33 / 46
33
しおりを挟む
「だから、帰れなくなるって……」
爽やかな朝日の中目覚めてみれば、ここはまだ山手家だ……
(今日で外泊3日目だぞ?)
あ~~ぁ、と布団に顔を突っ伏してため息を吐く。
(本当、このまま刀貴の嫁にでもなっちまう気がする…)
少し恐ろしい夢みたいな事を考えながらも現実を生きる身としては身支度をして学校に行くべきだ。
「楓矢このまま嫁に来い…」
刀貴もまたそんな事を…
「あのな…」
「楓矢を養っていけるくらいの甲斐性くらいあるつもりだ。」
「あのな、刀貴現実を見ようぜ?男同士な訳よ?俺が嫁って難しいだろ?それより、今の生活をしなきゃだろ?」
「くくく、現実主義だな、楓矢。」
「何言ってんだよ?お互い学生の身分でさ?」
「俺は学生って訳じゃないんだけどな?」
「あ……」
そうだ。一人で生きて来た年数を考えたら刀貴が学生な訳はない。
「そのまま身一つで来るといい。」
「………」
(朝からニコニコと機嫌いいな…)
何をいってるんだかって言いたいが、実際のところ、この山手家にはなんでも揃ってるって言うか…いや、揃えられてる?なんでか俺のサイズの下着類もあるし、私服の類や制服のシャツもあるし、生活必需品は全て揃ってる…………身一つでこのままここに引っ越して来ても問題なくね?位には揃えられてて……
(ちょっと、引くレベルじゃなかろうか?)
思いが通じ合ったんだから、一緒にいる時間があるってのは大いに嬉しい。嬉しいんだけれども、でもやっぱりまだ高校で学生だ。親の脛かじってる身としてはそのままおんぶに抱っこで刀貴の家に居を移して生活するなんて、刀貴がいいと言っても納得できそうもない。
(だって、刀貴は俺の親でも保護者でもないし……)
強いて言えば、恋人、パートナー?だったら養ってもらうなんてなんか、違うし。
「なんて顔?」
「…変な事言うからだろ?」
「変かな?」
「変だろ?刀貴が俺を養うのかよ?親でもないのに?」
それに、もう親の庇護下にある子供というわけではない。もし……もし、二人で暮らすにしても、色々と二人で決めるべきではなかろうか?一方的なこんな状態はきっと居心地が悪くなると思う。
「ごめんよ?楓矢を子供扱いしたわけじゃない。ま、子供にこんな事出来ないし?」
チュッと軽いキスをして、刀貴は優しく頭を撫でてくる。
「そうか、時代は動くものだ…楓矢は守ってやらなければいけない女じゃない……だからこそ、こうして一緒にいられる。」
頭を撫でながら刀貴はしんみりとそんな事を言う。刀貴はどれだけ待ったのか、覚えて無いなんて言ってたけど、一人じゃ孤独で、きっと寂しかったはずだ…
「そうそう!だからちゃんと話し合おうぜ。刀貴はなんだか一人で突っ走ってるみたいですけど?」
「仕方がない、許せ。してやりたいと思った事、一気にしようとしてるのかもな…」
「二人で生きて行くんだろう!?じゃ、楽しく過ごす為にメリハリはつけようぜ?」
刀貴の言葉にじんわりと頬が熱くなるのと少しだけ目が潤んだ事は気づかれない様に無視だ、無視…!勢い良く言い放って、おぼつかない足に力をこめて立ち上がり、バスルームを先に使わせてもらおう。
足腰立たなくなるまであんな事をしていた俺でも、今までは真面目にちゃんと学校に通っていたんだ。神社に嫁に行かなくていいから、将来サラリーマンにでもなるんだろうけど、人生設計は自分で立てる物だから、学校には行くだろ。
「まだ早い。ゆっくり入っておいで。朝食準備するから。」
一人暮らしが長いせいか、刀貴はなんでも一人でこなす。庭の手入れは他の人がやってるみたいだけどな…ま、家事ある程度なら俺もできるけど。そう言うんじゃなくて…
(俺、刀貴に何できる?)
