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第十二節 贈る言葉

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「! 隊長」

「スマシさん!」

「隊長ォ!」

コックピットに辿り着いた爆破を、身体、主人公、逃隠が向かい入れる。

「やあ皆、ここに居たんだな」

爆破は口を開く。

「はい。せっかくなんで、ロケットの操作方法を見学したり、宇宙空間を眺めてみたりしていました」

「だい!」

主人公と逃隠は答える。

「そうか……今日中には、地球に帰れそうか?」

「はい、少し飛ばして飛行したので、あと1時間弱程で地球に帰れるかと……」

問う爆破に答える身体。

「分かった。……今日は込み入って皆に話があるんだ」

「!」

「⁉」

爆破が物々しく何か話そうとする。それに反応する一同。

「まずは副隊長」

「は、ハイ……」

反応する身体。

「今まで私の右腕として良くついてきてくれたな、ありがとう」

「滅相もございません!」

「私にもしもの事があれば、この部隊を仕切ってくれるのはお前だ。宜しく頼むぞ」

「は……ハイ‼」

爆破の言葉は身体の心に響いた様だった。

「次に、サケル!」

「だい!」

「狩人に入隊してからの、ここ数カ月間で一番成長したのはお前だ! これからも成長し、隊を引っ張っていってくれ」

「だい‼(隊長が……俺を……)」

感涙しそうな逃隠であった。

「隊員達!」

「ハイ‼」

「日々の訓練、現場対応など、ほころび無く行って来てくれたな。お前達が居なかったら今の狩人は無い。感謝している!」

「はっ! 有り難きお言葉です‼」

隊員達も誇らしそうだった。

「最後に、ツトム‼」

「はっ、はい!」

「少し二人だけで話したい。こっちへ……」

「?」

コックピットから大分離れ、ペイロードベイまで移動した二人。

「ふぅ……ここなら良いだろう」

爆破が呟く。

「スマシさん、なんでこんなトコまで?」

問う主人公の両肩に手をやり、爆破は言う。

「ツトム、お前にだけは言っておきたい事があってな、月並みの言葉で済まないが、聞いてくれ。人は失敗や過ちを犯す生き物だ。しかも、何度でも、何回も。しかしその度に反省してまた前を向いて生きていけるんだ。だからこそ人間は正しくて清い、それだからこそ人生はおもしろい。私からの最後の……いや、最期の言葉だ。そして、私と戦ってく……ゾム」

話が終わるか終わらないかの所で、

爆破はゾムビー化した……! 戦慄が走る。





「⁉ スマシさん!」





主人公は叫んだ。

しかし、

「ゾム……!」

「ゴッ」

主人公の腹部にボディブローを放ってくる爆破だった者。

「ぐあっ‼」

ペイロードベイの端まで飛ばされる主人公。

「ガンッ」

多少、ダメージを負う。

「スッ……スマシさん……う……嘘ですよね?」

「ゾ……」

爆破の顔は、既に紫色に変色していた。

(そんな……そうだ! コックピットに連絡を……)



「チャ……」



トランシーバーを用意する主人公。





「副隊長! スマシさんが‼ 隊長が‼‼‼」





「どうした? ツトム。冷静になれ」

落ち着いた様子の身体。

「はっ! はい‼ スマシさんが……ゾムビー化……しました」







「! ! ! ⁉」







取り乱す身体。

「ツトム‼ それは本当か⁉」

「ハイ……本当です」

身体に返す主人公。





「何という事か‼‼‼」





主人公は口を開く。

「多分、昨日の戦いで、大量のゾムビーに取り込まれた時に……」



(回想)

「ブワッ」

爆破を取り込むゾムビーの群れ。

(回想終了)



「分かった。ツトム、リジェクトによる攻撃は無し、だ。僅かにある希望に賭ける。出来れば、グングニルで隊長を元に戻して見せよ」

「はい……」

身体が指示を出すも、不安そうな主人公。片や身体も、



(隊長……どうか……)



