せめく

無神論

あなたは何類ですか
何科ですか
どこ学校ですか
どこ社ですか

あれぇ何だったかなぁ
私人間だっけ？
人間って何だっけ

生き物の姿も生態も
生き物であったことさえ
変わる変わる
宇宙時間のうちの一瞬

未来が過去を遠くする
何年か前まで鮮明だったことも
ジワジワ失われ
記憶が食い違い
まるで過去はパラレルワールド

失った思い出を嘆いても
今のところタイムマシンがない
ならば未来になりに行こう
未来人になって
過去をふやかそう

人間含め
誰のことも見下さない
すべての在り方を尊ぶよ

虫たちの森
害虫害獣外来種
命があってありがとう
先祖であり未来である

すべての力を
どこかの誰かじゃなく
私たちが名乗っていいですか
誰かに力を渡さない
私たちの名は私たちのもの

八百万の神
日本式みたいな
多分違う何かかも
でもここに立ち上げよう
雑草たち
害虫たち
道に捨てられたゴミと一緒に
高らかに叫ぶ
「私たちこそ神だ」

異教の神的な
異教の文化的な
新興宗教的な
信仰の自由
主義主張でぶつかり合わない
ぶつかり合う意味も理由もない

道端のゴミが
車道で死んでいる虫たちが
刈られて積まれた雑草が
過去に凄惨な死を遂げたものが
その涙を悼むものが
それでいて
穏やかでゆったりしたものも
すべて私の神だ

どこのどんな希少種よりも
どんな高価なものよりも
一番に目に入る
拾いきれない数の残酷さと
それをも超える美しさこそ
私の生きる意味であり
私にとっての神なんだ