［完結］先祖返りの幼妻、さらに赤子に帰ります！

11 納屋の奥は魔窟です

「ブホォッ…ゲホォッ…ゴホッゴホッ……」

　舐めていた……舐めていたわよ納屋の奥……
何年くらいこのまま放置してたかしら？最後に開けたのは？サラが10歳の誕生日？いえ、ケイの10歳の誕生日？あーもう、何にしても7～8年は放置されて来た場所よね？窓を全開に開けていても、流れ出て行かない埃たちが気道を塞ぎに来るわ！！くそぅ！！負けてられない！
　布を口に当ててはいるものの、積もり積もった厚い埃の層は頑として減らず……出す物出る物モッホリと白い層ができている。

　我が家…意外と汚かったのね……小まめに掃除をしてこなかったことが悔やまれる！

　この納屋は一見して一つの小部屋みたいに見えるけど、実は奥にもう一部屋あって、さらにその部屋の地下にちょっとした地下室みたいな収納庫がある。ここは滅多に使わない。はっきり言って使わない。日々の生活に全く関係のないものがしまってある所。
何かって言ったら、先祖伝来の何ちゃらとか、家宝の何ちゃらなんかが有れば開けるのも掃除するのも楽しくなりそうな物だけど、残念ながら我が家はそんなにお家柄が良いとは言えないのよね。あっても、先祖伝来の手記とか、思い出の品々……

　いつの時代のものなのか、誰の物かさえも分からない物だらけだけど、小さい頃の記憶って言ったらここから出してくるくらいしかないわ。

　さっき見かけた子供達の絵本には無かった。ラントの書斎（小さな本棚だけど）そこにもそれらしき書物もない…

　けれど、ラッキービーナの名前は確かに覚えてるのよ！どこ？どこにあるの？どこに書いてあるのよ？

　ゴソゴソと漁るうちに、こう言う時に限って欲しいものは出てこないんだ。何年ものかのドライフルーツに、誰か宛のラブレター？やだ！お爺ちゃまのじゃない！恥ずかしくて開けられないわよ？誰よ？下着を大量にここに押し込んだ人？カビカビで使えないじゃないの！これ、いつの時代のよ？見たことないデザインだけど？あー！ガラスの食器類！！割れや欠けだらけで日の目を見ないまま……

　こんなことやってると1日なんてあっという間ね～サラがいてくれて良かった。家事をしながら魔窟には篭れないもの…

　さらに漁って掘っていくと他の物よりはまだ新しいような包みがある。埃はかぶってるけど、周りの品々より目で見て新しい。　

　それを手に取って納屋の外に出る。もう、一刻も早くこの魔窟と埃の中から出たかったからね。