「ゾ……」

低速で近付いて来る爆破。それに対して主人公はグングニルを放とうとする。

「グングニ……」



瞬間、



「ゾ……」

構えた手を上へ弾き飛ばす爆破。

そして、



「ゾゾ……」

「ガッ!」

再び腹部へと殴打を繰り出す爆破。

「ぐあっ‼」

壁へぶつかる主人公。

「どうした⁉ ツトム‼」

身体がトランシーバーを使い、問う。主人公はダメージを負いながら返す。

「グ……グングニルを放つ……隙がありません……リジェクトで隙を作らないと……」

「…………」

少し考える身体。そして、

「分かった。リジェクトによる攻撃を許可する。しかし、直接当てず、隙を作る程度に、だ」

「了解……しました……」

会話を終える身体と主人公。すると、

「……スト」

「!」

「ゾ……バースト……」

爆破がバーストを放ってきた。

「! リジェクトォオオ‼」



「ボッ‼」

「ドガアッ‼」



バーストとリジェクトは衝突した。

「ギシ……ギシ……」

ペイロードベイ内は軋んでいた。衝突した二つの攻撃により、煙が上がっていた。煙が晴れる、と同時に……

「トンっ」

壁を蹴って爆破が近付いて来た。右拳を振りかざす。そこで、



「回避の術‼」



主人公は回避の術で殴打を避けた。更に右足を斜め前に動かし、体を回転させて爆破の後ろを取った。

「(イケる!)グングニ……」

主人公がグングニルを打とうとした瞬間、爆破はクルリと体をこちらに向けた。

「ガッ」

と、同時にかざしていた主人公に両手をまたしても上に弾き飛ばす。

「クッ……(回避の術をもってしても、グングニルを打つ隙を作れない……!)」

トランシーバーから連絡が、

「ツトム!」

身体からだった。

「今からそちらへ向かう。何とか持ちこたえてくれ」

「はっ……はい!」

主人公は答えた。すると、

「ゾ……バースト……」

爆破がペイロードベイにバーストを放った。

「ボガァ‼」

ペイロードベイ内に穴が開く。

「‼ そんな!」

空気が漏れ出していく。

「どうすれば……」

慌てふためく主人公。



「ガチャ」



その時、

ペイロードベイの入り口が開いた。

「ツトム、待たせたな」

身体が現れた。

「副隊長!」

主人公は歓喜のあまり叫ぶ。

「ツトム、これを付けるんだ」

身体は主人公に酸素ボンベを与えた。

「ガチャガチャ」

「これで酸素の心配は無いな……ツトム、俺も何とか隙を作るために戦う。行くぞ……」

「ダッ」

壁を蹴り、進む身体。

「バース……」

手をかざす爆破。それを、



「お止め下さい、隊長」



上方向に逸らし、バーストを別の方向に向けさす身体。

「ボボン‼」

ペイロードベイ内に再び穴が開く。

「‼ 早くするんだ、ツトム機内が持たんぞ」

「ゾ……」

身体が叫ぶも、爆破は身体に対し、蹴りを放つ。



「かはっ!」



腹部に命中した。

「副隊長‼(ダメだ……スマシさんに狙いが定まらない……!)」

そこへコックピットから連絡が届いた。

「副隊長! こちら、コックピットです!」



「!」



反応する身体。

「ペイロードベイ内からメインエンジンの方向に掛けて、機体に損傷があります! このまま損傷が増えるようでは地上に戻れません! 隊長のバーストを食い止めて下さい! 尚、地上に対してですが、これまでの予定を早めて、インド洋近海に不時着します!」

「! ……隊長のバーストを止めるしか無い様だな……。ツトム、やれるか?」

身体は連絡を聞いて、口を開く。





主人公は……

「……はい。やってみます。攻撃以外なら、リジェクトを使っていいんですよね?」

「!」

身構える主人公。
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