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80、私の可愛い弟 2
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弟が離れていく前に、自分の物としてしまえばいいんだ。
ある時、ふとそう思いついた。セージュはお嫁に来ると言った。それは生涯の誓いになるだろう。ならばウリーの事もお嫁さんにしてしまえば一生側にいる権利がもらえる!
子供らしいといえば子供らしい…あまりに幼い思考にその頃の私は満足していたと思う。だからこそ、素晴らしい皆んなのお手本になり、誰にも認めてもらえる様な兄にならなければならないと、益々勉学や剣技を磨きに磨いた。
歳を取るに連れて、そんな考えは健全なものでは無いと分かってきた。けれど、依然としてウリーは時折体調を崩すしあまり芳しく無い状況で、セージュはどんどん大きくなって、同じ騎士としての道を選ぶと、しっかりと自分の意見を言える年にまでになった。
あっという間に過ぎる日々に自分の中の思いは消えないまま、それでも次期当主としてしっかりと前を見なければならばならない。思いが消えないのならば仕方がない。後継問題を片付けるべく、裕福で後腐れのない女を数名見繕った。どの女も女の方から寄ってきたが、アランドの子を儲けた後は資金支援の元、子供の教育に励む事、次期当主はアランドが見定める為口出し無用、優秀な子ならば当主となれなくても、庶子の出てあっても積極的にアクロース家に置いて取り立てて後ろ盾となる為、子ども達の将来については心配しなくて良い事。父としては最低な行為だが、このアランドの意思に同調し、理解ある者だけと身体を重ねた。来るもの拒まずと言われているが、まぁ、それも嘘ではないだろう。経験よりも勝る学習方はない為に同性同士のあれこれに関してはその噂通りだ。
まさか、ウリーが離れていってしまうとは思わなかった…病床の中からいつもにこりと微笑みかける、まるで本物の天使かと思った事もあった子が…簡単に横からヒュンダルンに攫われてしまった。
奴もどうやら本気らしく、無闇に止めたらきっと決闘を叩きつけられていてもおかしくない。そんな命をかけた目をしていた…
だけら、許した…命を賭けて守ると言うのなら、ウリーが死ぬまで側にいてやる事だ。何としても生き残り、何としても守ってもらわなくては…可愛い天使が泣くのは、薬を飲みたくないとぐずるときだけで良い…
それに今…自分の手元にはまだ大切な者がいるのだから…
お前は気が付いてないかもしれないけれど、来るもの拒まずな兄の目を誤魔化せると思わないほうがいい。
ウリーの事も、セージュの事も守る為に強くなると誓ったのだ。ウリーには赤獅子がいるから、兄の手は全部お前にあげよう…
だから、お願い、ここに居て………
そんな願いを込めて、セージュを抱いた。
「この……くそったれ、アランド……」
「おや、目が覚めたか?着替えるか?」
今の今まで、渾々と眠っていたセージュの意識がやっと戻ったと思ったら、状況を把握次第、出てきたのは甘いピロートークではなかった。
昨日は、玄人と言われても過言ではないアランドが手加減なく抱いた。はっきり言ってこれで何ともないならば化け物である。セージュも起きようと努力はしている様なのだが、くっとか、ぬぅ、とか掛け声のみで殆ど身体は動いていない。
「くく、無理しない方がいい。まだ若いと言ってもキツかったろ?」
「分かってんなら、やるなボケ!!!」
「おや、口が悪い。」
「強姦魔に対する礼儀はないぞ!?」
動けないのに口だけは元気で可愛い。
「強姦魔…ねぇ?……覚えてないのか?」
「何が!?」
「途中から、合意だったよ?」
「何、言ってんだ!うぐっ……アランド!」
「兄上…そう呼んでくれないの?」
「呼ばれたいなら、こんなことすんな!!うぎっ……!」
まだまだ言いたい事は山の様に、叫びたい事も尽きないんだろうが、まずはセージュは体力の回復をさせないといけないだろう。
同じベッドに縛られているのに、見ていてこうも心が軽いとは思わなかった。
「セージュ………愛してるよ……」
「は?気持ちわりぃんだよ!今更!!」
くっそ!立てねぇ!
そう言いながら、腕と足をプルプルさせて立ちあがろうとしている様まで可愛い。
「先ずは浴室に行こうか?」
「うっせぇ!触んな!」
「じゃあエルゼを呼ぶ?」
「は?呼ぶなよ!呼ばなくていいって!!」
こんな所、家の者たちには見られたくはないだろう。だから必然的にアランドに頼らざる得ないはずだ。それを見越して、起きるまで放置しておいたのもあるのだけど…
「ほら、セージュ。兄に掴まって?歩けるか?」
「本当に………お前な………」
何を、どれだけすれば気がすむんだと、怒鳴りつけてやりたいのに声も掠れてよく出ないし、目の前のアランドは見た事もない様な、泣きそうな顔をしているし…一体、どうしろって言うんだ……
ある時、ふとそう思いついた。セージュはお嫁に来ると言った。それは生涯の誓いになるだろう。ならばウリーの事もお嫁さんにしてしまえば一生側にいる権利がもらえる!
