せめく

何億回目の再会ならば

ずっと貴方を探していました
前世のご恩を伝えたい
会えば喜んでくれるはずと

暗く狭い道のりを越えて
やっとここまで来ました
貴方に会うためだけに

貴方に再び会えた喜びで
胸がいっぱいでした


なのにこの仕打ちは
あんまりではありませんか

そんな目で見ないでください

私ですよ
分からないのですか


前世で私が逝ったとき
貴方は泣いてくれましたね
何度も私を呼びました
だからはるばる会いに来ました

私の名前を覚えていますか
私ははっきり覚えていますよ
もう一度呼んでくれませんか


貴方は私が可愛かったから
美しかったから
愛してくれたのですか
今の私は可愛くないですか


貴方が教えてくれたのですよ
本当に種を越えて友情を結べる
心から愛し合えるのだと

貴方と過ごした間は
世の不条理も
種の違いも気にならなかった


ねぇ私の目を見てください
私は最期の力を振り絞って
貴方の目を見上げていますよ

あの頃のように
抱き上げてほしいとは
言いません
貴方に触れられなくてもいい

少しで良い
私を思い出してください
気づいてください

私を殺す前に
どうか……