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手を取る喜び

11 希望 1

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 トライトスは2通の手紙を見て少々怪訝な顔をする。

「アールストへの手紙は分かるが…」

 アールスト王国にはシャイリー妃の腕の怪我が治り次第直筆にて手紙を出すという事がシャイリーの要望として伝えられている。それだから是非とも国王宛に出してほしい所だ。が………

「何故ホートネルに?」

 神官ホートネルは只今公主トライトスの焼き餅により入城禁止を言い渡されていた。当人達には全く恋愛感情云々はなかったのだが、それでも自分には知らされていなかったトライトスの気持ちは腑に落ちない為だ。

「大事な事ですわ。ご心配なら中を確かめていただいても……あ、その方が早いですわね?」

 ニッコリと微笑むシャイリー妃には全くの他意はない。それどころか渡そうとしていたホートネル宛の手紙の封を切りだした。

「シャイリー…!」

 いくらなんでも他人宛のものを受け取り主本人の了承も無く開けるべきではないことはやきもち焼き中のトライトスにもわかる。

「大丈夫ですわ。トライトス様。良く考えてみたらこうする方がいいと思いますの。そんな内容の手紙ですもの。」

 封を切った手紙をシャイリーはトライトスに手渡す。

「良いのか?」

「是非に!」

 シャイリーには全く後ろめたいところなんてないのだから是非トライトスに読んでみて欲しかった。

「…………これは………!」

「そうなのです…トライトス様。お分かりになって?」

「もし、そうだとしたら……」

 怪訝そうだったトライトスは、ニコニコと隣で微笑む妻を見る。その笑顔には何か確信がある様にも見える…

「ええ、そうだとしたら、とても素晴らしい未来が見えて来るとは思いません?」

 我慢ができないとばかりに大きく頷いたシャイリーをトライトスは優しく引き寄せ、抱きしめた。






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