熱いシャワーを浴びて身綺麗にして、制服をきて部屋に戻れば、布団は上げてあるし、食卓は用意されてるし至れり尽くせり。
(してやりたい事って言ってたよな?)
刀貴がきっとゆうらにしてやりたかった事…だ。ゆうらは……?
爽やかな朝日の中目覚めてみれば、ここはまだ山手家だ……
(今日で外泊3日目だぞ?)
あ~~ぁ、と布団に顔を突っ伏してため息を吐く。
(本当、このまま刀貴の嫁にでもなっちまう気がする…)
少し恐ろしい夢みたいな事を考えながらも現実を生きる身としては身支度をして学校に行くべきだ。
「楓矢このまま嫁に来い…」
刀貴もまたそんな事を…
「あのな…」
「楓矢を養っていけるくらいの甲斐性くらいあるつもりだ。」
「あのな、刀貴現実を見ようぜ?男同士な訳よ?俺が嫁って難しいだろ?それより、今の生活をしなきゃだろ?」
「くくく、現実主義だな、楓矢。」
「何言ってんだよ?お互い学生の身分でさ?」
「俺は学生って訳じゃないんだけどな?」
「あ……」
そうだ。一人で生きて来た年数を考えたら刀貴が学生な訳はない。
「そのまま身一つで来るといい。」
「………」
(朝からニコニコと機嫌いいな…)
何をいってるんだかって言いたいが、実際のところ、この山手家にはなんでも揃ってるって言うか…いや、揃えられてる?なんでか俺のサイズの下着類もあるし、私服の類や制服のシャツもあるし、生活必需品は全て揃ってる…………身一つでこのままここに引っ越して来ても問題なくね?位には揃えられてて……
(ちょっと、引くレベルじゃなかろうか?)
思いが通じ合ったんだから、一緒にいる時間があるってのは大いに嬉しい。嬉しいんだけれども、でもやっぱりまだ高校で学生だ。親の脛かじってる身としてはそのままおんぶに抱っこで刀貴の家に居を移して生活するなんて、刀貴がいいと言っても納得できそうもない。
(だって、刀貴は俺の親でも保護者でもないし……)
強いて言えば、恋人、パートナー?だったら養ってもらうなんてなんか、違うし。
「なんて顔?」
「…変な事言うからだろ?」
「変かな?」
「変だろ?刀貴が俺を養うのかよ?親でもないのに?」
それに、もう親の庇護下にある子供というわけではない。もし……もし、二人で暮らすにしても、色々と二人で決めるべきではなかろうか?一方的なこんな状態はきっと居心地が悪くなると思う。
「ごめんよ?楓矢を子供扱いしたわけじゃない。ま、子供にこんな事出来ないし?」
チュッと軽いキスをして、刀貴は優しく頭を撫でてくる。
「そうか、時代は動くものだ…楓矢は守ってやらなければいけない女じゃない……だからこそ、こうして一緒にいられる。」
頭を撫でながら刀貴はしんみりとそんな事を言う。刀貴はどれだけ待ったのか、覚えて無いなんて言ってたけど、一人じゃ孤独で、きっと寂しかったはずだ…
「そうそう!だからちゃんと話し合おうぜ。刀貴はなんだか一人で突っ走ってるみたいですけど?」
「仕方がない、許せ。してやりたいと思った事、一気にしようとしてるのかもな…」
「二人で生きて行くんだろう!?じゃ、楽しく過ごす為にメリハリはつけようぜ?」
刀貴の言葉にじんわりと頬が熱くなるのと少しだけ目が潤んだ事は気づかれない様に無視だ、無視…!勢い良く言い放って、おぼつかない足に力をこめて立ち上がり、バスルームを先に使わせてもらおう。
足腰立たなくなるまであんな事をしていた俺でも、今までは真面目にちゃんと学校に通っていたんだ。神社に嫁に行かなくていいから、将来サラリーマンにでもなるんだろうけど、人生設計は自分で立てる物だから、学校には行くだろ。
「まだ早い。ゆっくり入っておいで。朝食準備するから。」
一人暮らしが長いせいか、刀貴はなんでも一人でこなす。庭の手入れは他の人がやってるみたいだけどな…ま、家事ある程度なら俺もできるけど。そう言うんじゃなくて…
(俺、刀貴に何できる?)
