1 / 1
ムクドリは益鳥だったってホント?
しおりを挟む
普段うちのまわりにはムクドリがあまり来ないのだけれど、去年の夏、ムクドリ集団がしばらくうちのまわりにいた。なのでその間写真をたくさん撮らせてもらった。
私自身はムクドリの被害についてよく知らないが、テレビで言われているムクドリのイメージといえば、うるさい・糞害・集団・迷惑といったもので……。ムクドリはカラスと共に世間から害鳥として認識されているのだろうと思っていた。
ところがムクドリについて検索してみると、昔は益鳥と言われていたという情報がちらほら出てきた。
えっ、ムクドリって益鳥だったの?
そして益鳥が害鳥に変わるなんて、そんなことあるの?
ムクドリは元々森や林に住み、田畑の害虫を食べてくれる存在としてありがたく思われていたらしい。
ところが現代、人間による環境破壊でムクドリたちは都会に進出し、うるさく鳴くし糞をするからと害鳥になってしまったというのだ。
私は昔の暮らしにも現代の問題にも詳しくないから分からないが、本当にそうだとしたらなんだかムクドリがかわいそうだ。住む土地や元の暮らしを失った上に、益鳥から嫌われ者になるなんて。
益鳥とか害鳥とかそういった呼び方は人間の都合だ。そういうことは認識していたつもりだったけど、やっぱりなんともいえない気持ちになった。持ち上げられたり嫌われたり、生き物たちも大変だ。
そして人間が持つイメージなんてものはコロコロ変わる。現に私は今、ムクドリがかつて益鳥だったという話を聞いただけで哀愁を感じ、ムクドリに対するイメージが変わった。昔の日本人の多くは田畑や自然と共に生きていたのだろうなと、古き良き時代に思いを馳せたくなる。
ムクドリが害鳥というのも益鳥というのも、あまり生き物と関わりのない私にとっては一種のイメージ・思い込みなわけだが、ムクドリに限らず他の生き物に対しても思い込みを持っている。
ハエやゴキブリが不衛生だとか、そういった知識を私はどこかで得た。もしその情報を与えられないままだったらハエやゴキブリが汚いとは思わないまま生きていっただろう。色んな情報をどこかで見て信じた私は、万物に色んなイメージをくっつけつつ生きていくのだ。
今世間的にイメージが良いものも、ずっと昔から同じイメージだったわけではないだろうし、悪いイメージや脅威だったものが段々とそれほどでもなくなっていくこともあるのだろう。
私は今ムクドリが益鳥だったという話を鵜呑みにしているが、良いイメージにせよ悪いイメージにせよ、簡単に鵜呑みにしないよう、世間のイメージに踊らされず自分で感じられるようになりたいなと思った。
生き物自体に善も悪もなく、ただみんな自分のやり方で生きているだけである。その生態が偶然人間に利益をもたらせば「これは良い生き物だ」と言い、そうでなければ悪いイメージが付く。
未来の世界で人類の生き方や状況が変われば生き物たちとの関係やイメージもまた変わるのだろう。そのときには損とか害とか善とか悪とか、そういった概念はなくなっていたら嬉しい。
ただ……
やっぱり私は毎日、他の人が共有してくださる情報に助けられている。
ハエやゴキブリが不衛生だということを知らないままだったら危ない目に遭っていたかもしれない。毒がある生き物が身近にいることも知ったから、生き物をむやみやたらと触らないでおこうと判断ができ、そのへんに生えている草やキノコを勝手に食べず、用心できる。多くの情報に触れたおかげだ。
昔の人はきっと情報を得るのが大変で、知らないこともいっぱいあっただろう。それで世界中で妖怪やモンスターといった、人類に災いや脅威をもたらす存在が描かれてきた。
人間界の情報は人間目線のものだけれど、だからこそ私は毎日その情報に救われているのだ。感謝したい。
今私は人間目線の情報以外よく知らない。生き物に対して人間の都合で考えてしまうとはいっても、人間以外の暮らし方や意見は分からないのだ。
でも未来の世界では人間以外の生き物の目線からも物事を捉えられるようになっていたら嬉しい。今害虫や害獣と呼ばれている生き物たちとも新たな関係を築けるようになるだろうか。私は自然な生き方をできるだろうか。
人間にとって自然で、心地いい、本来の生き方ってどんなものだろう。それは昔の暮らしにどこか似ているかもしれないけれど、それだけでなく、また新しく便利なものもあるのではないだろうか。
すべての生き物が等しく尊く、すべての出会いが楽しい……そんな未来を想像したい。
私自身はムクドリの被害についてよく知らないが、テレビで言われているムクドリのイメージといえば、うるさい・糞害・集団・迷惑といったもので……。ムクドリはカラスと共に世間から害鳥として認識されているのだろうと思っていた。
ところがムクドリについて検索してみると、昔は益鳥と言われていたという情報がちらほら出てきた。
えっ、ムクドリって益鳥だったの?
