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42 お見合いパーティー

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「え~~本当にいいの?まりちゃん?俺らも行っちゃって…」

 急遽土曜日当日に連絡を入れたにしては反応もよく誘いに乗って来たαの二人…

「こちらこそ~急ですみませんでした。ご予定大丈夫でしたか?」

「いやいや、俺らはいつでも暇してるからさ~良いんだけど、ここって会員制じゃないの?」

 見せられた案内には、しっかりとしたオフホワイトの厚紙に金文字でInvitation招待の文字が輝いている。

「えっと、そうみたいなんですけど、あの…私がいっている学校の子から貰ったんですけど、何やら来る予定のαの人が来れなくなったとかで。」

「あれ?まりちゃんって高校生だっけ?」

「そうです!同級生の子で凄いお家がお金持ちで、こういうご招待をよくもらうんですって!」

「へぇ~~?まりちゃんもよく行くの?」

「いえいえ!私も今回初めてです。なんでも急に欠員が出てしまったって昨日言われて…知り合いにαの人がいないかって聞かれちゃって…」

「ふ~ん?」

「私、Ωの友達ならいるんですけど、αの方ってあまりお近付きになった事がなくって…思い浮かぶのがお二人だけでして…やっぱり迷惑でしたか?」

 しょぼんと見た目でも、しゅんとしてしまったまり。

「あ~いやいや!ごめんって!迷惑なんじゃないよな?」

「そうそう!ただ俺らもこんなところ初めてだから行っちゃって良いものかどうか迷っちゃって?どう思います?」

 思いがけず、テンパっているのかまりの護衛にも意見を求める始末…まりの横には先日と同じ様な片耳イヤホンにサングラスの護衛が二人付き従っていた。

「いえ、私達はただの護衛ですので…雇い主の方の行動にとやかく言える立場では………」

「はぁぁぁ~ですよねぇ?どうする?」

「ん~~まりちゃんは出席って言っちゃった?」

「あ、はい。あちらで友人も待っていますし、でもやっぱり心細くて顔見知りのαのお二人がいてくれたら心強いなと…」

「なるほど。一人だとちょっと怖いんだ?」

「そうなんです…」

「ま、俺らだってこれ見せられたら少しびびるよな?Ωの子だったら怖がるのも無理ないっしょ?」

「へへ…本当は逃げ出したいくらい緊張してますよ~」

「あはは…まりちゃんかわいーなーで、俺らはどうする?」

「そこまで頼られちゃったら行くしかないんじゃない?」

「急遽飛び入りで二人大丈夫なの?」

「はい。三人欠員が出たって聞きましたけど、大丈夫だと思います。何人でも良いから声かけてみてって言われましたから。」

「なんか知らんがそのご招待側は太っ腹だねぇ?」

「そうみたいですね?」

「分かった!じゃあ、まりちゃんを応援する傍ら俺らも参加させてもらうよ!」

「わ!ありがとうございます!友達に連絡だけ入れますね!」

 まりは何やら携帯をいじってメールを送る。

「ね、まりちゃんのお友達もΩの子?」

「あ、はい。そうです。ご両親から早く番を見つけろってこういう所に送り込まれるんだとかボヤいてました。」
 
「あはは。Ωの子も大変なんだね~」

「周りから言われちゃうと逃げられなくなりますね。」

「どこも同じなんだな。そういう所…」

「そうですね~あ、そうだ!今更ですけどお二人のことはなんてお呼びすれば?」

「あ、俺は翔でこっちのチャラい方は剛毅。」

「おい、俺そんなにチャラいかよ?」

「チャラいチャラい!」

「よろしくお願いしますね。翔さんに剛毅さん!」



 二人を伴ってまりはホテルロビーへ入って行く。案内状には紫雲の間とあった…受付に案内状と紹介状なる物を渡して出席者の確認後会場に入った。

「うわ…」

「すげっ…」

 もうこの時点で、αの二人は逃げ腰…まりも公式のこんな場所には来たことがないため、一瞬目が点になっている。

「ね、まりちゃんのお友達って?」

 こそっと護衛の目を気にしながら剛毅が小さな声で聞いて来た。

「えぇっと、もうこの会場にいるって言ってたから…」

 いた、目印はシフォンのワンピース…

「あの子だわ!詩織ちゃん!」

 まりが軽く手を振れば、詩織と呼ばれたロングヘアーの、緩やかなシフォンのワンピースを来た子がにこやかに手を振り返した。

「うゎっあの子もレベル高ぇ……」

「いかにもお嬢様って感じの子だね?」

「そうなの。詩織ちゃんのお家すごいから……」

 少しだけ小走りになって詩織はまりの元へと近付いて来る。

「まりちゃんいらっしゃい!場所はすぐに分かった?」

「うん、案内状見やすかったわ。」

「良かった。こんにちは、こちらの方達が?」

「そうなの、先程言っていたαの翔さんに剛毅さん。」

「こんにちは…突然に押し掛けちゃって大丈夫だったかな?」

「すごいね…ここの集まり、ちょっとびっくりしてる……」

「大丈夫ですよ?αの方が今日は少なくて、あちらにいらっしゃる男の方達だけαの方ですが後は皆さんΩの方です。ご自由にお話ししてくださってかまいませんわ。飲み物もフリードリンクですのでお好きなものをどうぞ。」

 にこやかな笑顔で会場内の説明をしてくれて、二人共どことなくホッとした様な表情を見せる。

「では、会場内のアナウンスがあるまでもう少しごゆっくりなさっていてくださいね?少しまりちゃんをお借りしても?」

「あぁ、コイツと一緒に会場をぐるっとして来るよ。」

「わかりました。お楽しみくださいね。」

 αの二人は会場の雰囲気を堪能しようとフラフラとまりから離れていった…
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