子供らしいといえば子供らしい…あまりに幼い思考にその頃の私は満足していたと思う。だからこそ、素晴らしい皆んなのお手本になり、誰にも認めてもらえる様な兄にならなければならないと、益々勉学や剣技を磨きに磨いた。
歳を取るに連れて、そんな考えは健全なものでは無いと分かってきた。けれど、依然としてウリーは時折体調を崩すしあまり芳しく無い状況で、セージュはどんどん大きくなって、同じ騎士としての道を選ぶと、しっかりと自分の意見を言える年にまでになった。
あっという間に過ぎる日々に自分の中の思いは消えないまま、それでも次期当主としてしっかりと前を見なければならばならない。思いが消えないのならば仕方がない。後継問題を片付けるべく、裕福で後腐れのない女を数名見繕った。どの女も女の方から寄ってきたが、アランドの子を儲けた後は資金支援の元、子供の教育に励む事、次期当主はアランドが見定める為口出し無用、優秀な子ならば当主となれなくても、庶子の出てあっても積極的にアクロース家に置いて取り立てて後ろ盾となる為、子ども達の将来については心配しなくて良い事。父としては最低な行為だが、このアランドの意思に同調し、理解ある者だけと身体を重ねた。来るもの拒まずと言われているが、まぁ、それも嘘ではないだろう。経験よりも勝る学習方はない為に同性同士のあれこれに関してはその噂通りだ。
まさか、ウリーが離れていってしまうとは思わなかった…病床の中からいつもにこりと微笑みかける、まるで本物の天使かと思った事もあった子が…簡単に横からヒュンダルンに攫われてしまった。
奴もどうやら本気らしく、無闇に止めたらきっと決闘を叩きつけられていてもおかしくない。そんな命をかけた目をしていた…
だけら、許した…命を賭けて守ると言うのなら、ウリーが死ぬまで側にいてやる事だ。何としても生き残り、何としても守ってもらわなくては…可愛い天使が泣くのは、薬を飲みたくないとぐずるときだけで良い…
それに今…自分の手元にはまだ大切な者がいるのだから…
お前は気が付いてないかもしれないけれど、来るもの拒まずな兄の目を誤魔化せると思わないほうがいい。
ウリーの事も、セージュの事も守る為に強くなると誓ったのだ。ウリーには赤獅子がいるから、兄の手は全部お前にあげよう…
だから、お願い、ここに居て………
そんな願いを込めて、セージュを抱いた。
「この……くそったれ、アランド……」
「おや、目が覚めたか?着替えるか?」
今の今まで、渾々と眠っていたセージュの意識がやっと戻ったと思ったら、状況を把握次第、出てきたのは甘いピロートークではなかった。
昨日は、玄人と言われても過言ではないアランドが手加減なく抱いた。はっきり言ってこれで何ともないならば化け物である。セージュも起きようと努力はしている様なのだが、くっとか、ぬぅ、とか掛け声のみで殆ど身体は動いていない。
「くく、無理しない方がいい。まだ若いと言ってもキツかったろ?」
「分かってんなら、やるなボケ!!!」
「おや、口が悪い。」
「強姦魔に対する礼儀はないぞ!?」
動けないのに口だけは元気で可愛い。
「強姦魔…ねぇ?……覚えてないのか?」
「何が!?」
「途中から、合意だったよ?」
「何、言ってんだ!うぐっ……アランド!」
「兄上…そう呼んでくれないの?」
「呼ばれたいなら、こんなことすんな!!うぎっ……!」
まだまだ言いたい事は山の様に、叫びたい事も尽きないんだろうが、まずはセージュは体力の回復をさせないといけないだろう。
同じベッドに縛られているのに、見ていてこうも心が軽いとは思わなかった。
「セージュ………愛してるよ……」
「は?気持ちわりぃんだよ!今更!!」
くっそ!立てねぇ!
そう言いながら、腕と足をプルプルさせて立ちあがろうとしている様まで可愛い。
「先ずは浴室に行こうか?」
「うっせぇ!触んな!」
「じゃあエルゼを呼ぶ?」
「は?呼ぶなよ!呼ばなくていいって!!」
こんな所、家の者たちには見られたくはないだろう。だから必然的にアランドに頼らざる得ないはずだ。それを見越して、起きるまで放置しておいたのもあるのだけど…
「ほら、セージュ。兄に掴まって?歩けるか?」
「本当に………お前な………」
何を、どれだけすれば気がすむんだと、怒鳴りつけてやりたいのに声も掠れてよく出ないし、目の前のアランドは見た事もない様な、泣きそうな顔をしているし…一体、どうしろって言うんだ……
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