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公主の求めた者

33 地魔力 19

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「殿下、親狐を探しましょう!」

 まずは、確認してみなければ。神官の力がもう答えを出しているのだが、是非ともこの目で見てみたい。

「ホートネル。ほれ、そこに迎えが来てるぞ?」

 ホートネルの反対側、雪原の方に視線を向けたトライトスがそう声をかけて来た。

「迎え?」

 雪原にポツリと小さな白い塊が座っている。白狐の子供だ。

「で………」

 殿下、と声をかけようとしたところでホートネルは言葉に詰まる。可愛らしく座っている白狐の上空に驚いた様に両手を口に当てている公妃シャイリーの姿が見えたからだ。

「で…?がどうしたのだ?ホートネル?」

 トライトスにはもちろんシャイリーの姿は見えない。何がどうなっているのかホートネルも説明は難しい。

「いえ、なんでもありません。殿下、マーシル私一人で行かせてもらっても?」

「兄上だけでですか?」

「あの子に警戒させたくは無いのです。」

「……分かりました。では、私達は兄上の姿が見える所で待機いたします。」

「その方が良いですな。この辺りの地形でも変わってたら神官様が雪の中に埋もれちまっても見つからなくなる。」

「では少しだけ、親狐が確認できれば良いのですが。」

 白子狐はじっとそこを動かない。まるで人間達の話し終わるのを待っているかの様に大人しくお行儀よく座っている。

「私達はお前達の敵ではない。ただ、見せて欲しいのだ。お前達狐達の今を…」

 雪の上に膝を突き視線を落として、ホートネルは子狐に語りかける。決して人間の言葉は通じないと思うのだが、ホートネルが話し終わるとまるでついてこいとでもいう様にスタスタと歩き出した。その上には勿論公妃シャイリーが浮いている。

「妃殿下……まさか、ここにおられるとは……」

 小さか声で子狐の側にいるシャイリーへとホートネルは言葉を投げる。

(……私もびっくりいたしましたわ。やはり、ここはバルビス公国内でしたのね?)

「左様です。それも、もう白狐は滅び去ったものと考えられていたのですよ。」

(まぁ!まだまだいますわ!可愛い小狐達が!私が案内できたらいいのですけど…)

 トライトスの側にいる時と同じように、ここでのシャイリーは子狐の側からは離れられないのだ。

「妃殿下、親狐はおりますか?」

(ええ!勿論。今巣穴にはいないようですけど、ちゃんとこの子達のお世話をしていましてよ?)

「それは、母狐だけで?」

(あら……そういえば……私、1匹しか見ていませんわね…?)

「ほぅ…1匹だけで……?」

(それが、何か?)

「通常狐は夫婦で子育てをする動物です。父狐も子供の世話をしているのが普通なのです。」

(まぁ、では何処かに?)

「…生きていれば、ですがね…」








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