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Gallina
3.
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アゼルは訳が分からぬまま、彼女が呼んだ屈強な兵士たちに取り押さえられた。神の寝室で最後に見たのは、自分に執心していたはずの主の背中。
粗末な服を着せられ罪人のように拘束されたアゼルは、兵士たちに腕をとられて遥かな雲海を渡った。そしてこの島にたどり着くと、乱暴された挙句に力ずくで羽をもがれ、置き去りにされたのだった。
あれからどのくらいの時が経ったのか、もう分からない。
卵は毎日一つずつ生まれ、放っておいても成長する。そして、十日ほどで孵化した天使はアゼルに見向きもせず、一様に南へ飛んでいく。おそらくその方角に、神と天使たちの暮らす陸地があるのだろう。
アゼルは小さな背中を見送りながら、かの地で幸せに暮らしているはずの愛しい人を想う。
優しく名前を呼ぶ彼の声を、いつまでも忘れない。肌に触れる手と、驚くほどの熱。愛しげに見つめる緑の瞳。二度と会うことが叶わなくても、彼はいつでも心の中にいる。
愛された思い出だけを胸に、アゼルは誰にも邪魔されない静かな日々を、心穏やかに過ごしていた。
粗末な服を着せられ罪人のように拘束されたアゼルは、兵士たちに腕をとられて遥かな雲海を渡った。そしてこの島にたどり着くと、乱暴された挙句に力ずくで羽をもがれ、置き去りにされたのだった。
あれからどのくらいの時が経ったのか、もう分からない。
卵は毎日一つずつ生まれ、放っておいても成長する。そして、十日ほどで孵化した天使はアゼルに見向きもせず、一様に南へ飛んでいく。おそらくその方角に、神と天使たちの暮らす陸地があるのだろう。
アゼルは小さな背中を見送りながら、かの地で幸せに暮らしているはずの愛しい人を想う。
優しく名前を呼ぶ彼の声を、いつまでも忘れない。肌に触れる手と、驚くほどの熱。愛しげに見つめる緑の瞳。二度と会うことが叶わなくても、彼はいつでも心の中にいる。
愛された思い出だけを胸に、アゼルは誰にも邪魔されない静かな日々を、心穏やかに過ごしていた。
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