そして益鳥が害鳥に変わるなんて、そんなことあるの?
ムクドリは元々森や林に住み、田畑の害虫を食べてくれる存在としてありがたく思われていたらしい。
ところが現代、人間による環境破壊でムクドリたちは都会に進出し、うるさく鳴くし糞をするからと害鳥になってしまったというのだ。
私は昔の暮らしにも現代の問題にも詳しくないから分からないが、本当にそうだとしたらなんだかムクドリがかわいそうだ。住む土地や元の暮らしを失った上に、益鳥から嫌われ者になるなんて。
益鳥とか害鳥とかそういった呼び方は人間の都合だ。そういうことは認識していたつもりだったけど、やっぱりなんともいえない気持ちになった。持ち上げられたり嫌われたり、生き物たちも大変だ。
そして人間が持つイメージなんてものはコロコロ変わる。現に私は今、ムクドリがかつて益鳥だったという話を聞いただけで哀愁を感じ、ムクドリに対するイメージが変わった。昔の日本人の多くは田畑や自然と共に生きていたのだろうなと、古き良き時代に思いを馳せたくなる。
ムクドリが害鳥というのも益鳥というのも、あまり生き物と関わりのない私にとっては一種のイメージ・思い込みなわけだが、ムクドリに限らず他の生き物に対しても思い込みを持っている。
ハエやゴキブリが不衛生だとか、そういった知識を私はどこかで得た。もしその情報を与えられないままだったらハエやゴキブリが汚いとは思わないまま生きていっただろう。色んな情報をどこかで見て信じた私は、万物に色んなイメージをくっつけつつ生きていくのだ。
今世間的にイメージが良いものも、ずっと昔から同じイメージだったわけではないだろうし、悪いイメージや脅威だったものが段々とそれほどでもなくなっていくこともあるのだろう。
私は今ムクドリが益鳥だったという話を鵜呑みにしているが、良いイメージにせよ悪いイメージにせよ、簡単に鵜呑みにしないよう、世間のイメージに踊らされず自分で感じられるようになりたいなと思った。
生き物自体に善も悪もなく、ただみんな自分のやり方で生きているだけである。その生態が偶然人間に利益をもたらせば「これは良い生き物だ」と言い、そうでなければ悪いイメージが付く。
未来の世界で人類の生き方や状況が変われば生き物たちとの関係やイメージもまた変わるのだろう。そのときには損とか害とか善とか悪とか、そういった概念はなくなっていたら嬉しい。
ただ……
やっぱり私は毎日、他の人が共有してくださる情報に助けられている。
ハエやゴキブリが不衛生だということを知らないままだったら危ない目に遭っていたかもしれない。毒がある生き物が身近にいることも知ったから、生き物をむやみやたらと触らないでおこうと判断ができ、そのへんに生えている草やキノコを勝手に食べず、用心できる。多くの情報に触れたおかげだ。
昔の人はきっと情報を得るのが大変で、知らないこともいっぱいあっただろう。それで世界中で妖怪やモンスターといった、人類に災いや脅威をもたらす存在が描かれてきた。
人間界の情報は人間目線のものだけれど、だからこそ私は毎日その情報に救われているのだ。感謝したい。
今私は人間目線の情報以外よく知らない。生き物に対して人間の都合で考えてしまうとはいっても、人間以外の暮らし方や意見は分からないのだ。
でも未来の世界では人間以外の生き物の目線からも物事を捉えられるようになっていたら嬉しい。今害虫や害獣と呼ばれている生き物たちとも新たな関係を築けるようになるだろうか。私は自然な生き方をできるだろうか。
人間にとって自然で、心地いい、本来の生き方ってどんなものだろう。それは昔の暮らしにどこか似ているかもしれないけれど、それだけでなく、また新しく便利なものもあるのではないだろうか。
すべての生き物が等しく尊く、すべての出会いが楽しい……そんな未来を想像したい。
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
イソヒヨドリ(オス)とトンビを撮りました
月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
トンビはいつも気持ちよさそうに飛んでいますね。窓を開けてトンビを撮っていると、目の前にも鳥がやってきました。いつものヒヨドリさんだと思ってカメラを向けると……。
【写真】気まぐれに風景・生き物撮影
