背徳のアルカディア

Gallina

6.

　いやいやと首を振る拒絶に構わず、ルシフェルの左手がするりと腰を滑り、アゼルの性器を緩く包んだ。

「あ、何を……!?」

　ルシフェルは答えず、手筒をゆっくりと上下に動かした。後ろに挿し入れられた指の腹が、久しく刺激されることのなかった小さなしこりを優しく押す。敏感な二ヶ所を同時に刺激され、痛みと苦しみが快感に押しやられる。最奥に留まる卵が肉壁を押すその痛みさえ、甘い痺れに変わってアゼルを襲った。

「あん、あ、だめ、いやぁ……っ」

　貪欲に快楽を貪るはしたない身体が恥ずかしい。アゼルが紅潮した顔を伏せると、ルシフェルが低い声で囁いた。

「大丈夫。ほらもう、卵が下りてきた。卵に拡げられて、桃色の肉がよく見えるよ。とてもきれいだ」

　恥辱を与えるつもりなのか、産卵を労っているのかが分からない。その羞恥にすら快感が増し、アゼルは地面に爪を立てて喘いだ。

「んあ、ぁああん、あぁ……っ」

　ルシフェルの指の刺激で膨らんだ前立腺を、滑らかな卵が強く擦る。四つん這いの腰ががくがく揺れ、アゼルはルシフェルの手の中にある性器から白濁を、限界まで拡がった後孔から卵を排出した。

「は、あぁ、ん……」

　ぐったりと脱力したアゼルを草の上に横にならせ、ルシフェルは生まれたばかりの卵を手のひらに乗せて見せた。

「今までのより一回り大きいな」

　アゼルは息を整えながら、体液で濡れた卵に目を細める彼を見つめた。疲れと安堵で意識が朦朧とする。まぶたを閉じかけたアゼルの髪を梳き、ルシフェルは優しく微笑んだ。