
「やだ、サラ…確かに似ているって言われたことはあるけれど、私…一人っ子よ?」
そうだろう。今の今までカザラント子爵家や両親からでもルシーの兄弟についてなんて聞いたことがない。でも、何か言えない様な事情があったとしたら?もし、それが、ルシーの母親の毒殺につながる様な危ない事で……ルシーが何かに巻き込まれでもしたら?
ぞくっ……サラータの背筋には嫌な寒気が走って、思わず身震いする…
「サラ…?寒い?部屋を温めてもらおうか?」
今は寒い季節では無い。フルフルと首だけで拒否して、サラータはゆっくりとルシーに質問をした。
「ね…ルシュルト殿下の御歳は?」
「今は、15歳。」
「じゃあ、私達と同じなのね?」
「ええそうね。」
「お願い、正直に答えてちょうだい?ルシー……」
「何を?」
「貴方、ルシュルト殿下のご姉妹では無いのよね?」
「……私が?」
サラータの質問にまだ両頬を挟まれたままルシーはキョトンとしてしまう。
「………」
「あのねぇ、サラ…もし、私が王族の一人だとしたら、こんな侍女の服装で夜遅く迄働いてはいないはずでしょう?それに、小さい頃から城の中で育っているはずよ?ルシュルト殿下がお城にいて、私だけ地方にやられる理由が無いわ…そもそも前王妃様のお子様は殿下だけよ?」
前王妃…お子様をお産みになった時に儚くなったと聞いている。その後後妻で入った現王妃にはお子はいない。
「本当ね…?」
(ルシーは大丈夫ね?ここに入れば、ルシーには危害は及ばないのね?お母様の様になったりしないわよね?)
何かを確認しようにも何故かサラータの心には言いようもない不安がグルグルと渦巻いていて上手く言葉には出来なかった。
「あぁ!もう!サラったら可愛いわ!そんなに私の事を心配してくれるの?今にも、泣きそうになって?」
「………だって……」
本当にルシーの事は好きなのだ。大切な友達の不幸なんて見たくもない。
「ふふふふ…ふふふ…優しいサラ!ここには屈強な騎士様達が五万といるのよ。例え、何かをしようなんて輩が入って来ても、大した事は出来ないんだから!」
「本当?本当に本当ね?」
「えぇ。大丈夫。保証する!だから、もう遅いし、休もう?」
そっとルシーにかかるサラータの手を外すと、ルシーはサラータをベッドに寝かしつける。
「ルシー一緒に寝よう!」
「え!?」
「だって、もう仕事終わったのでしょう?だったらここに泊まってもいいよね?昔みたいに、一緒に寝よう?」
「ふっ…しょうがない子ね?サラ…幼い頃よりも甘えん坊になったんじゃないの?」
クスクスと揶揄いながらも、ルシーはサラータのベッドに入ってサラータに寄り添った。
「寝てしまいなさいな…サラ。私はここにいるから……」
「待って!待って、ルシー…!そんな事できるわけないじゃない!」
「あら、なぁぜ?」
「だって、ここ、お城よ?王様もお妃様も王子様が住うお城よ?高級宿泊所じゃないのよ?」
「ええ、そうよ!サラ…でも、ここが一番安全だわ。ね?」
半ば混乱の極みにいるサラータの顔を覗き込む様にルシーはサラータを諭す。
やはり、その瞳の色も、髪の色も二人とも瓜二つと言って良いほどそっくりなのだ。
「…やっぱり…似てる……」
「なぁに?サラ。何が似てるって?」
サラータはそっとルシーの両頬を両手で挟んで固定すると、尚もそのままジッとルシーを見つめた。ほのかに高級な白粉の香りが心地いい。
「…こんな事言って良いのかな…?サラと……ルシュルト殿下がそっくりなの……」
精悍さの違いはあれど、そっくりと言ってもいいくらいだ。
「やだ、サラ…確かに似ているって言われたことはあるけれど、私…一人っ子よ?」
そうだろう。今の今までカザラント子爵家や両親からでもルシーの兄弟についてなんて聞いたことがない。でも、何か言えない様な事情があったとしたら?もし、それが、ルシーの母親の毒殺につながる様な危ない事で……ルシーが何かに巻き込まれでもしたら?
ぞくっ……サラータの背筋には嫌な寒気が走って、思わず身震いする…
「サラ…?寒い?部屋を温めてもらおうか?」
今は寒い季節では無い。フルフルと首だけで拒否して、サラータはゆっくりとルシーに質問をした。
「ね…ルシュルト殿下の御歳は?」
「今は、15歳。」
「じゃあ、私達と同じなのね?」
「ええそうね。」
「お願い、正直に答えてちょうだい?ルシー……」
「何を?」
「貴方、ルシュルト殿下のご姉妹では無いのよね?」
「……私が?」
サラータの質問にまだ両頬を挟まれたままルシーはキョトンとしてしまう。
「………」
「あのねぇ、サラ…もし、私が王族の一人だとしたら、こんな侍女の服装で夜遅く迄働いてはいないはずでしょう?それに、小さい頃から城の中で育っているはずよ?ルシュルト殿下がお城にいて、私だけ地方にやられる理由が無いわ…そもそも前王妃様のお子様は殿下だけよ?」
前王妃…お子様をお産みになった時に儚くなったと聞いている。その後後妻で入った現王妃にはお子はいない。
「本当ね…?」
(ルシーは大丈夫ね?ここに入れば、ルシーには危害は及ばないのね?お母様の様になったりしないわよね?)
何かを確認しようにも何故かサラータの心には言いようもない不安がグルグルと渦巻いていて上手く言葉には出来なかった。
「あぁ!もう!サラったら可愛いわ!そんなに私の事を心配してくれるの?今にも、泣きそうになって?」
「………だって……」
本当にルシーの事は好きなのだ。大切な友達の不幸なんて見たくもない。
「ふふふふ…ふふふ…優しいサラ!ここには屈強な騎士様達が五万といるのよ。例え、何かをしようなんて輩が入って来ても、大した事は出来ないんだから!」
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「え!?」
「だって、もう仕事終わったのでしょう?だったらここに泊まってもいいよね?昔みたいに、一緒に寝よう?」
「ふっ…しょうがない子ね?サラ…幼い頃よりも甘えん坊になったんじゃないの?」
クスクスと揶揄いながらも、ルシーはサラータのベッドに入ってサラータに寄り添った。
「寝てしまいなさいな…サラ。私はここにいるから……」
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