月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
風景や鳥・虫・植物たちを気まぐれに撮影して載せていこうと思います。過去の写真も時々載せる予定です。どのエピソードからでも、お好きに見ていってください。
天井裏からカリカリ音がする
月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
深夜、ベッドの電気をつけてタブレットをいじっていた。そしてそろそろ寝ようと思った頃、カリカリ、カリカリと引っかくような音が聞こえてきた。音がするのは、天井と壁の間に空いた隙間のあたり。
まさか、またアイツがやってきたというのか。天井と壁の隙間はガムテープで封印されているというのに。
音は少しずつ移動していく。間違いない、ガムテープを食い破ってこちら側へ出てこようとしているのだ。
ああ、来ないでくれ。頼むから。私は微動だにしないまま、ガムテープの結界に向かって祈りを捧げるしかなかった。
ありふれた生態系が宝物
月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
この連載は「身近な野生のいきもの探し」の続きのようなものです。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/206695515/767761398
本当に、この世に善も悪もなく、ただベストを尽くした日々が尊いのかもしれない。
ただ、コンクリートで固められた川からはホタルがいなくなり、イタチが駆け回った空き地は公園になった。
潰されて駐車場になった空き家を見て思う。些細なこと、小さな工事であっても、そこにあった小さな国が滅んだのかもしれないと。そして今、目にすることができる小さなたくさんの国も、いつ滅ぶか分からない、儚い夢かもしれない。
野鳥たちと雪山と水面
月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
けっこう色んな種類の鳥が撮れました。翼を広げた白鷺・ハト・トンビが撮れたのが嬉しかったです。雪が積もった山も撮れました。山と、川や田畑がある風景が好き。
写真撮影とひとりごと
月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
のんびり写真撮影エッセイです。挿絵掲載可能枚数は200枚までなので、掲載写真が200枚に達したら完結します。元々自然物を多く写していましたが、最近人工物もいいなと思い始めています。
2月、ツグミやハクセキレイ・飛ぶトビ・景色の写真
月澄狸
エッセイ・ノンフィクション
霞っぽい日が多かったです。水面や景色、空飛ぶトビの写真がお気に入り。ツグミらしき鳥やハクセキレイ、イソヒヨドリも撮れました。雪山も写っています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ムクドリの写真が色々あって、楽しめました。野鳥が好きなので。
別の生き物見方ができる社会になったら本当に良いですね。せめて、自然に配慮した社会が出来るといいな。
ムクドリが益鳥と呼ばれていたのは知りませんでした。秋に群れで移動する事と、その中に、頬っぺたが白いコムクドリが混じっていること(地元では見れるとラッキーでした)位しか知りませんでした。
益鳥という情報ありがとうございました。
>ミドリさん
野鳥がお好きなんですね。ムクドリの写真、楽しんでいただけて嬉しいです!
本当に、色々な生き物と共存できる社会になってほしいですね。鳥たちを見ていると、ケリの近くにスズメやハクセキレイがいたり、飼われているガチョウのハウスで野生のオオバンやヒドリガモが休んでいたりと、みんな他の種類の鳥ともうまく関わりつつ暮らしているように見えます。人間も自然の一部になりたいですね。
私もムクドリが益鳥だったとは知らず、検索しているとそのような情報を多く見かけて驚きました。
ムクドリって秋に群れで移動するんですか!
そしてその中にコムクドリが混じっていることがあるんですね。
コムクドリという鳥は知りませんでした。今画像検索してみたのですが、可愛いですね。
こちらこそ、コムクドリについて教えていただきありがとうございました!