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57、王への挨拶 2 *

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「良い加減にしろ、2人共!戯れ合うなら外でやれ!」

 戯れ合う?子犬や子猫の様に?これが?目の前でその様を見た事はないけれども、絵で見たり、話に聞いたりした事はあるものだ。が、今の状況は戯れ合うと言うより、敵から逃げ出したいと思ってるロレール医官が敵意を丸出しにしている様にしか見えないのはなんでだろう?

「団長ご自分がまだだからって、カリカリしないでくださいね?」

 とは?

「リード………」

 あ、ヒュンダルン様、頭抱えちゃった…

 片手で額を抑えて、頭痛でもやり過ごしている様にも見える姿だ。

「ふふふ…アクロース侯爵子息様…まだ分かってらっしゃらない様ですね?でも大丈夫ですよ?私みたいに、団長が手取り足取り教えてくださいますから…」

 それから、グイッと乱暴にも見える所作でロレール医官を自分の方へ引き寄せると、その眉間に……あろう事か、軽いキスをした。

「………あの…………」

 ヒュンダルン様とは、閨事の練習をしている。そこは否定できない。けれど、他人がしている所を目の前で見た事は、もちろんない………

「リード……」

 先程とは比べ物にならないほどのヒュンダルンの低い声。打って変わって真っ赤になってしまったロレール医官…ウリートの頭の中は何が起きているのか分からず、パニック状態だ。

「アクロース侯爵子息様。世の中にはこんな事が好きな者もいるのですよ?あ、そうだ。今度は見てもらいましょうか?」

「リード!!!君って奴は!さっきから!見なさい!ウリート様もゴーリッシュ騎士団長も固まってしまってるじゃないか!?もう、良い加減に…!」

「そんな事言って…ショーン、こう言うの、好きでしょう?」

 どう言うの?

 冷ややかに怒っているらしいヒュンダルンの他ウリートには今の状況は飲み込めていない。

「リード!!!もう!いい加減、帰りますよ!!!」

 本気で怒ってしまったかの様に、引きずられてきていたロレール医官が逆にサラント副騎士団長の腕をガッチリと掴んで引っ張っていく。

 全くあなたと言う人は、節操のない云々とロレール医官はお叱言を吐き出しつつ、足早に行ってしまった。

「………ヒュンダルン様……?」

 何だったので?

 ウリートの純粋な深い青の瞳がヒュンダルンを捉えて離さない。
 
 何があったの?と、ただ純粋にウリートは聞きたいだけなんだと分かるのだが、些か頭の痛い事である。

「あ~……以前、騎士団の宿直室でな…」

 そっとヒュンダルンはウリートに近付いて当然の様に隣に座った。ヒュンダルンがどう話そうか、考えあぐねているのが分かる。

「リードがロレール医官を押し倒していた……」

「…押し倒し………」

 なるほど……そう言うわけで……

「他人の趣味趣向は多岐に渡るからな。見た所でどうなるものでもないが、時には人を巻き込む者もいるから、それは迷惑な事だ。」

「巻き込まれたのですか?」
 
 迷惑だと思う様な事に?

「………ウリート。」

「はい?」

 ウリートの返事も待たずにヒュンダルンはウリートをヒョイと膝の上に乗せてしまった。

「両手を出して?」

「こうですか?」

 いつ解いだのかヒュンダルンは手触りの良いサッシュを手に持っている。それを起用にクルクルと、あっという間にウリートの両腕に巻き付けて縛り上げてしまった。

「あの、ヒュンダルン様?」

「痛くはないな?」

 コクリ、と頷くウリートを確認して、スルリとウリートの大腿を撫で上げて来る。

「ヒュ、ヒュンダルン様!?」

 いきなりの事にウリートはびっくりして声を上げたのだが、ヒュンダルンの手は止まらない。優しく、でもシッカリと大腿を撫で上げながら、内股にも進んでくる。

「あ…」

 それ以上は……
 今は、夜では無いのに…

「ん…」

 ウリートの中心にヒュンダルンの手が届く直前にウリートは両手を使ってヒュンダルンの手を押しとどめた。

 普段と違う時間に、普段とは違うシチュエーションでウリートにとって直ぐに頭が切り替わらない。

「ま、待ってください…」

 どうてしまったのだろうか?ウリートはヒュンダルンを恐る恐る仰ぎ見る。

「ん?」

 ヒュンダルンはとぼけたように首を傾げて、ウリートの縛られた両腕を掴みヒョイっと自分の首にかけてしまう。こうするとヒュンダルンよりもずっと背が小さく、抱き込まれるように抱えられてるウリートには、ヒュンダルンの首にかかった自分の腕を容易く外す事が難しい。

「何に巻き込まれたのか、教えてやろう。」

 チュウ、と唇に軽いキスをして、先程押し止められたヒュンダルンの手は再度中心へと向かう。

「ん……」
 
 普段と違う体勢に、腕を縛られるなんて行為も重なって、緊張で身体は固まるし、声も押し殺す。

「ウリート…」

 ヒュンダルンの低い声が耳に響くだけで、ピクリと身体が反応する。

「こんな、事…されたのですか?」

 羞恥で熱くなる身体に、与えられようとする快感を思うと頭がボウッとしてきてしまい、そんな考えの纏まらない頭でウリートはそんなことを口にした。

 まさか、ヒュンダルン様が……?


















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