背徳のアルカディア

Brothers

2.

　強引に奪うように、唇を重ねた。わずかに開いた歯列の隙間から舌を差し入れる。アゼルは震える舌先でためらいがちに応え、エメットがそれを捉えて吸うと全身をわななかせた。

「んん……っ！」

　彼の胸に視線を下ろすと、薄い生地をわずかに押し上げ、小さな二つの突起が浮き出している。その一つに布の上から触れると、細い体がピクリと震えた。円を描くように撫で、隆起した乳頭を指先でつまむ。くりくりと縒こよるほどに彼は身体をくねらせ、塞がれた唇から吐息を漏らした。

「んん、んふ、ん……」

　その声をもっと聞きたくて、エメットは細い首筋に沿って唇を胸に下ろした。舌先で突起を弾はじき転がすと、唾液で濡れた布が肌に貼りつき、その桃色と形がくっきりとシャツに浮かび上がる。

「ん、んぁ、あ、あん、あ……っ」

　兄の膝の上で、胸を突き出すようにアゼルの身体が反っていく。熱を孕んだ彼の腰が、刺激を求めて揺れていた。

「待っ、や、やぁ、脱ぐ、脱ぐから、待って」

　アゼルがもどかしげにシャツを脱ぎ捨てると、真昼の陽光に華奢な全身があらわになる。ずっと育ててきた弟とはいえ、明るい日の下でこの姿を見るのは初めてだ。

　彼の乳首は布越しの愛撫で赤く腫れていた。へそのないなめらかな腹の下では、まだ触れてもいないのに勃ち上がった小ぶりな性器が震えている。その艶かしい裸体を言葉もなく眺めていると、アゼルは恥ずかしそうにあごを引き両手で顔を覆った。