熱いシャワーを浴びて身綺麗にして、制服をきて部屋に戻れば、布団は上げてあるし、食卓は用意されてるし至れり尽くせり。
(してやりたい事って言ってたよな?)
刀貴がきっとゆうらにしてやりたかった事…だ。ゆうらは……?
2
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
完結・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王に味見されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
【完結】遍く、歪んだ花たちに。
古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。
和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。
「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」
No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
前世が俺の友人で、いまだに俺のことが好きだって本当ですか
Bee
BL
半年前に別れた元恋人だった男の結婚式で、ユウジはそこではじめて二股をかけられていたことを知る。8年も一緒にいた相手に裏切られていたことを知り、ショックを受けたユウジは式場を飛び出してしまう。
無我夢中で車を走らせて、気がつくとユウジは見知らぬ場所にいることに気がつく。そこはまるで天国のようで、そばには7年前に死んだ友人の黒木が。黒木はユウジのことが好きだったと言い出して――
最初は主人公が別れた男の結婚式に参加しているところから始まります。
死んだ友人との再会と、その友人の生まれ変わりと思われる青年との出会いへと話が続きます。
生まれ変わり(?)21歳大学生×きれいめな48歳おっさんの話です。
※軽い性的表現あり
短編から長編に変更しています
龍の逆鱗は最愛の為にある
由佐さつき
BL
転生と聞くと奇跡のようなイメージを浮かべるかもしれないが、この世界では当たり前のように行われていた。
地球から異世界へ、異世界から地球へ。望んだものが自由に転生の出来る世界で、永藤逸瑠は生きている。生きて、転生を望んで、そうして今は、元の世界で死んだ人間として生きていた。
公にされていない事実として、転生に失敗する場合もある。もしも失敗してしまった場合、元の生活に戻ることは出来ない。戸籍を消されてしまった者たちは、脱落者として息を潜めて生活することを余儀なくされた。
そんな中、逸瑠は一人の転生者と知り合う。水が溶けたような水色とも、陽かりを浴びて輝く銀色ともとれる長髪。凪いだ水面を連想させる瞳には様々な色が滲んでいて、その人とは呼べない美しさに誰もが息を飲んでしまう。
龍の国から転生してきたアイラ・セグウィーン。彼は転生に関する研究に協力するという名目で、逸瑠の暮らす寮にたびたび足を運ぶようになった。少しずつ話すうちにアイラがいかに優しく、穏やかな気性を持っているのかを知る。
逸瑠は純粋に懐いてくるアイラに、転生したいと思ったきっかけを話す。きっと気持ち悪がられると思っていた逸瑠の話に、アイラは自分もそうだと同意を示してくれた。
否定されないことが嬉しくて、逸瑠はアイラを信用するようになる。ころころと変わる表情に可愛いという感想を抱くようになるが、仲睦まじく育んでいた関係も、アイラのたった一言で崩壊を迎えてしまった。
婚約破棄したら隊長(♂)に愛をささやかれました
ヒンメル
BL
フロナディア王国デルヴィーニュ公爵家嫡男ライオネル・デルヴィーニュ。
愛しの恋人(♀)と婚約するため、親に決められた婚約を破棄しようとしたら、荒くれ者の集まる北の砦へ一年間行かされることに……。そこで人生を変える出会いが訪れる。
*****************
「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく(https://www.alphapolis.co.jp/novel/221439569/703283996)」の番外編です。ライオネルと北の砦の隊長の後日談ですが、BL色が強くなる予定のため独立させてます。単体でも分かるように書いたつもりですが、本編を読んでいただいた方がわかりやすいと思います。
※「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく」の他の番外編よりBL色が強い話になりました(特に第八話)ので、苦手な方は回避してください。
※完結済にした後も読んでいただいてありがとうございます。
評価やブックマーク登録をして頂けて嬉しいです。
※小説家になろう様でも公開中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる